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2015.5.15

公開に世界の熱視線 ILY−A


■ミラノで
ミラノの展示会場で
ミラノの展示会場で ミラノの展示会場で
ミラノの展示会場で
 本紙4月15日号で既報の通り、イタリアの「ミラノデザインウイーク2015」(4月14〜19日)で世界に公開された近未来型1人乗りモビリティー「ILY|A」(アイリーエー)=未来ロボット技術研究センター(fuRo)とアイシン精機が共同開発。斬新な小型ボディーに秘めた4モードの新提案に、世界中から集まったデザイン関係者やメディアは、興味津々の視線を送った。
 ミラノデザインウイークは最先端のデザイン、インテリアが集まる世界最大規模のデザインの祭典。「ILY|A」は「これからの人の暮らしを考えていこう」という意味の《Imagine New Days》と題したアイシンの出展会場に登場。ビークル、キックボード、カート、キャリーの4モードを来場者に披露した。
 特に開幕前日の4月13日に行われたプレスプレビューでは、「ILY|A」を動かしながら、古田貴之fuRo所長が英語と日本語でロボット技術を応用したさまざまな新開発の機能を解説。集まった報道・デザイン関係者は熱心に説明に聞き入った。
 ガラス張り会場の正面には〈Chiba Institute of Technology(fuRo)〉と案内が掲げられ、本学をアピール。日本の報道関係者も多数訪れ、フジテレビの人気ワイドショー「めざましテレビ」は4月20日、デモの模様を放送した。
 瀬戸熊修理事長も会期に合わせてミラノ入りし、プレスプレビューに出席、古田所長以下fuRoスタッフを激励した。デザイン科学科・山崎和彦教授の研究室のブースも訪れ、学生たちの活躍にエールを送った。
ミラノデザインウイーク
正式には「インターナショナル・サローネ・デル・モービレ」(ミラノ国際家具見本市)。毎年4月に開かれ、今年で54回。世界中から30万人以上が詰めかける。

恒例・山崎研も


■「春」テーマに作品販売
フィギュア販売
フィギュア販売
 「ミラノデザインウイーク2015」には、デザイン科学科・山崎和彦教授の研究室からも大学院生3人、学部生7人が参加し、それぞれの作品を展示・販売した。山崎研の参加は6回目。
 今回の展示のコンセプトは日本の「春」。ブースに、桜の木に見立てた柱にピンクの折り紙の桜の花を咲かせ、その前で学生が個々に製作した作品を展示して、来場者に買ってもらう趣向だ。
 展示された作品は▽桜の花をかたどった「びゅんびゅんゴマ」▽よい香りのする模造の花びらを入れた「桜のボトル」▽杉の間伐材の薄板をレーザーカッターで加工した蝶ネクタイ▽桜の花模様に漢字をデザインしたキーホルダー▽桜の花をデザインしたブレスレットとヘアアクセサリー ――など。「春」に躍動する日本の高校生を撮った写真集もあった。
 今年も人気を集めたのはステンレス板で作った、立体に変化する動物のフィギュア「ステンレズー」で、1個12ユーロの値段なのに飛ぶような売れ行きだったという。
 参加者の1人、川添徹也君(4年)は「自分でデザインしたものを販売する、それも海外でというのは全く初めて。コミュニケーションに不安はあったけれど、褒められるのと買ってもらうのとでは全く違う。いい経験になりました」と話した。
 参加者は次の通り(敬称略)。
 ■学部生=市川毅▽加藤怜▽京田貴大▽郡佑太郎▽鈴木大輝▽井上佳祐▽川添徹也
 ■大学院生=福地悠人▽丸山剛史▽高橋隆仁
山崎研と瀬戸熊理事長
山崎研と瀬戸熊理事長

「ステアラボ」開設


■人工知能研究の最先端拠点 所長に米澤氏
 本学は4月1日付で「人工知能・ソフトウェア技術研究センター」(STAIRLab=ステアラボ)を開設した。所長には東京大情報理工学部教授、同情報基盤センター長、独立行政法人理化学研究所計算科学研究機構副機構長などを務めた米澤明憲氏が就任した。未来ロボット技術研究センター(fuRo)、惑星探査研究センター(PERC)に続く本学で3番目の研究センターとして、世界をリードする研究成果を発信していくことが期待される。
 近年、脳の機能の解明が急速に進むとともに、脳神経網をモデルにした学習機能をもつソフトウェアを使って情報を処理する「人工知能」の研究もまた、長足の進歩を遂げ、GoogleやFacebookなど多くの企業が人工知能に関する研究所を設立している。
 「ステアラボ」は、これらの世界的有名企業の人工知能研究に伍して独自の新たな研究成果を広く社会に還元し、人材を育成することが目的だ。
 米澤氏は「並列オブジェクト」と呼ばれるコンピューター・ソフトウェアに関する研究で40年近く世界の先頭に立ってきたこの分野の第一人者。1970年代の人工知能研究をミンスキー、ヒューイットらと手がけ、また、Twitterの配信メカニズムやSecondLifeのメカニズムの先鞭をつけた。1977年マサチューセッツ工科大(MIT)でコンピューターサイエンスの研究でPh.Dを、1978年東大で工学博士の学位を取得。1999年にACM Fellow、2008年には国際オブジェクト技術協会から、オブジェクト指向技術の分野で世界的に最も権威のあるダール・ニゴール賞をアジアで初めて受賞。2009年には紫綬褒章を受章している。
 (センター名となったSTAIRLabは Soft ware Technology and Artificial Intelligence Research Laboratoryの略)

瀧野研、善戦及ばず


■全日本製造業コマ大戦
コマをぶつけ合って熱戦(円内右が本学のコマ)
コマをぶつけ合って熱戦(円内右が本学のコマ)
 直径20ミリ以下、全長60ミリ以下の2個のコマが、緩いすり鉢状の土俵の上で熱い戦いを繰り広げる「全日本製造業コマ大戦」に機械サイエンス学科・瀧野日出雄教授の研究室チームが出場した。
 金属プレス加工に携わる全国の中小企業などが東京ビッグサイトに集まって技術力を競う「インターモールド2015」のイベントとして4月15日開催。出場したのは各地の大会や全国大会に出場経験のある企業13チームと岐阜大、九州工業大、本学の大学3チーム。
 瀧野研チームのコマは辻和哉、鈴木洸太、小山拓哉、柄澤純、大藤直紀君の5人(全員4年生)が3月から約1カ月をかけ、工作センター・村越茂担当課長の協力で完成させた。コマに逆ねじを使うなど工夫。特殊加工が必要な部品もあり、初挑戦なので四苦八苦だったという。
 15日の大戦には、所用で来られなかった辻君を除く4人で臨んだ。
 エントリー時、加工バリ(1ミリ弱)が残っていることが発覚。コマが規定の直径20ミリ以下かどうかを測るリングを通れなかった。たまたまヤスリを扱う企業がイベント出展しており、超硬合金用ヤスリを借りてクリア。
 試合はトーナメント方式で、抽選で1回戦第1試合を引き当てた本学チームは、地方ブロック大会で無敗優勝したこともある名古屋の強豪、クリタテクノと当たった。本学チームはコマ回し“名人”大藤君を立てて戦ったが、2回連続して勝った方が2回戦へというルールで惜しくも敗退。
 クリタテクノはこの後、3位決定戦まで進んで4位。負けたとはいえ本学チームのコマは、このチームを相手に手に汗握る熱戦を展開した。
 瀧野教授は出場について、「学生が設計・加工の知識を深め、独創性を育む絶好の機会。チームで取り組むことで、コミュニケーションを取りながらモノづくりをする経験にもなる」。チームの一員・鈴木君は「(コマ作りの)トレンド踏襲で済ませず、新トレンドを作り出すつもりで挑戦し続けたい」と語った。

新評議員に平塚教授


平塚健一教授
平塚健一教授
 4月27日に開かれた理事会で、新しい評議員に機械サイエンス学科の平塚健一教授が選出された。任期は4月28日から平成28年2月5日まで。