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2020.12.15

ソフトウエア開発にP2M活用


今野さん 発表奨励賞
国際P2M学会で受賞した今野さん
国際P2M学会で受賞した今野さん
 “プロジェクトとプログラムのマネジメント”を考える国際P2M学会の第30回秋季研究発表大会がオンラインで開催され、今野裕紀さん(マネジメント工学専攻博士課程2年、小笠原秀人研究室)が「P2Mを活用したプロセス改善活動推進フレームワークの提案」を発表。11月6日付で発表奨励賞を受賞した。
 良いソフトウエアを作るには、良い開発プロセスが不可欠。そこでプロセスを改善するSPI活動(Software Process Improvement)が必要になる。
 SPI活動は組織として改善活動に方針を持ち継続的に実践するもの。実践方法は種々研究されてきたが、▽その方法をどう実現すればいいか分からない▽実践方法を組織の環境に合わせるのが難しい――などが課題だった。
 今野さんは解決にP2Mの考え方を活用し、SPI活動の実践法とP2Mの定義を対応させ、P2Mで用いられるフレームワークに展開。このフレームワークをSPI活動の実践時に活用する。
 次に、提案フレームワークに対し、SPI実施時に用いられる推進因子(組織背景や組織の方針を指標化した結果)と、過去に蓄積されたSPI関連事例をマッピング。マッピングにより、SPI推進組織の環境に合わせたSPI実践法が示せ、組織の環境に合わせた実践ができるようになる。
 小笠原教授にP2Mやプロセス改善活動について意見をぶつけ、必要論文を100件以上読んだという。
 今野さんは「国際P2M学会には初投稿だったので、どう評価されるか不安でした。受賞連絡をいただいた時は、驚きと喜びが同時に来ました。小笠原教授や学会の方々にお礼を申し上げます」と語った。

コンクリート技術で学会賞


橋本准教授 「こわばりを解明し低減材料開発」
受賞した橋本准教授
受賞した橋本准教授
 コンクリートの施工性や耐久性を研究する橋本紳一郎・都市環境工学科准教授は、日本コンクリート工学会の会誌に清水建設梶A潟tローリック、東海大の研究者らと4人の共著で「コンクリートのこわばりを低減する化学混和剤の効果」を発表。日本コンクリート工学会から6月19日付で技術賞を贈られた。予定されていた表彰式は、コロナ禍で行われず、工学会誌5、6月号で披露された。
 生コンクリートの流動性は刻々と変化し、施工効率やできた構造物の耐久性に影響を及ぼす。柔らかさを測る「スランプ値」だけでなく粘性も考慮する必要がある。
 橋本准教授らは、時間とともに生コン時の流動性が失われることについて、定性的にしか表現されてこなかった「こわばり」を、セメント粒子の分散と凝集の面から解明。さらに化学混和剤を混入し粒子間に線状高分子を介在させて粒子間距離を確保し、疑集を抑制することで、粘度変化も含めて制御する技術を開発した。
 その実用性を、充填性が極めて重要な高密度配筋での施工や繊維補強覆工コンクリートでの施工で実証してみせ、コンクリート技術の進歩発展に貢献するところが大きいと評価された。
 橋本准教授は技術賞を「清水建設など4機関の共同研究として実施してきた内容で、打ち合わせや実験など大変なこともありましたが、成果が評価されて非常にうれしいです。研究内容を更に発展させていきたいと思っています。協力していただいた研究機関の方々、研究室の学生、支えてくれた家族に感謝したい」と述べた。
 研究室生たちは土木学会の学術講演会で優秀論文賞を獲得しており、師弟並んでの受賞となった。

院生3人が優秀論文賞


土木学会 学術講演会で
若林さん 島田さん 市塚さん
若林さん 島田さん 市塚さん
 土木学会全国大会の第75回年次学術講演会はウェブ上で開催され、オンラインによる質疑応答を経て、本学の市塚大暉さん(建築都市環境学専攻修士2年、佐藤徹治研究室)▽島田涼平さん(都市環境工学専攻修士1年、橋本紳一郎研究室)▽若林駿さん(同、小田僚子研究室)の3人が11月1日付で優秀論文賞を獲得した。
 3人の発表テーマと受賞の感想は次の通り。
市塚 大暉さん
 「地域計量経済モデルを用いた四国新幹線の最適な規格の検討」
 四国ではまだ新幹線が整備されていないが、新幹線が実現することで、地方創生や地域活性化につながる可能性がある。
 市塚さんは、四国新幹線開業による地域間所要時間短縮の影響を考慮した地域計量経済モデルを構築。さらに新幹線整備上の望ましい規格を提案しようと費用対効果を分析した。その結果、四国全県でどの交通体系でも鉄道利用客は増加し、地域内総生産も増加することが示された。整備する場合はミニ新幹線規格が望ましいと示唆された。
 オンラインなので、音声なしでも分かりやすいよう論文データの構成を工夫した。
 「今回学術講演会はコロナ禍のもと、論文と資料(パワーポイント)を投稿後、オンラインで意見交換したので、資料作成に力を入れました。賞を取れて非常にうれしく、これからも研究に励みたいです」
島田 涼平さん
 「ブーム圧送におけるコンクリートの圧送性評価手法に関する研究」
 生コンクリートはミキサー車で建設現場に運ばれ、折り畳み式のブーム(腕)を持ったポンプ車や、直接配管で圧送する配管車を使い、油圧などで型枠に打ち込まれる。
 配管車では、型枠への圧送充填に不具合がないか振動加速度計で確認してきたが、ブーム式では適用されてこなかった。
 島田さんは、ブーム圧送での簡易評価方法を確立しようと、ポンプ車とその筒先近くでブーム圧送時の管内圧力と加速度を計測、配管・圧送条件が圧送性に与える影響を検討。その結果、ブーム圧送でも配管圧送と同様、配管・圧送条件の違いを加速度のピーク値で確認できることを示唆した。
 膨大な計測結果から必要な値(加速度のピーク値)を探す解析作業に時間をかけ、さまざまな条件で試行を繰り返した。
 「口頭発表でないので受賞の実感があまりありませんが、評価されて素直にうれしいと思います。橋本先生や手伝ってくれた研究室仲間、大学院進学を応援してくれた両親のお陰です」
若林 駿さん
 「谷津干潟の環境特性と水鳥の影響」
 習志野市の谷津干潟はラムサール条約に登録されており、水鳥の休息地として有名。しかし、アオサの異常繁茂(グリーンタイド)が問題視されており、水鳥への影響は不明だ。
 若林さんは19年のグリーンタイド環境を報告するとともに、水鳥の減少傾向の原因を解析するため、水鳥の飛来数とグリーンタイド面積を比較検討した。その結果、19年のグリーンタイド消滅は高水温の影響が大きいと考えられたが、グリーンタイドと水鳥の影響については、明確な関係は得られなかった。
 見やすい資料を作ろうと担当の矢内栄二教授に相談し、試行錯誤を繰り返した。受け身に終始せず、自ら提案することが大事と感じたという。
 「初の学会発表に、頭を悩ませて作った資料なので、受賞はとてもうれしいです。学部4年から始めた研究が認められ、頑張ってよかった」

教育功労者表彰に3氏


出口財務課長 大橋入試広報課長 北原新習志野教務課長補佐
出口財務課長 大橋入試広報課長 北原新習志野
教務課長補佐
 本学の大橋慶子入試広報課課長と出口武志財務課課長、北原和恵新習志野教務課課長補佐が12月5日、千葉県私学教育振興財団から、教育功労者として表彰された。
 大橋課長は、平成4年4月に勤務以来、入試広報の職務に精通し、常に向上心を持って業務を遂行。持ち前の行動力を発揮し、常に新たな発想を取り入れ、学内外に対する広報活動に取り組んでいる。
 出口課長は、平成6年4月に勤務以来、入試広報、財務課長を歴任し、周囲と連携しながら迅速かつ的確に業務を遂行。特に、本学の電算化においては高い専門性を発揮し、教務システムの構築や入試システムの移行、さらには学内の事務システムの統一化に貢献している。
 北原課長補佐は、昭和63年4月に勤務以来、学生課、図書館事務課、新習志野教務課などの配属先において、周囲と連携しながら的確に業務を遂行。社交性に富み、学生や教職員からの信頼も厚く、誠実率直に職務に精励している。