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2018.9.15

木口さん優秀論文発表賞


高効率の昇圧DC-DCコンバータを実現
 第32回電気学会産業応用部門大会(8月28〜30日、横浜市保土ヶ谷区の横浜国立大で開催)のヤングエンジニアポスターコンペティション(YPC)で、木口龍雅さん(電気電子情報工学専攻修士2年、西田保幸研究室=写真)の「高い昇圧比をもったカスケード接続昇圧DC-DCコンバータ」が優秀論文発表賞を受賞した。
 再生可能エネルギーをよりよく利用するには省エネ・高効率の電力変換システムが求められる。木口さんは西田研究室で、直流電圧を効率よく高い電圧に変える昇圧DC-DCコンバータの研究に取り組んでいる。
 今回、簡便な2つの昇圧チョッパ回路(半導体のON-OFFを高速で繰り返すことで任意の電圧を作り出す回路)をカスケード接続(直列接続)したDC-DCコンバータを用い、回路方式と利用部品の選択、回路のチューニングを高レベルで行うことで、高周波トランスを用いずに1キロワットで8倍もの昇圧電力変換を95%以上の高効率で実現し、この成果が認められた。
 回路の素子一つ一つの性能をより引き出すにはどう設計してゆけばよいのか――西田教授らのアドバイスを得て一歩一歩回路をブラッシュアップしていったという。
 木口さんは「受賞には、とても驚きました。発表の際には多くの質疑やコメントをもらうことができ、うれしく感じました。西田先生のおかげです。大変感謝しています」と語った。

水沢さん最優秀賞


Cリーグ ゼロメートル地帯で「歴史を伝える小学校」提案
 千葉県内大学の建築系3年生が小学校の設計を競い合う2018年第10回千葉県5大学合同講評会(通称Cリーグ=5月19日、本学津田沼校舎2号館で開催)で、本学の水沢綸志さん(建築都市環境学科4年、石原健也研究室=写真)が最優秀賞を獲得した。
 作品は、海抜ゼロメートル地帯の小学校のあり方を提案したもの。
 地盤沈下と都市開発が進んで歴史的建造物が消え、土地への愛情が希薄になっていく。土地の歴史や文化を伝える小学校とは――。
 古地図を大量に調べ、かつての参道を現在の敷地に導き、環境解析から建築の形を作り、都市開発で出た土を構造に使うことで小学校にモニュメント性を持たせたことが評価された。
 さまざまなスケールを行き来しながらのスタディーや古地図のトレースに苦労したという。
 水沢さんは「昨年、他コンペで負けた作品だったのでリベンジを果たせ、うれしく思います。ブラッシュアップしたかいがありました。指導の先生方や後輩に感謝したいです」と語った。
 Cリーグは本学、千葉大、東京電機大、東京理科大、日本大の5大学が参加。学生が優秀作を4作ずつ持ち寄り会場でプレゼンテーションし、ゲストの一流建築家たちが作品を前に講評し合う。当時、本学建築都市環境学科教授だった古市徹雄氏の主導で始まった。
水沢さんが提案した小学校の模型
水沢さんが提案した小学校の模型

宇井さんに助成金


排泄センサー ちばぎん研究開発助成制度2018
排泄センサー(ベッド上の青いシート)。
排泄センサー(ベッド上の青いシート)。
 要介護者のベッドに敷くだけで排泄を感知する排泄センサーを開発した宇井吉美さん((株)aba代表取締役、工学専攻博士後期課程3年)が申請していた「ちばぎん研究開発助成制度2018」で、宇井さんへの助成が認められた。8月2日、千葉市の千葉銀行本店で助成金交付式があった。
 今回申請した案件は、排泄センサーを用いて「高齢者の排泄物臭気からの疾病検出」機能を実現する研究。千葉大真菌医学研究センター(後藤義幸准教授)と協力して来年1月までに成果を挙げる予定で、研究資金として約100万円の助成が認められた。
 排泄センサーは特別養護老人ホームなどに販路を拡大中だが、現在は排泄の有無を知らせる機能と排泄リズムの把握を支援する機能だけとなっている。
 体調を崩しやすい高齢者に、感染予防は最重要課題。ノロウイルスなどは、においのパターンで検知できる可能性があるという。宇井さんらは、センサーで集めたデータを人工知能(AI)などの技術を生かして分析し、感染症などの疾病の早期発見方法の開拓を目指す。
 宇井さんは中学時代に祖母を介護した経験から介護者の負担を減らしたい、と本学に入学。未来ロボティクス学科在学中の2011年に学生ベンチャーabaを設立した。日本政策投資銀行主催「第1回DBJ女性新ビジネスプランコンペディション」でファイナリストになったのをはじめ、数々の創業コンテストで最優秀賞などを受賞している。
 製品化した排泄センサーはオーストリアやオランダからも発注が来ており、今後、海外への販売も視野に入れている。
宇井さん
宇井さん

千秋PERC上席研究員が協力


大ピラミッド構造探査
東日本国際大エジプト考古学研究所の公開研究発表会で。左から3人目が千秋上席研究員、右から3人目が吉村学長
東日本国際大エジプト考古学研究所の公開研究発表会で。
左から3人目が千秋上席研究員、右から3人目が吉村学長
 エジプト考古学者・吉村作治氏が学長を務める東日本国際大(福島県いわき市)のエジプト考古学研究所は7月5日、「大ピラミッド探査プロジェクト」について本学惑星探査研究センター(PERC)など4大学1社の研究機関と連携協力の覚書を交わした。
 ギザのクフ王の墳墓として知られる大ピラミッドは昨年、名古屋大などのチームが、内部に未知の巨大空間があるのではないか、と英科学誌ネイチャー電子版に発表し、注目された。プロジェクトは、大ピラミッドの未知の空間などを精密探査するもので、吉村学長を隊長に今年4月に始動。今回、最新技術による協力を求めて覚書を交わした。協力するのはPERCのほか、東京大大学院工学系研究科システム創成学専攻・宮本英昭研究室、東北大東北アジア研究センター・佐藤源之研究室、九州大大学院総合理工学研究院エネルギー科学部門・渡辺・金研究室と有限会社タイプエス。
 PERCは「はやぶさ2」の技術開発に関わった千秋博紀上席研究員が、東北大・佐藤教授、東京大・宮本教授のチームが行うGPR(地中レーダー)探査のとりまとめを担当。電波を送り反射波のパターンから地下構造を推定する技術で、観測データを3次元化しピラミッド内部を探る。
 大ピラミッドは底辺約230メートル、現在の高さ約139メートル。千秋上席研究員によると、これは小惑星の特徴的サイズくらいで、惑星の構造探査で検討している方法を応用できそう、とプロジェクトに声を掛けたのが協力計画のきっかけという。
 ほかに九州大・金准教授のチームが宇宙線ミュオンを用い透視する「ミュオグラフィ」を、タイプエス社がドローンによる測量などを担当する。
 東日本国際大の研究所はこの日、公開研究発表会を開き、探査プロジェクトの説明やパネルトークを行った。