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2018.10.15

坂野さん優秀講演賞


ハイブリッドロケット燃料の燃焼を研究
 火薬学会の2018年度春季研究発表会(5月22、23日、東京都港区の機械振興会館で開催)で、坂野文菜さん(工学専攻博士1年、和田豊研究室=写真)が「低融点熱可塑性樹脂を用いたハイブリッドロケット燃料の熱分解挙動に関する実験的研究」を口頭発表し、優秀講演賞を受賞した。
 和田准教授の研究室では宇宙輸送技術をキーワードに、次世代型ロケットの推進系の提案や小型観測ロケットの設計、推進系の実証実験などを進めている。
 航空宇宙分野は「総合工学」といわれ、坂野さんらが研究するハイブリッドロケット燃料の燃焼現象にも、熱力学や流体力学、化学の要素などが関わってくる。自身の専門枠を飛び越えて問題を還元していき、元の物理現象を考察する点が面白いという。
 坂野さんは「和田准教授や研究室仲間の多くの助言で発表を成し遂げることができ、感謝しています。博士課程1年目での受賞をうれしく感じています。次の学会ではより深みのある研究報告ができるよう精進します」と語った。

吉崎さん優秀賞


Fe-Si合金の正確な表面張力を測定
受賞した吉崎さん(右)=指導の小澤准教授と
受賞した吉崎さん(右)=指導の小澤准教授と
 日本鉄鋼協会の第176回秋季講演大会(9月19〜21日、仙台市の東北大・川内キャンパスで開催)学生ポスターセッションで、吉崎隼人さん(機械サイエンス専攻修士1年、小澤俊平研究室)の「Fe-Si合金融体の表面張力に対する組成依存性」が優秀賞に選ばれた。
 小澤研では、微小重力環境や電磁浮遊技術、ガスジェット浮遊技術を利用し、高精度な熱物性計測や新規材料の開発などを行っている。
 構造材や磁性材料となるFe-Si合金は、融点が絶対温度1400度以上と非常に高温で、従来の方法では表面張力の測定が困難だった。また、表面張力は雰囲気中の酸素に影響されるが、それを考慮した測定もなかった。
 吉崎さんは、材料を空中に浮遊させる電磁浮遊炉を使うことで、高温測定を実現。雰囲気の影響も考慮し、Fe-Si合金の正確な表面張力データを得ることができた。
 ポスター発表では、理解されやすいよう図やフォントの大きさ、色合いなどを工夫。全体の構成が大変だったという。
 吉崎さんは受賞に「とてもうれしく思います。学会へ行くことを応援してくれた家族と、小澤先生に心から感謝します」と感想を語った。

山田さん優秀発表賞


プラスチック汚染 微小粒子の抽出法開発で
 日本環境化学会の第27回環境化学討論会(5月22〜25日、那覇市の沖縄県市町村自治会館で開催)で、山田直史さん(建築都市環境学科4年、亀田豊研究室=写真)が「顕微フーリエ変換赤外分光光度計による水中微粒子マイクロプラスチックの高精度分析手法の開発」を口頭とポスターの両方で発表し、優秀発表賞を受賞した。
 プラスチックによる水環境汚染が注目されているが、国内では調査が進んでいない。世界的にも分析方法が確立されておらず、新技術の開発が急務とされている。
 特にマイクロプラスチック(MPs)については、数十マイクロメートル以下の粒子・繊維状MPsの発見は困難だ。
 山田さんらは、水中の20マイクロメートル以上の粒子・繊維状MPsについて、比重分離と凝集沈殿処理を用いた抽出と、抽出後のサンプルの半自動定性・定量分析手法を開発し、抽出結果が有効なことを確かめた。
 山田さんは学会初参加。何度もスライドとポスターを修正し、口頭練習も念入りにやったという。
 受賞の感想を「素晴らしい賞をいただき、うれしく思います。亀田先生や多くの方々のおかげで感謝しています。今後も精進していこうと思います」と語った。

辻田さん優秀論文発表賞


電気学会 空間電位推定に関する研究
 電気学会の基礎・材料・共通部門=A部門=で、電気電子情報工学専攻の辻田篤志さん(修士2年、相知政司研究室=写真)が昨年発表した論文「平行平板電極中の空間電位推定に関する検討」が、同部門の2017年優秀論文発表賞に決まった。9月5日、兵庫県姫路市のイーグレひめじで開かれたA部門大会で表彰された。
 空間電位の推定は、従来は2つの円弧型電極を長距離間で囲み、静電容量と電位を用いた誘電率分布の推定を検討。測定と数値電界解析結果を比較した。静電容量では実験結果と数値解析結果がほとんど一致したが、電位ではディジタルマルチメーターで測定した実験値と数値解析値が大きく異なっていた。
 辻田さんらは、平行平板電極を用いて浮遊容量を含む等価回路を推定。等価回路から空間中の電位を推定する方法を新たに提案し、検討した。
 式を見ずとも図で内容を理解できるように工夫。誤解を招かないよう用語のニュアンスに細心の注意を払ったという。
 辻田さんは「光栄な賞を頂き、研究者冥利に尽きます。指導の教授陣や研究室仲間、家族に感謝します。今後も一層研究に邁進したいと思います」と語った。
 電気学会A部門は、電気工学に共通する基盤学術を広範囲に取り扱っており、先端的基礎技術についても幅広く取り扱うことによって学会の発展に先導的役割を果たそうとしている。

本学の支援、文科省が採択


ベトナム初のロボット学科開設
 ベトナムの大学の頂点に立つハノイ国家大学工科大(VNU-UET)のロボット学科開設に対する本学の全面支援の取り組みが9月21日、文部科学省の「日本型教育の海外展開推進事業」(EDU-Portニッポン)の公認プロジェクトに採択された。59件の申請のうち、公認プロジェクトの採択は12件で、私立大学は本学が唯一。
 ベトナム初となるVNU-UETのロボット学科は、本学未来ロボティクス学科のカリキュラムをそっくり移植して、来年9月に開設される。新学科の立ち上げで主導的な役割を担う教員の研修も本学で行うことになっており、その第一陣としてVNU-UETの3人の若手教員が今年5月から8月まで3カ月間、未来ロボット技術研究センター(fuRo)の客員研究員として研修を受けた。

実験動物の慰霊祭開く


 実験動物の平成30年度慰霊祭が9月21日、津田沼校舎2号館で行われた=写真。教育研究に貢献してくれた実験動物を供養するため、毎年開かれている。
 小宮一仁学長と教職員・学生約100人が参列。順番に献花し、動物たちに感謝と哀悼の意を捧げた。
 本学は科学技術の発展がこれら動物たちの犠牲の上に成り立っていることを再認識し、強い倫理観を持って教育・研究を進めていく。

福島高専と連携協定


工科系人材の育成へ
締結書を交わす小宮学長(右)と山下校長
締結書を交わす小宮学長(右)と山下校長
 本学は、地域で有能な工科系人材を育てようと9月21日、国立高等専門学校機構・福島工業高等専門学校(福島県いわき市=山下治校長、生徒数約1070人)と、教育・研究・社会貢献活動全般に係る「包括的な連携に関する協定」を締結した。
 締結式は本学で行われ、小宮一仁学長と山下校長が締結書を交わした。
 両校は今後、協力して、次代を担い国際社会で活躍できる人材、また、福島復興のための人材育成を進めていく。