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2018.9.15

CanguRo LAで鮮烈デビュー


「美しい!」 実用化に期待
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)が開発した、ロボットから乗り物へと自動変形する次世代モビリティー「CanguRo(カングーロ)」が8月、米国ロサンゼルスで華々しく国際デビューを果たした。自動車の発展とともに成長し、数々のSF映画を生みだしてきたハリウッドを抱えるロスの人たちにも、「CanguRo」は鮮烈な印象を与え、「実用化はいつ?」「今すぐ売ってほしい」といった声が相次いだ。
ジャパン・ハウスLAの企画展に登場した「CanguRo」とHallucⅡx
ジャパン・ハウスLAの企画展に登場した「CanguRo」とHallucⅡx
HallucⅡxもお披露目
 ロサンゼルスでの「CanguRo」デビューのデモンストレーションは、外務省が日本文化の新たな発信拠点として設けた「ジャパン・ハウスLA」で開催中の企画展《山中俊治「Prototyping in Tokyo」展〜先導するデザインの制作絵巻》のオープニングイベントの中で、8月16日にメディアとVIPを招待して、18日には一般市民を対象に行われた。
 これに先立つ同15日夜には、ハリウッドスターが愛用した車やSF映画などの撮影に使われた車の展示で知られる「ピーターセン自動車博物館」でも、同企画展の関連イベントとして、公募で集まった一般客を対象にデモが行われた。
 3日間とも「HallucⅡx」もデモに加わった。
《「Prototyping in Tokyo」展》は、fuRoの古田貴之所長と二人三脚で「HallucⅡ」や「CanguRo」を生みだしてきたプロダクトデザイナー、山中俊治氏が制作したさまざまなプロトタイプを通して、そのイノベーションのプロセスを伝える展覧会。
 ピーターセン自動車博物館では、「CanguRo」は広い会場をスラロームなどで自在に走り回って観客を魅了。「HallucⅡx」のユニークでユーモラスな動きに会場が笑いと歓声に包まれる場面も。
 山中氏と地元有識者らとの対談では、ロスで最近、急速に普及する一方、ユーザーのマナーなどが問題になっている「電動キックボード」について、「CanguRo」が代わりにならないかといった話題も上った。
 「ジャパン・ハウスLA」がメディア関係者やVIP約100人を招待して開いた16日夜のプレスプレビューとデモでは、fuRoの研究員に「とても美しい」という感嘆の声とともに、実用化の時期や価格についての質問が相次ぎ、先端技術を「何はともあれ試してみたい」という米国人気質があふれていた。
 「ジャパン・ハウスLA」はロスのシンボルである「ハリウッド&ハイランド」の2階と5階に施設を設けている。アカデミー賞で有名なドルビーシアターの入り口に面しているため、毎日、大勢の観光客が訪れる。「Prototyping in Tokyo」と記された会場入り口に展示されている「HallucⅡx」を見て中に入る人も多いという。「HallucⅡx」は10月末まで展示される。
■CanguRo
 イタリア語で「カンガルー」を意味し、乗り物とロボットとの完全な融合を目指す「RidRoid」(ライドロイド)シリーズと位置づけられている。ロイドモード(ロボット)時のCanguRoは主人の後をついてきて、買い物の荷物運びなどを手伝い、離れた場所にいてもスマートフォンなどで呼び出せば、指定の場所まで完全自動操縦で迎えにきてくれる。主人が移動したい時はライドモードに自動で電動変形し、主人の身体の一部となって移動をサポートする。移動中、事故を起こしそうになっても、スマートストップ機能で自動ブレーキが働き、未然に衝突を回避する。つまり「パーソナルモビリティーを超えた真の人機一体・AI時代の人間のパートナー」(古田所長)だ。

ベトナム初 ロボット学科


国家大に本学カリキュラム移植
 ベトナムの大学の頂点に立つハノイ国家大学工科大学に、本学のカリキュラムをそっくり移植した同国初のロボット学科が開設され、9月6日の入学式に瀬戸熊修理事長が来賓として招かれてあいさつした=写真
 また、開設記念式典で同学科への進学を希望した60人の学生を前に、「皆さんは日本における最先端のロボット工学を、最新の教育方法によって、ベトナムにいながら学ぶことができます。千葉工業大学は皆さんが成長していくために、世界の科学技術者としての次世代を見据えた先端技術に関する情報も併せて提供することをお約束します」と語りかけた。
 ハノイ国家大学工科大と本学は2013年に交流協定を締結。特にロボット工学の分野では、同大学からこれまでに32人の学生が本学を訪れ実習授業に参加してきた。
 ロボット学科の開設は2015年に瀬戸熊理事長と未来ロボット技術研究センターの古田貴之所長らが同大学を訪れた際に、グエン・ベト・ハー学長から協力を要請され、協議を重ねてきた。
 その結果、①本学の先端的なロボット教育カリキュラムの提供②教育方法など、実践的な教育展開のためのノウハウの提供およびトレーニングの支援③充実した教育を展開していく上で必須のラボラトリーの構築支援――などについて、本学が協力することで合意。
 今年5月にはハノイ国家大学工科大の3人の教員が客員研究員として本学を訪れ、fuRoの研究員や未来ロボティクス学科の教員から3カ月間、新学科立ち上げに向けた実践教育のための研修を受けた。この客員研究員招聘事業は新学科が完成年度を迎える2022年まで継続する。

ルワンダ国立大と趣意書


理事長 科学技術発展へ協力
趣意書を交わす瀬戸熊理事長とムリガンデ副学長
趣意書を交わす瀬戸熊理事長とムリガンデ副学長
 近年、アフリカ諸国の中でも目覚ましい発展を遂げて「アフリカの奇跡」と注目されているルワンダ共和国を8月23〜30日、瀬戸熊修理事長、松井孝典惑星探査研究センター所長が訪問。ルワンダ国立大・チャールズ・ムリガンデ副学長と、科学の基礎教育や科学技術発展のためのソフトウエア開発、なかでもICT(情報通信技術)の教育・研究に本学が協力していくための協力趣意書に署名した。
 ルワンダは1994年に部族間抗争に発した大虐殺で100万人(当時の総人口約730万人)ともいわれる犠牲者を出した。しかしその後、世界中に移住しているルワンダ人による農業や観光産業、鉱業などへの投資で目覚ましい経済成長を遂げている。
 ただ、これらの主要産業のさらなる自力発展のためには、科学技術やICTなどに携わる人材の育成、先進国の教育・研究機関などとの共同研究の推進が喫緊の国家課題となっている。
 そこでルワンダ国立大をはじめルワンダ政府、ICT省など関係機関からの本学への協力に向けた協議の強い要請を受けて、瀬戸熊理事長らが訪問。宇宙分野の人材育成に向けた協力についても合わせて検討を進めていくことが確認された。