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2019.4.15

未来へと、考え続ける力


瀬戸熊修理事長 祝辞
 間もなく新元号が発表されます。この記念すべき改元の年にご入学されました皆さん、誠におめでとうございます。また、ご列席をいただいたご父母・ご家族の方々にも重ねてお祝いとお慶びを申しあげます。私ども役員・教職員・在学生一同、そして全国で活躍する同窓生たちと共に心から歓迎致します。
 千葉工業大学は「世界文化に技術で貢献する」建学の精神のもと、昭和17年東京・町田市で「興亜工業大学」として誕生した我が国唯一の旧制私立工業大学がその前身であり、この5月で創立77周年を迎えます。
 本日、2605名の新入生を迎えましたが、創立当時の新入生は160人でありました。爾来今日まで、幾多の困難な状況を乗り越えてまいりました本学も、現在は5学部17学科、一万名をようする工業大学へと大きく成長しております。
 今年の入学試験の志願者は、初めて9万名の大台を超え、過去最高の志願者でありました。一般入学試験の志願者は昨年より約1万2千名近く、増えております。
 現在、国内の国公私立大学の数は、782大学ありますが、全国大学志願者ランキングでも、名だたる大規模総合大学が上位を占める中、4年連続でベスト10入りを果たしました。増加数では全国で二番目。倍率は、志願者数一番の大学の2倍強の66倍となっております。
 この大変狭き門を見事にくぐり抜け、本日晴れて「千葉工大生」となった皆さんには、是非共大いなる誇りと自信を持っていただき、これから始まる授業や研究、サークル活動に自ら限界を作らず、邁進してください。
本学発の技術
 ひと月程前の2月22日、午前8時15分に世界中がビッグニュースに沸きました。日本の英知を結集した「はやぶさ2」が、地球から遥か3億1千万キロメートル彼方にある小惑星「リュウグウ」に無事着陸した瞬間です。その技術の素晴らしさは、例えて申しますと、「日本から発射された糸を地球の裏側に位置するブラジルの地に置いた針の穴に、遠隔操作で通す精度」と言われております。このような離れ技をいったい誰が想像できたでしょうか。
 本学の惑星探査研究センターは、この「はやぶさ2」に搭載されたほとんどの科学観測装置の企画・開発や、研究部門に携わっております。特に「はやぶさ2」の最大の使命は、4日後の4月5日に予定されている「リュウグウ」の地表に、上空から秒速2キロの金属弾を撃ち込み、地表にクレーターを作り、内部の物質を採取するこの試みは世界でも初めてのことで、その実験を本学が担当しております。このミッションは、太陽系の誕生や生命の起源のなぞに迫る最も重要な手がかりになると、国内外の多くの科学者から注目を集めております。
 また2022年には、小惑星「フェートン」への衛星打ち上げをめざすプロジェクトにも参加しており、さまざまな挑戦は、これからも休むこと無く続きます。
 次に、未来ロボット技術研究センターも世界を相手に、ビッグニュースを発信し続けております。
 一昨年の12月に、家庭電器最大手のパナソニックと未来ロボット技術研究センターが共同で、津田沼キャンパスに「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」を開設し、「商品開発を前提として、大学がもつ先端技術を企業に提供するきわめてレアなケース」と、世間の注目を集めました。そして1年もたたない昨年11月に、パナソニック創業100周年記念イベントという大舞台でその成果を発表しました。
 1500人もの報道陣を含めた関係者が固唾を飲んで見守る中で発表されたのは、最先端の人工知能と自動操縦技術、ロボット技術を駆使した、次世代のロボット掃除機のコンセプトモデルでした。
 パナソニック・アプライアンス社の本間哲朗社長が「今後も千葉工大の力を借りていきたい」と熱く話していたのが印象的でありました。
17学科・大学院
 また、ロボットから乗り物へと自動変形する次世代モビリティー「カングーロ」、イタリア語でカンガルーのことでありますが、国内はもとより海外でも高い評価を得ております。
 昨年、外務省が日本を紹介する目的でロサンゼルスに作りました「ジャパン・ハウス」のオープンの目玉としてお披露目されたときは、意表を突くその機能美に、ハリウッド映画を見慣れた現地の人たちも、目を見張っていたそうであります。現在は、アメリカの名門博物館「クーパー・ヒューイット・スミソニアン・デザイン・ミュージアム」に展示され、ニューヨーカーたちの熱い視線が注がれています。
 この他にも、人工知能・ソフトウエア技術研究センター、次世代海洋資源研究センター、国際金融研究センターなど、世界に向けて最先端技術を発信しており、本学のブランド力を高め、それぞれの組織と巧く連携し、歩調を合わせ、5学部17学科と大学院の教育・研究力が益々向上しております。
師弟同行で
 

 ところで、今、将棋界で16歳の藤井聡太七段が大活躍し、一躍将棋ブームになっております。30年前の平成元年に、初めて竜王のタイトルを獲得して以来、数々の記録を塗りかえ、歴代一位の金字塔を打ち立て、国民栄誉賞を受賞、平成の将棋界を牽引してきた羽生善治九段の言葉に、『1100勝を達成した、という事実はあっても、「1100勝したやり方が今後も通用するか」と言うとそうではありません。』、過去に通用した事実から勝利の要素を巧みに生かしながら、その先の未知の戦いに対しても必要なことは、「何時間も考え続けることができる力」、そして、その努力を「何年もの間続けていくことができる力」であります。今迄と違う戦い方を見つけるためにはこの二つが最も重要である、と語っております。
 平成を終え、新しい元号が5月よりスタートします。皆さんの「学び」は、「過去の事実」を学習することから、「新しい未来の発見」に挑戦する「学び」となるに違いありません。「新たな創造教育の最高学府をめざす」本学の創設に尽力された、玉川学園創立者の小原國芳先生は、『教育は「人」をつくり、人は「国」をつくり「世界」をつくる。学生を一律に教育するのではなく、学生一人ひとりのことを考えた教育」「師弟同行」を唱え生涯をかけ実践実証されておりました。その教えを糧として、本学は今後共充実した教育環境をより一層整えてまいる所存であります。
 皆さんが多くの学友と共に日々切磋琢磨を重ね、実りある学生生活を送られることを祈念し、私の祝辞と致します。

 平成31年4月1日

学校法人千葉工業大学

理事長 瀬戸熊 修

幕張メッセ・イベントホールで行われた入学式
幕張メッセ・イベントホールで行われた入学式

入学式スナップ


吹奏楽部が演奏
  吹奏楽部が演奏
「チバニー」が歓迎
  「チバニー」が歓迎