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2017.12.15

海外発表9人が受賞


金融学生ら 生産管理国際大会で
 日本生産管理学会などが開く第3回生産管理国際大会(ICPM2017)は9月7〜11日、タイ・バンコクのアサンプション大で開かれた。今回のテーマは「生産のデザイン思考とイノベーション」。日本から約100人が参加して研究発表し、本学からは9人が各賞を受賞した。
 大会実行委員長を務めた本学の森雅俊・金融・経営リスク科学科教授に貢献賞、編集委員を務めた久保裕史・プロジェクトマネジメント学科教授には感謝状が贈られた。
 金融・経営リスク科学科は、ICPMへの参加を、国際コースの行事として奨励している。森教授は「学部生でもポスター発表できます。海外での体験は貴重で、継続できる仕組みが必要と思います」。参加学生たちは「国際会議での発表は、とても緊張しましたが、タイ学生との交流、工場見学などがあり、よい機会を与えていただいたと感謝しています」などと語っていた。受賞者は次の通り。
 Excellent paper=葛西恵里子さん、梅村彰さん(マネジメント工学専攻博士後期課程3年、久保研究室)▽Good paper=山本典生さん(マネジメント工学専攻修士課程1年、森研究室)▽Excellent poster=小川祐輝さん(同)、木曽寛隆さん(金融・経営リスク科学科4年、森研究室)▽Good poster=片倉和彦さん、佐々木大喜さん、山口祐輝さん(同学科3年、同研究室)、阿部雅紘さん(同、徐春暉研究室)
ICPM2017の参加者たち
ICPM2017の参加者たち

院生4人が優秀賞


日本デザイン学会秋季企画大会で発表
(左から)不動さん、西尾さん、小田さん、石井さん
(左から)不動さん、西尾さん、小田さん、石井さん
 平成29年度日本デザイン学会秋季企画大会(10月13〜15日、函館市地域まちづくりセンターほかで開催)の学生プロポジションで、ポスター発表した本学の石井智崇さん、小田彩花さん、不動智博さん(以上は赤澤智津子研究室)、西尾修朔さん(佐藤弘喜研究室)=いずれもデザイン科学専攻修士1年=の4人が優秀賞に決定。このほど表彰状が届いた。
 大会では「共創・当事者デザイン」をテーマに、当事者と共にデザインすることの意味を話し合った。学生プロポジションには全国から15校68人が参加し、20件が優秀賞に選ばれた。
 受賞4人の発表内容と感想は次の通り。
石井 智崇さん

「エクスペリエンスマップに基づくロゴマークの設計要件の抽出〜在宅医療・介護の連携を推進する組織のロゴマークの制作〜」

 「船橋在宅医療ひまわりネットワーク」のロゴマークを制作。現場に必要なロゴマークの要素を明らかにするため、医師やケアマネジャー、患者家族などから話を聞いて“体験マップ”を書き出し、ロゴマークの設計要件の抽出を経て制作。施設に採用された。
 発表では専門用語を使わず、初めての人に分かるよう心がけたという。
 「他大学の学生・教授と自分のテーマを議論できてよかったです。他領域からの意見はとても新鮮で参考になりました」

小田 彩花さん

「デザイン未経験者を含めたワークショップによる、潜在的価値抽出デザインプロセスの計画−富山県立山町風呂敷デザインプロジェクト−」

 立山町と本学で取り組んだ立山町の風呂敷デザインについて発表。町の良さを町民から引き出して形にしようと①実際に立山町を体感②「伝えたい」ことを決める③図柄で表現する――のプロセスを経て制作したことを説明した。
 「同じように共創デザインに取り組んでいる他大学の方々に興味を持っていただき、楽しく発表できました。ディスカッションが盛り上がったのを評価していただけたのかなと思います」

不動 智博さん

「町の認知度向上を図る、特産品のパッケージデザイン〜富山県立山町ラ・フランスジュースパッケージの提案」

 立山町で風呂敷企画と同時に進めたジュースパッケージについて発表。①プロジェクト目的の明確化②現地で情報を集める③商品力を探る④“気づき”をデータ分析⑤コンセプト立案・模型制作――を経て町長室でプレゼンした流れを説明。
 立山アルペンルートの特徴やラ・フランス生産者の栽培へのこだわりが伝わる形を目指して検討を続けたという。
 「(評価を)とてもうれしく思います。ディスカッションではリサーチに特に関心を持っていただきました。収集データをまとめるのは難しいことで、手を抜かずにやってよかったと思えました」

西尾 修朔さん

「旅行みやげの贈与における印象に関する研究−地域の違いとデザイン要素の関係−」

 お土産を選ぶときの、地域とパッケージデザインとの関係を、東京駅と名古屋駅の土産品25種類ずつから考察した。
 抜き出した要素をカテゴリー分けし、数量化理論Ⅲ類(日本で開発された多次元データ分析法の1つ)とクラスター分析にかけた結果、東京駅では地域性と具体性、名古屋駅では写真などを使い複雑性と色彩で評価される傾向が導き出された。
 「自分なりの視点を軸に取り組んだ研究が評価していただけ、大変うれしく思います。評価・分析で難しさを感じましたが、1つ1つの工程が自分の力になったのではないかと感じます」

神保さんFIT奨励賞


深層学習で圧縮画像の雑音を除く新手法
 情報処理学会・第16回情報科学技術フォーラム(FIT2017=9月12〜14日、東京・本郷の東京大で開催)の一般講演で、神保悟さん(情報科学専攻修士1年、八島由幸研究室=写真)が「量子化幅適応型ディープラーニングを用いたH・265/HEVC符号化雑音除去」を発表し、FIT奨励賞を受賞した。
 画像認識の性能を飛躍的に向上させたAI(人工知能)技術を、国際標準方式MPEG/JPEGなどで知られるデジタル画像の圧縮・伝送に取り入れる研究が注目されている。
 神保さんらは、H・265/HEVCという手法で圧縮符号化した後の復号画像に含まれる雑音を、深層学習によって取り除く新手法を提案した。
 従来、ある量子化幅で符号化した画像の雑音除去を行う場合、異なる量子化幅で設計した雑音除去用の畳み込みニューラルネットワーク(CNN)を用いると良好に雑音除去ができず、あらゆる量子化幅で設計したCNNを持つ必要があった。神保さんらは、単一の量子化幅で設計したCNN出力に、量子化幅と雑音量の相関性に基づく適切な補正を施すことで、異なる量子化幅で符号化された際に発生する雑音に対しても優れた雑音除去が可能なことを示した。
 深層学習活用の研究は、研究室としても立ち上げの時期で、GPU(画像処理演算装置)など高速処理環境の整備や情報収集を一から始める苦労があったという。
 神保さんは「賞が頂け大変うれしく思います。今回の発表で指摘していただいた点について分析し、研究をより深めていきたいです」と語っている。

金田准教授に最優秀論文発表賞


 日本水泳・水中運動学会の2017年度年次大会は10月21、22日、東京都北区の味の素ナショナルトレーニングセンターと、隣接する国立スポーツ科学センターで開かれた。先進工学部(教育センター体育教室)の金田晃一准教授=写真=が、12年ロンドン五輪日本競泳陣の技術スタッフ・足立哲さんと2人で「段階的な水位減少による立ち上がり動作訓練の可能性〜動作および筋活動による検討〜」を口頭発表し、ヤマハ最優秀論文発表賞を受賞した。
 大学施設を利用し水中環境での運動=歩行や椅子立ち上がり、段差昇降などの動作と筋活動=を調査、大会メインスポンサーのヤマハ発動機(株)名を冠した受賞となった。
 金田准教授はスポーツ科学と工学・情報科学・社会システム科学との連携を模索。ヒトの動きを詳細に計測し、運動プログラムやモノ、システムの改良に役立てている。
 受賞に「千葉工大に赴任後、初の受賞で、大変うれしく思います。今後もオリジナリティーを失うことなく、教育・研究活動に邁進していきたいと考えています」とコメントした。

佐野教授に流体工学部門賞


 流体工学分野で優れた業績を挙げたとして日本機械学会流体工学部門は10月29日、本学の佐野正利・機械工学科教授=写真=に流体工学部門賞を贈った。第9回日韓熱流体工学会議(10月27〜30日、沖縄県宜野湾市の沖縄コンベンションセンターで開催)で表彰された。
 佐野教授は、流体や物体の熱移動を活性化させる技術の開発や、マイクロ熱交換器の性能向上、プラズマを利用した熱と流れの制御などの研究で知られ、2013年、日本機械学会からフェローの称号を贈られた。
 同学会流体工学部門によると、特に、後向きステップを有するチャネル乱流の制御、管路の熱伝達測定、境界層制御に関する研究で卓越した業績を挙げる一方、技術者の育成に努め、学会でもワークショップを運営するなど多大な貢献をした。
 日本機械学会は会員数3万4千人を超す国内最大級の学会で、120年の歴史がある。22部門があり、流体工学部門は学会の最大部門。
 佐野教授は「最大部門から賞をいただき光栄です。業績の多くは千葉工大着任後に行ったもので、ご支援、ご協力をいただいた教職員、院生・学部生に心から感謝します。機械工学・工業の発展に少しでも貢献できたらと思います」とコメントを寄せた。