NEWS CIT ニュースシーアイティ

2016.2.15

遠藤さん ベスト学生賞


生体材料シンポでポスター発表
 大学院で生命環境科学を専攻する遠藤敬幸さん(修士1年、橋本和明・柴田裕史研究室=写真左)が19th Symposium on Ceramics in Medicine, Biology and Biomimetics(SCMBB=第19回医学・生物学・生体模倣関連セラミックス材料シンポジウム・昨年12月9〜11日、東京都文京区の東京医科歯科大M&Dタワーで、日本セラミックス協会生体関連材料部会など主催)で生体材料関連の研究をポスター発表し、Best Student SCMBB Awardを受賞した。
 発表したのは「Characterization of structural stability of β-tricalcium phosphate doped with sodium ion by electrical analysis(電気的解析法によるナトリウムイオンを固溶したβ型リン酸三カルシウムの構造安定性評価)」。
 遠藤さんは生体機能材料化学を研究している。整形外科や顎顔面の骨補填材としてすでに臨床応用されているβ型リン酸三カルシウムの構造安定性を、電気的解析法によって評価し、まとめた。
 用いたのは交流インピーダンス測定で、材料のインピーダンス(交流抵抗)を測定し、電気伝導性やキャリア種(電子または正孔)の移動に必要な活性化エネルギーなどを算出する手法。これにより、添加したナトリウムイオンの量によるβ型リン酸三カルシウムの電気伝導性や、キャリア種の移動の変化を調べて発表した。
 ポスター会場では英語での質疑応答が難しく、自身の英語能力の低さを痛感したという。
 遠藤さんは「あまり上手に発表できなかったので、まさか自分が――と驚きの方が大きく、あとから喜びがこみ上げてきました」と感想を語った。

“囲炉端”住宅 優秀賞


秋山さん・高橋さん・谷田部さん 住まいのコンペで
(左から)谷田部さん、秋山さん、建築家の乾久美子さん、高橋さん。
(左から)谷田部さん、秋山さん、建築家の乾久美子さん、高橋さん。
 建築を志す学生たちを対象に長谷工コーポレーションが募集した第9回「住まいのデザインコンペティション」で、大学院建築都市環境学専攻の秋山怜央さん、高橋沙織さん、谷田部貴久さん(いずれも修士1年・遠藤政樹研究室)の3人が共同で高齢者用集合住宅「囲炉端会議」を提案し、優秀賞(賞金50万円)を獲得した。表彰式は昨年12月19日、ホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で行われた。
 課題は、都心の緩やかな勾配の敷地に30戸の高齢者用住宅を想定する「100歳の集合住宅」。
 秋山さんたちは、いつの時代にも人々を温かく結び付けてきた囲炉裏端に着目。囲炉裏を介して新たなコミュニティーやアクティビティーが生まれる集合住宅を構想した。
 自分の時間が増えたお年寄りは、趣味に費やす時間も増える。異なる趣味嗜好の人たちの多様性を許容する空間が囲炉裏だ。高齢者が集まって暮らすことの豊かさを、集合住宅の形に再構築した。
 住戸は四角錐の尖端を切ったような姿で連なる。内の道をたどると部屋の囲炉裏が少しのぞける。ある戸の囲炉裏で時を共有し、別の囲炉裏へ――。
 全国の作品が集まる中、アイデアをどう魅力的にアピールするか。高齢化社会に「建築的発想」でどう答えを出すか。3人が重ねた工夫は実り、最優秀賞に続く優秀賞3点のうちに選ばれた。
 講評で、審査委員長の隈研吾氏(隈研吾建築都市設計事務所代表・東大教授・東京五輪へ新国立競技場案を設計)は「空間に対して細部まで創造力が行き渡っていた。100歳という時間を抽象的にとらえるだけではなく、具体的な時間・空間としてとらえていた」。
 審査員の乾久美子氏(東京藝大准教授)は「この囲炉裏はどの世代も許容させることができると感じるプレゼンテーションがよかった」。他の審査員からも「煙突とも何ともいえない急勾配の屋根の形で形成される街並みが気に入った」と好評価が続いた。
 受賞者たちは「名誉ある賞をいただいて大変うれしく思っています。これに満足せず、今後も頑張っていきたい」と語った。
作品の説明図から
作品の説明図から

溝口さん 優秀ポスター賞


電子透かしのビデオ教材 マレーシアで発表
受賞した溝口さん
受賞した溝口さん
 情報ネットワーク学科の溝口紗耶さん(4年・中村直人研究室=写真上)が第6回理数科教育国際会議(昨年11月16〜19日、マレーシア・ペナン島で開催)のデジタル部門で「Development of Interactive Video Materials using an Electronic Watermark(電子透かしを用いた双方向ビデオ教材の開発)」を発表し、優秀ポスター賞を授与された。
 溝口さんは中村教授の指導で、見た目に分からない電子透かし(画像や音質に影響を与えず特定情報を埋め込む技術)を施したビデオ教材を開発した。
 ビデオの興味のあるシーンで、各人がタブレット機器をかざすと、タブレットが付属カメラを通じてシーンに対応する透かし情報を読み取り、学習者は解説情報を得られる。例えば、タナゴのビデオを見ながらタブレットをかざすと、詳細なウェブページが表示され、学習者が主体的に学習を深めることができる。
 学習状況の把握分析にも役立つ。ビデオ教材はモニターテレビやプロジェクターで表示でき、さまざまな教育へ利用を広げられる。
 富士通の技術を使った溝口さんは、富士通社員らと何度も打ち合わせを重ねて資料を作ったという。「万全の準備で臨んだので、受賞はとても光栄です。慢心せずに励んでいこうと思います。中村先生に感謝しています」と語った。
 理数科教育国際会議は、教育の国際協力活動としてマレーシアの東南アジア教育大臣機構・理数科教育センターが隔年で開催している。

清水さん 優秀講演賞


海浜植物保護へ評価モデル作り
 生命環境科学専攻の大学院生・清水麻里さん(修士1年・五明美智男研究室=写真)が、日本沿岸域学会の研究討論会2015(昨年7月18・19日、茨城大水戸キャンパスで開催)で「千葉県の砂浜における海浜植物の生息場の特性分析―千葉県南房総市岩井海岸を例として―」を発表し、優秀講演賞を受賞した。決定通知が遅れ、1月の公表となった。
 千葉の海岸は、海食による海岸線の後退や人工整備の影響に外来種の繁殖も加わり、ヨシ原のほかマコモ、ハマヒルガオなど貴重な海浜植物の減少がみられる。生物の多様性を守るため市民団体が保護・再生活動をしているが、有効性に不明な点も多く、確かな評価方法が待たれている。
 清水さんらは南房総の岩井海岸をフィールドとして、海浜植物の生息場評価モデルを作ろうと、まず基礎情報を収集整理。海浜植生の被度・種数と砂浜の地盤高などの関係からSI(適性指数)モデルを作成して生息場の特性を考察し、今回の結果をまとめて発表した。
 悪天候の中の調査もあり、データ集めに苦労したという。
 清水さんは「賞を頂き大変うれしい。協力していただいた地域の方々に感謝の気持ちを伝えたいです」と語った。
 五明教授・社会圏環境研究室の学生は前年度研究討論会でも環境教育の工夫や離島ネットワーク研究で優秀講演賞を受賞。岩井海岸では今後も、植物以外の漂着物による海岸評価、漂着海藻を用いた環境教育(海藻おしばづくり)、海岸林の保全管理などの研究を進めるという。