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2022.3.15

新型コロナワクチン


3回目職域接種を開始
 新型コロナウイルスワクチンの3回目職域接種が3月7日から始まった=写真。本学での第1回(昨年6月)、第2回(同7月)接種者を対象に、3月7、8、9、25、26、28、29日の7日間実施される。
 前回同様、新習志野キャンパスは体育館、津田沼キャンパスは2号館2階会議室に会場を設け、朝10時から順次接種する。3月末までに学生・教職員のほか習志野市立幼稚園、小・中・高等学校などの関係者、習志野商工会議所会員らを対象とし、計7470人に接種する予定。
 3回目接種を終えた学生たちは「卒業前に接種できて少しホッとしました」「実家に帰るため、少しでも安心材料になればと思います」と、安堵の表情を浮かべた。

ロボットの未来 語る


フォーラムで古田所長、宇井さん
fuRo製作のCanguRo(カングーロ)を披露
fuRo製作のCanguRo(カングーロ)を披露
 本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長らがパネリストとして出席したフォーラム「最先端ロボットが開くリアルSFの世界」が2月23日、オンラインで開催された。
 フォーラムは一般から応募があった1200人が視聴。基調講演を行なった古田所長は「我々がやっていることはいかにテクノロジーで未来をつくるか」と前置きした上で「ワクワクする気持ちとやりたいという原動力があれば大きな目標も達成できる。そのためにはみんなでつくる『共創』が大事」との考えを強調した。
 このフォーラムは朝日新聞社との共催で、同新聞社が首都圏などの14大学・法人と連携して開催している連続フォーラムの一つ。本学では、古田所長のほか、少年漫画雑誌「週刊少年ジャンプ」で「Dr.STONE(ドクターストーン)」を連載している漫画家・漫画原作者の稲垣理一郎さん、本学の卒業生で介護ロボット開発をしている株式会社aba代表取締役CEOの宇井吉美さんがそれぞれ講演した。
 「Dr.STONE」は連載5年目。原作者の稲垣さんによれば、主人公が科学技術を一つ一つ発展させていき、最終目標は「ロケットを作って、月に行く」。稲垣さんは「スーパーヒーローが出てきて活躍するのは、見せやすいエンターテインメントの世界だが、この漫画ではみんなの力を合わせて、地道に積み重ねる作業が本当はかっこいいということを見せたかった」と強調。「地道な科学研究の積み重ねで、かっこいい未来SFの世界が実現していくのを楽しみにしている」と語った。
 宇井さんは在学中に起業して10年。「テクノロジーで誰もが介護したくなる社会をつくる」をモットーに排泄臭を検知し介護職に伝える「介護ロボット」を製作。講演で「マイナスをゼロにするのではなく、プラスにする。最高のテクノロジーで誰でも介護できる仕組みを作る」と同社の目標を明快に語った。
 最後に古田、稲垣、宇井さんの3人がパネリスト、朝日新聞大阪本社の高山裕喜・科学医療部長がコーディネーターを務め、稲垣さんの「作品想像力の秘密に迫る」をテーマにパネルディスカッションが行われた。
 この中で、「ワクワク楽しいかが大事。そして、今ないものを作る」(古田所長)、「嫌いなことを頑張って、好きになろうとするのは難しい。それよりは好きなことを伸ばしていくことが大事」(稲垣さん)、「高校2年で介護ロボットに出会った。おしゃれなこととか、ブランドで選ぶのではなく、何がやりたいかで選んでほしい」(宇井さん)などの意見が噴出。「ワクワク」「好きなこと」「やりたいこと」と3つのキーワードで、討論が交わされた。
意見を出し合う古田所長(左)と宇井さん
意見を出し合う古田所長(左)と宇井さん

ツタンカーメン鉄剣で本学チーム
「ミタンニ国の贈り物」


「隕石を熱して鍛造」解明
 本学の松井孝典学長(地球学研究センター兼惑星探査研究センター所長)率いる研究チームは2月11日、古代エジプトのツタンカーメン王の墓から発見された鉄製の短剣が隕石を材料に鍛造という技術でつくられたことを明らかにした。また、この短剣がメソポタミア北部(現在のトルコとシリアの国境付近)にあったミタンニ王国から持ち込まれた可能性が高いことも発表した。
 本学の研究チームはエジプト考古学博物館で、ポータブル蛍光X線分析装置を使って、非破壊・非接触で鉄剣の元素分布の分析を行った。その結果、鉄は通常セ氏1300度程度の高温にしてから加工されるが、この短剣はセ氏950度以下の低温で金属をたたきながらのばして加工する鍛造という手法で製造されたことが分かったという。
 また、短剣の黄金製のつかの部分に微量のカルシウムが含まれていることが判明、当時のエジプトでは使われていなかった「しっくい」に含まれていた成分と判断した。さらに、本学研究チームは「ミタンニ王国からツタンカーメン王の祖父のアメンホテプ3世への贈呈品の中に鉄剣が含まれている」との内容がアマルナレターという古文書に記載されていることに着目。この短剣がミタンニ王国から贈られたと推測されるとの結論に至った。
 鉄は紀元前1400〜1200年頃に古代オリエントで栄えたヒッタイト帝国がその製造技術を独占することで軍事的優勢を得ていたとされる。その一方で、本来、鉄の製造技術を持っていなかったエジプトのツタンカーメン王(紀元前1361〜1352年)の棺から鉄剣が発見されたことが、歴史上の謎とされてきた。この謎を解き明かすため、本学研究チームは2020年2月9日と10日、エジプト考古学博物館を訪れ、現地調査を行った。
 短剣が鉄隕石を材料につくられたことは、2016年にイタリアの研究チームによって発表されていた。
 松井学長は「当時、ヒッタイトとミタンニだけが製鉄技術を持っていた。ツタンカーメンの短剣がエジプトへの贈り物だったことが分かったことは、鉄器の歴史を知る上で貴重な成果だ」と話している。
ツタンカーメンの鉄剣のさまざまな成分を非破壊・非接触で解析した画像(部分) ツタンカーメンの鉄剣のさまざまな成分を非破壊・非接触で解析した画像(部分)
ツタンカーメンの鉄剣のさまざまな成分を非破壊・非接触で解析した画像(部分) ツタンカーメンの鉄剣のさまざまな成分を非破壊・非接触で解析した画像(部分)
ツタンカーメンの鉄剣のさまざまな成分を非破壊・非接触で解析した画像(部分)

宇宙塵 初観測に成功


「アスタリスク」 大センサーを展開
展開した膜型ダストセンサーをオンボードカメラで撮影した自撮り画像。センサーが固定されたパドル面には千葉工業大学の校章とPERCのロゴが印字されている
展開した膜型ダストセンサーをオンボードカメラで撮影した自撮り画像。センサーが固定されたパドル面には千葉工業大学の校章とPERCのロゴが印字されている
 惑星探査研究センター(PERC)は2月15日、宇宙塵探査実証衛星「ASTERISC」(アスタリスク)について、独自に開発した世界初の膜状粒子観測装置(大面積膜型ダストセンサー)を宇宙空間に開いて、軌道上の粒子の観測に初めて成功したと発表した。また、東北大や関連メーカーと共同で開発した国産キューブサットバスシステム(電源系、通信系、データ処理制御系、姿勢系)についても、すべての技術実証に成功したことを明らかにした。
 PERCの超小型衛星2号機「ASTERISC」は、大面積膜型ダストセンサーを使って、軌道上の天然の宇宙塵と、人為的な微小スペースデブリ(宇宙ゴミ)の観測を目的とする3Uキューブサット(30センチ×10センチ×10センチサイズ)。昨年11月、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の革新的衛星技術実証プログラム2号機に搭載され、他の企業や大学の小型衛星など計8機とともに打ち上げられ、地球周回軌道に投入された。
 宇宙塵は生命の起源や惑星の起源を探る貴重な試料とされる。スペースデブリについては、人類による宇宙利用によって増加しつつあることから、宇宙環境問題への取り組みとして定量的な観測・評価を行うことになった。
 今回の国の革新的衛星技術実証プログラムに採択されたASTERISCの実証テーマはこの膜型ダストセンサーの他に衛星バスシステムがある。
 PERCの石丸亮・上席研究員は「大面積膜型ダストセンサー、バスシステムともに第一段階の正常に機器が動作し観測できるかどうかという技術実証は成功した。これからは長期に観測するという第2段階に入った」と語っている。