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2018.2.15

小惑星「Matsui…」捉えた!


PERC所長名の星 小惑星帯に
 惑星探査研究センター(PERC)の松井孝典所長の名前が付けられた小惑星「7301Matsuitakafumi」を昨年12月7日、PERCの吉田二美研究員らが観測した。
  「Matsuitakafumi」は火星と木星の間の小惑星の軌道が集中している領域「メインベルト」にあり、直径6.245キロメートル、公転周期1526日であることなどがこれまでの観測から分かっているが、その他のデータはほとんど得られていない。
 1993年1月2日に、アマチュア天文家の浦田武氏と名取亮氏が発見。小惑星の命名権は本来、発見者に帰属するが、浦田氏が亡くなったなどの事情で、“松井ファン”のアマチュア天文家仲間を通して、松井所長の名前を付けたいという提案が持ち込まれた。
 12月7日の観測は和歌山県日高川町のかわべ天文公園にある口径1メートルの望遠鏡を使って、日本大の研究室と共同で行われた。松井所長も加わり、カメラにとらえられた「Matsuitakafumi」に興味津々の表情で見入っていたという。
 この観測データから、この小惑星の新たな姿が明らかにされるか、期待されている。

「新習志野駅」デザイン提案


橋本研が発表・講評会 JR支社が協力
熱心な意見が交わされた発表会&講評会
熱心な意見が交わされた発表会&講評会
 デザイン科学科3年生の後期の授業「デザインセミナー」で、JR京葉線「新習志野駅」を対象としたデザイン提案に取り組んできた橋本都子教授の研究室の学生による最終発表会&講評会が1月29日、津田沼校舎7号館で開かれた。
 昨年9月に始まったこの授業で、学生たちはJR東日本千葉支社の全面協力を得て、設備部や建築技術、駅関係、企画担当などの職員からのレクチャーやヒアリング、駅現場と周辺地域の見学などを積み重ねた。
 それらの知識とデータをもとに、13人のメンバーが4班に分かれて、新習志野駅の新たな魅力づくりや京葉線沿線の価値向上を促進するデザインを検討。以下の提案をまとめ上げた。
提案を見る参加者
提案を見る参加者
自然・光グループ「習志野の顔」
習志野市の自然を代表するアジサイやアカシア、強い海風を象徴的にとらえて、窓やルーバー(羽板)などのデザインに生かし、駅の“新しい顔”とする。
サイン計画グループ「駅と人を繋ぐサイン計画」
地図を簡略化し、施設をアイコン化した床マップと周辺施設案内表示板(ガラスボード)を設けて、老若男女だれにでも新習志野駅の魅力を幅広く発信。
にぎわいグループ「SWITCH 切り替えの場所、心のスイッチ」
駅を「日常生活の中で気持ちを切り替える場所」ととらえ、床や天井をコンクリートから木材に。駅に一歩足を踏み入れると、足音の変化が心のスイッチにもなるだろう。
意匠グループ「日常に安らぎを与える新鮮な空間」
駅を「一時的な利用であっても和むことのできる空間」に。改札口正面などに、木材の板製の、さまざまな用途に形を変えて使えるワッフルを設置する。
 発表会&講評会にはJR東日本千葉支社から鈴木孝子設備部長、吉田智一新習志野駅長など11人の職員が参加。大川茂樹副学長も交えて質問や感想、熱心な意見交換が行われ、最後に参加者の投票で順位を決めた(掲載順)。これらの提案は今後、JR内でさらに検討を加えられ、実現される可能性もある。
 なお、修士1年の森亮太さんも「EKI LIGHT」と題した提案を行った。
橋本教授の話
JRの皆さんにも学生のこの取り組みを高く評価していただきました。授業を大学内だけで終わらせずに、社会に開くことで、学生のモチベーションを高めることにつながったと思っています。

都市鉱山製メダル展示


小山研究室など エコテクノ2017で
 本学先端材料工学科・小山和也研究室などは“都市鉱山”から分離製作したメダル=写真=を「エコテクノ2017〜地球環境ソリューション展/エネルギー先端技術展〜」(昨年10月11〜13日、西日本総合展示場新館で開催)に展示し、リサイクルの先端技術を紹介した。
 北九州市立大エネルギー循環化学科、(株)アステック入江との共同研究の成果。
 小山研究室では、都市で廃棄される携帯電話、スマートフォンなどに高品位で含まれる金やレアメタルを、水溶液を用いた電気化学的手法や化学的処理により分離・回収しリサイクルする方法を研究している。展示メダルの母材は銅やめっきされた金で、リサイクル原料から分離・精製した。
 小山教授は「今後も産官学連携でリサイクル技術を研究し、実証や共同技術の開発につなげていきたい」と語っている。

地方活性化へ提言


本学チーム 県事業3市を対象に
提言を並べたポスター
提言を並べたポスター
 少子高齢化や人口減少による過疎化に悩む千葉県内の市町村の活性化策を千葉県内の大学から募る県の事業に、本学の建築、都市環境、デザイン科学科とプロジェクトマネジメント学科から合わせて6研究室が参加し、高い成果を上げた。
 廃校校舎などの空き公共施設を有効活用して地域活性化につなげようというこの事業で、本学の研究室は▽田島研=銚子市▽八馬研・稲坂研=勝浦市▽鎌田研・大嶋研・加藤研=南房総市と地域を分担。それぞれの研究室が修士課程と学部4年生の有志をメンバーとしてチームを組み、昨年4月から活動を続けた。
 活動は、市役所職員や地元経済界・住民のキーパーソンへのインタビュー、現地踏査と聞き取り調査など多岐にわたり、中間とりまとめのための合宿も組み込まれた。
 こうして集めた膨大かつ細密な資料をもとにチームごとに提言をまとめ、12月までに各市長や地元有力者、県の担当者などを前にしたプレゼンテーションを終えた。
 各チームの提言は――
銚子市チーム
今年3月で廃校となる市立猿田小学校の校舎活用。市の主幹産業である漁業に加えて、農業の新たな拠点を構築し、両産業をセットにした経済の活性化を図る。
勝浦市チーム
閉校した市立清海小学校の校舎の活用を通じて、1つ1つの施設の独立した機能の提案に留まらない、勝浦全体を楽しくするためのトータルデザインを構築。
南房総市チーム
市内の空き施設を使い地域でチャレンジしたい人のためにインキュベーション機能と地域互助機能を備えた「お試しの場」を作る。旧観光案内所の建物を活用。
 それぞれの提言はプレゼンテーションでいずれも高く評価された。今後、各市長のもとで実現の可能性が検討される。
 今回の提言活動を主導した鎌田元弘副学長(社会貢献担当)は「同様の活動をしているチームや研究室の報告会を全学あげて開きたい」と話している。
 県のこの事業には千葉大、千葉商大も参加した。

南房総市にCIT技術


中川助教主導
 本学が推進する産学協働地域活力創造プロジェクトの一環で、情報ネットワーク学科の中川泰宏助教が指導する学部3年生3人(今井駿汰さん、柄澤勇弥さん、薩摩顕蔵さん)と2年生2人(岡大輝さん、奥野知大さん)のチームが、南房総市の依頼で市の業務効率化のためのシステム開発を行った。
 3年生チームが挑戦したのは、同市が導入している「バウチャー券」管理のシステム化。このバウチャー券は、子どもを塾などに通わせている家庭に交付されている所得額に応じた費用補助。
 通し番号でどの家庭に交付されたか分かる仕組みだが、市役所―個々の家庭―複数の事業者―市役所という流れの中で、正確な使用の実態を把握する作業はすべて職員の目視に委ねられているため、非能率的だった。
 この問題を3年生チームは、OCR(光学式文字読取装置)とデータベース検索によってコンピューター処理するシステムを開発。3月に市役所に納品する予定だ。
 2年生チームは1月5、6日、同市の空き公共施設のシラハマ校舎(旧長尾幼稚園・小学校)でプロのSEとワークショップを開き、預り保育に携わるパート従業員と子どもたちの出退勤システムの開発に挑戦。ICカードやスマホで出退勤をチェックし、データベース化するシステムのプロトタイプを提案した。
 学生によるこの2つの挑戦とは別に、中川助教は昨年12月23日、シラハマ校舎で、高大連携の試みの一環として県立安房高校(館山市)の1、2年生9人を対象に、「感じる学問〜音と画像から見た数学と物理の世界〜」と題する体験型の授業を実施。今年の2月11日には、第2回として7人を対象に「感じる学問〜インターネットにつながる仕組み〜」を行った=写真
 大学の教育・研究と高校の授業との架け橋を構築し、将来的には遠隔地を結ぶeラーニング・システムにつなげて、若者の地元定着を図る狙い。
 南房総地域の市町村はどこも、さまざまな方策を講じて地域を活性化し、過疎化の進展に歯止めをかけようと懸命だ。中川助教が南房総市で進めるこれらの「教育・研究の社会実装化」は、これからの工学教育の進路を示す本学らしい具体例と言えるだろう。