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2017.3.15

本学4教授が発表
プラズマ研究成果


産官学連携フォーラム開く
 産業界や官界、地域社会などとの交流を深めるため年に一度、本学の研究成果を外部に公開する2016年度の「産官学連携フォーラム」が2月28日、千葉工業大学産官学連携協議会の会員企業や大学院生・学部生などが参加して津田沼キャンパスで開かれた=写真
 今回、研究成果を発表したのは、応用化学科・尾上薫教授▽電気電子工学科・小田昭紀教授▽工学部教育センター・鈴木進教授▽先端材料工学科・井上泰志教授。これに先端材料工学科の坂本幸弘教授(産官学連携センター運営委員長)を加えた5人で昨年度から学内組織「プラズマ・フォーラム」を結成している。
 プラズマ・フォーラムは文科省の科研費などの外部の競争的資金を獲得するために、研究者同士の情報交換を密にして、結束を強めるのが狙い。附属研究所の助成を受けている。
 5人の構成メンバーはそれぞれが独自の研究分野で優れた成果を上げ、産業界とも技術指導や受託研究などで密接な関係を構築している。とりわけ基礎から応用まで異なる分野の研究者が横断的に集まっているケースは日本の私学では珍しい。
  4人の研究発表は次の通り。
  ▽尾上教授「反応場の工学的体系とプラズマ反応の応用」
  ▽小田教授「計算機シミュレーションによる非平衡大気圧プラズマの解析」
  ▽鈴木教授「H2OによるN2準安定励起分子の失活レート係数」
  ▽井上教授「斜入射スパッタリング法による微絨毛構造化薄膜の形成」

共創の技法を探る


PM研究会 第4回シンポ開く
 PM学科の久保裕史教授が中心となって活動している「R&D PM研究会」が2月14日、「第4回R&Dプロジェクトマネジメント(PM)シンポジウム」を東京スカイツリータウンキャンパスで開催。産業界や大学、官公庁などから満席の80人が参加した。
 この研究会は2012年6月に発足し、研究開発にPM技法を適用することで、革新的な製品やサービスを産み出す仕組みや組織作りの知識体系構築を目指している。当初は研究開発(R&D)の生産性向上に力点を置いていたが、最近は新しい価値創出のための技法開発を中心に活動を進めている。
 今回のテーマは「共創する R&Dプロジェクトマネジメント」。AIやIoT、ビッグデータなどの先端IT技術をフル活用し、供給者と顧客側が一体となって、インダストリー4・0(第4次産業革命)やソサイエティ5・0(日本政府が進めるスマート社会計画)などの経済・社会面における大変革を実現しようという狙いだ。
 第1セッションの招待講演は、産総研人工知能研究センター首席研究員の本村陽一氏による「サービスシステムデザインにおける人工知能」。「製品(モノ)から経験価値(コト)へのビッグデータによる循環型バリューチェーン実現」の重要性と、「AIがイノベーションの民主化を加速する」ことを分かりやすく解説。
 2人目の招待講演者は三菱総研主任研究員の大川真史氏。同氏はベストセラー「IoTまるわかり」の著者。「つながる社会でのIoTサービス開発の進め方」と題して、従来とは全く発想が異なる開発法を、さまざまな事例を交えながら講演した。
 第2セッションは、研究会のキーパーソン3人による研究成果の発表。
 最初は(株)リコーのシニアスペシャリスト、清田守氏による「魔の川・死の谷・ダーウィンの海を越えるR&D PM」。R&Dの現場で試行錯誤を繰り返しながら「使えるPM技法」を確立し、大きな成果を挙げている。同氏はこの研究成果を博士論文にまとめて、本学で博士(工学)の学位を取得予定。
 次はネクストエナジー・アンド・リソース(株)技術本部部長の垣本隆司氏による「アーキテクチャ(設計思想)・ベースのR&D PM共創戦略」。真の顧客価値を実現するため、アーキテクチャに基づいて戦略を組み立て、それを共創によるイノベーションにつなげるための「見える化」技法が紹介された。
 3番目はドアホン大手企業主事の加藤勇夫氏による「変化に強いR&Dプログラムマネジメント」。「顧客の視点」と「業務プロセスの視点」を同時にもつ「マルチ・プログラム・プラットフォーム」について報告した。
研究会であいさつする久保教授(右) 研究会であいさつする久保教授(右)
研究会であいさつする久保教授(右)

ICTで授業改善を


FD講演会で日大准教授が講演
 教員と職員が力を合わせて、本学の教育力向上のための活動に取り組んでいるFD(Fuculty Deveropment)委員会(委員長・長尾徹デザイン科学科教授)主催の講演会が2月22日、津田沼キャンパス2号館3階大教室で開かれた=写真
 冒頭のあいさつで小宮一仁学長は「今回が第3回となるこの講演会では、先生方の授業にすぐに役立てていただける実践的な講演を外部の先生にお願いしているが、職員の皆さんも多数参加してくださり、教職協働が着々と進んでいることを実感している」と、会場を埋めた教職員に語りかけた。
 講演は日本大危機管理学部の木村敦准教授による「今あるICT(Information and Commu
nication Technology)を活用した授業改善〜最少のICTで最大の効果を」。木村准教授は前任校の東京電機大でLMS(ラーニング・マネジメント・システム)を使って授業改善に取り組み、その成果をまとめた論文が私立大学情報教育協会の平成26年度教育改善研究発表会で奨励賞を受けている。
 木村准教授は、グループワーク参加学生に関するデータをLMSのアンケート機能を使って収集し、学修プロセスを可視化するe‐Logbookを開発。その内容を表計算ソフトのExcelや無料のクラウドストレージDropboxを使って表やグラフにして検証することで、学生の授業満足度アップや協調学習における欠席数の減少などをもたらすさまざまな授業改善策を実践したことを報告した。
 これに対して、会場から「学生の積極的なアンケート回答を促すための動機付けは?」「グループ学習だと、積極的に議論に参加する学生と消極的な学生に分かれて、役割が固定してしまうのではないか?」など、さまざまな質問や意見が出て、木村准教授との間で活発な交流が展開された。
長尾教授の話
 本学のFD活動は他大学に比べても活発に行われており、教職員の意識も盛り上がってきていると思います。この流れに乗って、大学院FDの充実や教職協働の中でのSD(Staff Development)活動もしっかり考えていきたいと思います。

世界の頭脳 新習志野に


米国電気電子学会 日本で活動60周年
 全世界に40万人を超える会員を有する世界最大の学会「米国電気電子学会」(IEEE)の日本での活動が60周年を迎えたのを記念するイベントが3月3日、新習志野キャンパスで開催され、世界最先端の頭脳が本学に集結した=写真
 参加者は米国から駆け付けたカレン・バートルソン会長をはじめとする米国本部の理事会役員、日本が所属するアジア・太平洋地域の各国にある支部の支部長、日本にある9支部に所属する大学教員や研究者、学生など合わせて約270人。
 東京大の菅野卓雄名誉教授、東京工業大の西原明法教授、早稲田大の津田俊隆教授など日本を代表する研究者が次々に壇上であいさつ。会場の1号館大教室は世界の電気電子学界を担う研究者の熱気に包まれた。
 このイベントは、IEEEアジア・太平洋地域運営組織の理事会が3月4日から幕張メッセで開催されたのに合わせて開かれた。会場に新習志野キャンパスが選ばれたのは、情報工学科の佐波孝彦教授(副学長)が昨年、IEEE東京支部の理事を務めたことによる。佐波教授はIEEE通信ソサイエティでのアジア・太平洋地域の理事も務めている。
 3日のイベントでは情報通信システム工学科の菅原真司教授、情報工学科の鎌倉浩嗣教授、今井順一教授と4研究室の大学院生合わせて10人が運営に協力した。
 イベントの後、新食堂棟3階に会場を移して開かれたレセプションには、小宮一仁学長が来賓として招かれ「学会活動の60周年を記念するイベントが本学で開催されたことは大変名誉あることです。学会の発展を心よりお祝いします」と祝辞を述べ、カレン・バートルソン会長らと鏡開きを行った。