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2018.10.15

ロケットの千葉工大 全開


御宿で4機打ち上げ
点火直後の高校生たちのハイブリッドロケット
点火直後の高校生たちのハイブリッドロケット
 「ロケットガール&ボーイ養成(ロケガ)講座2018」に参加した高校生たちのロケットが9月23日、千葉県御宿町の本学実験場から打ち上げられた。前日の22日には、機械電子創成工学科・和田豊准教授の研究室の4年生によるキャンディーを燃料とするロケットと、学生団体「SPARK」が設計・製作したロケットが打ち上げに成功。宇宙への夢と憧れを載せて、“ロケットの千葉工大”が太平洋の大空に発進した。(5面に関連記事)
宇宙技術目指して
正常に飛翔するロケット
正常に飛翔するロケット
 今年のロケガ講座は、応募者の中から選ばれた千葉、東京、神奈川など関東各都県の高校生13人(うち女子4人)がA、Bの2チームに分かれ、6月17日のキックオフ・ミーティングを手始めに、小型ハイブリッドロケットの設計・製作・組み立てなど一連の工程を全て自分たちの手でやり遂げて、9月23日の打ち上げを迎えた。
 2機のロケットはともにプラスチック(ABS樹脂)を燃料とし、Aチームの機体は全長147センチ、重量5.5キロ、想定到達高度270メートル、Bチームは全長172センチ、重量3.8キロ、想定到達高度353メートル。
 期待の打ち上げでは、Aチームが点火時の衝撃で飛び出したパラシュートがブレーキとなって、数十メートルの高さから発射台脇に落下するトラブルに見舞われた。
 Bチームは想定高度付近まで飛んだがパラシュートが開かず、機体は海上に落下し、待ち構えていた漁船に回収された。
 ともに100%の成功とは言えない結果。しかし、参加した高校生たちは千葉工大でなければ得られない経験に大満足。「将来は宇宙関係のエンジニアになりたい」などと、晴れやかな表情だった。
 これに先立つ22日、和田研究室の4年生11人がソフトキャンディー「ぷっちょ」20粒(約100グラム)を燃料とするハイブリッドロケットの打ち上げに挑んだ=5面に写真。機体は全長184.2センチ、重量8.3キロ、想定到達高度250メートル。
 このロケットは、先端部分に取り付けられた透明な気密カプセルの中のアクションカメラで、搭乗者の目線でとらえた飛行中の風景を撮影。上空でパラシュートを開いて海上に着水し、回収する計画で、実験は全て成功した。
和田研の実践的教育
 機械電子創成工学科に所属する和田研究室ではこの9月スタートの後期から3年生の「機械電子創成発展実験・実習」として、小型ハイブリッドロケットの設計・製作・組み立てから打ち上げ実験までを、学生が全て主体的に実施するカリキュラムを実施している。
 昨年に続いて2回目の御宿での4年生によるロケット発射実験は、新たな「発展実験・実習」のTA(ティーチングアシスタント)要員として4年生を育てようという試みだ。
 「このような小型ロケットを使った実戦的な教育活動をカリキュラム中に導入している大学は、他にはありません。千葉工大オリジナルのカリキュラムとしてさらにブラッシュアップしていきたい」と、和田准教授は話している。
 22日には「SPARK」のハイブリッドロケットも打ち上げ実験に成功した。機体は全長116.5センチ、重量3.8キロ、想定到達高度430メートル。
 搭載したGPS(衛星利用測位システム)の位置情報を地上に発信し、落下地点を割り出す機能を試すことが主な目的だったが、パラシュート開傘から着水間際までデータを発信。地上での受信にも成功した。
 「SPARK」は学科の垣根を越えたロケット愛好家の学生団体。日ごろの活動で蓄えたロケットの知識と経験を生かして「ロケットガール&ボーイ」でもTAとして活躍し、高校生に千葉工大をアピールする大きな力になっている。
点火操作をする高校生
点火操作をする高校生

本学 連続ランクイン
世界大学ランキング


外部資金、国際性で高評価
 英国の高等教育専門誌「タイムズ・ハイアー・エデュケーション(THE)」の「世界大学ランキング2019」が9月26日に発表され、本学のランクは昨年と同じ「1000+」だった。日本の大学は103校がランクインしたが、このうち医学系の学部を持たない私立大は21校=下の表=だった。
 本学は2016年から連続ランクインしているが、「産業界からの収入」(受託研究費や奨学寄付金)が今回ランクインした世界1258校中851位と、強みを維持。また海外の一流大学との提携・交流を積極的に進めてきた点が評価され「国際性」ランクも上昇した。一方、「研究の影響力」(論文の引用数)のスコアは、他大学に比べ平均値を下回った。
 小宮一仁学長は「同じ順位帯に国内のライバル校や有名な大規模総合大の名が多くみられるので、順位は気にせず、独自に着々と上位を目指す施策を進めたい。特に英文の研究論文数が増加するよう、さまざまなバックアップを実施しているので、教員にはこれらを利用するなどして、自身の研究成果を積極的に国際的評価の高い論文集に発表してほしい」と話している。