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2022.6.15

玉川学園理事長から贈り物


創立80年 を語る1本の棒
建物解体時に発見された幣串
建物解体時に発見された幣串
 大学創立80周年の5月15日、教職員らの「感謝の集い」が開かれた。式典は行わず出席者は教職員・家族・同窓会関係者に限定。本学創立に尽力した小原國芳翁の孫で3代目の小原芳明・玉川学園理事長が列席され、小原理事長から、千葉工業大学の歴史を伝える大切な品となる「幣串」(注1)が寄贈された。瀬戸熊修理事長は「貴重なもの」と、創設時を伝える歴史的資料に感謝した。
瀬戸熊理事長(左)にサプライズプレゼントの幣串を手渡す小原理事長
瀬戸熊理事長(左)にサプライズプレゼントの幣串を手渡す小原理事長
 玉川大と本学の関係は1942(昭和17)年、千葉工業大の前身である「興亜工業大学」が玉川学園のキャンパス内に創立されたことに始まる。この計画に携わったのが玉川学園創立者で「全人教育」の提唱者でもある小原國芳氏だった。
 その後、興亜工業大は玉川の地を離れ、太平洋戦争終戦前後の混乱に翻弄されながらも45(昭和20)年、千葉県君津町に移転し、翌年3月に校名を「千葉工業大学」に改称。52(昭和27)年、元陸軍鉄道第二連隊施設の払い下げを受け、津田沼に拠点を移し現在に至っている。
 両大学の創立に小原國芳氏が携わっていたことで、建学の精神には「全人教育」が色濃く反映されており、現在に至るまで教育・研究分野で実践の指針となってきた。
 2019(令和元)年9月26日には、建学の教育理念で結ばれた千葉工大と玉川大の両大学が、教育・研究・社会貢献に係る諸活動について連携・協力を推進するため、包括的連携協定を締結。以来、ともに発展し、学術と産業の進展・人材の育成に寄与するために協力してきた。
上棟式の幣串
興亜工業大予科本館(撮影は戦後とみられる) 2022年、中央柱の上部で発見された幣串(▷印=建物解体時)
興亜工業大予科本館(撮影は戦後とみられる) 2022年、中央柱の上部で発見された幣串(▷印=建物解体時)
 感謝の集いで、小原理事長は「80周年おめでとうございます」の言葉に添え、1本の木の棒を取り出して瀬戸熊修理事長に手渡した。
 この棒は、近年まで「旧本部棟」として現存していた興亜工大予科本館を解体した際に見つかった幣串だ。校舎の棟上げの際に、大工の棟梁が屋根の上に乗り、弥栄(ますます栄えること)を願って振幣(注2)に使用したものだという。
 小原理事長は「私たちにとっては非常に貴重な歴史的な資料ですが、玉川学園が持つよりも、千葉工大に持っていただいたほうがふさわしい、と持ってまいりました」と80周年のお祝いに、瀬戸熊理事長へのサプライズプレゼントとした。
 幣串を手にした瀬戸熊理事長は、墨書きされた「興亜工業大学本館上棟式 5月」の文字を読み上げ、「貴重ないただきものに、感無量です」と、感謝の言葉を述べた。
(注1)幣串 建物の無事完成を祈願し、上棟記念に棟に縛り付けたあと、建物が解体されるまで、末代まで保存するとされる。
(注2)振幣 「ふりへい」とも読む。建物の上棟式に、棟梁などが御幣=紙や布を切り細長い木に挟んで垂らした、神々への捧げ物=を持ち、「千歳棟、万歳棟、永々棟」と唱えながら左右に振って、周囲を清める儀式。

80周年 感謝の集い開く


小原玉川学園理事長を招いて
瀬戸熊理事長(左)と松井学長
瀬戸熊理事長(左)と松井学長
 5月15日、教職員感謝の集いが東京都内のホテルで開かれた。
 当日は多忙の中、菅義偉前首相、萩生田光一経済産業大臣、ジャーナリストの櫻井よしこさんが駆け付け、お祝いの言葉を述べた。菅前首相は、本学がワクチン職域接種をいち早く行ったことに感謝の気持ちを伝えに来た、と話した。
 瀬戸熊修理事長はあいさつで「思えば昭和17年の5月15日、玉川大学の壮大な夢と理想のもとに建学されました。本日は、本学の創立に尽力した小原國芳翁の孫で、3代目である小原芳明・玉川学園理事長にもお越しいただいております。会場入り口に飾られていた夢という文字。かつて小原國芳翁が、多くの夢を持ってほしいと願って夕の部分を一画多く書かれた思いの通り、私も学生にはできるだけ大きな夢を持って突き進んでいってもらいたい、それが教育者のひとりとしての願い。そのために教育環境整備を進めていく所存です」と述べた。
 続いて小原玉川学園理事長より「おめでとうございます」の言葉とともに記念の幣串が寄贈された。また、松井孝典学長の音頭で乾杯し、参加者たちはしばし歓談の時を過ごした。
 会場ではこの日のために制作した創立80周年を振り返る動画が上映され、教職員らは、改めて千葉工大80年の歴史に思いを馳せていた。

記念の新聞広告に反響


すべての科学者に告ぐ。
 本学は創立記念日に全国紙の朝刊に記念広告を掲載した=写真
 中央に「すべての科学者に告ぐ。」――続いて「世界は急速に、良くない方向へ進んでいる。その真ん中に科学技術が存在していることは、否定できない」として「……命を救うための研究が兵器に応用され……」と科学技術の負の側面を語る。そして「科学者たちよ。今こそ声を上げるべきだ。すべての技術は人類を幸福にするため生まれ、世界に平和をもたらすためにのみ生かされるべきだと」と結ぶ。
 大学の広告らしからぬ、斬新で挑戦的なメッセージだ、とSNSなどで話題を呼び、大学にも感想の電話や、賛同の意を伝える手紙がきた。