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2014.4.15

情報処理学会でも成果
WSNの省電力化を研究


平沼さん学生奨励賞
 情報処理学会第76回全国大会(3月11〜13日、東京都足立区の東京電機大東京千住キャンパスで)の学生セッションで、平沼成彬さん(電気電子情報工学専攻修士1年=受賞当時・久保田稔研究室・写真)が「複数帯域を動的に切り替える無線センサネットワーク方式の提案」を発表し、学生奨励賞を受賞した。
 いくつものセンサー付き無線端末(ノード)を結んで情報を集める無線センサネットワーク(WSN)は、種々の観測や行動追跡に欠かせない。しかし、一般的に使われる周波数帯(2・4ギガヘルツ)は無線LANや電子レンジなどのノイズを受けがち。消費電力も増える恐れがある。
 他に429メガヘルツ帯や920メガヘルツ帯があるが、これらも消費電力や通信速度に問題があるという。
 平沼さんは複数の周波数を、電波環境や送信情報に応じて動的に切り替えて使うことで、速度や品質を向上させ、省電力化する研究を進めている。
 始めたばかりの研究で、ツールの導入から方式の検討まで手探り状態だったというが、発表で座長の菅沼拓夫・東北大大学院情報科学研究科教授に認められての受賞となった。
 平沼さんは「今後の展開を期待されての受賞と考え、身の引き締まる思いです。修了までの1年間、内容をより濃くできるよう努力したいと思います」と語った。

卒業を受賞で飾る
本学3人が優秀賞


25年度 県内大学卒論発表会
 平成25年度千葉県内大学による卒業論文発表会(2月28日、幕張ワールドビジネスガーデン・マリブウエストで開催=千葉県情報サービス産業協会主催、千葉県、千葉市他後援)に、本学から学部卒業直前の3人が出場し、卒業論文優秀賞を獲得した。
 情報通信技術の利活用に関する論文を募ったもので、受賞3人と発表テーマは以下のとおり(学年は受賞当時)。
■井上 佑寿君
 (電気電子情報工学科4年・小林幸雄研究室)=「手話動作のハンブルク記号への変換精度向上に関する研究」
井上君
井上君
 ハンブルク記号(手話動作をかたどって記号にした表記法)を使えば、コードマッチングによる高速な大語彙認識が可能だが、従来は限られた単語にしか記号の要素を取得してこなかった。井上君は大語彙検索への第一歩として、ハンブルク記号の出現頻度に注目して研究した。
■大庭 聖也君
 (プロジェクトマネジメント学科4年・竹本篤郎研究室)=「大規模システム開発におけるアジャイル型開発モデルの提案」
大庭君
大庭君
 大規模システム開発にはウォータフォールモデル(古典的な開発手順モデル)が採用されてきたが、生産性が低く失敗リスクが高い。近年では、より柔軟なアジャイル型モデルの採用が増えているが、大規模なシステム開発プロジェクトを細分化して管理する方法論はまだ確立されていない。
 大庭君は、プロジェクトを個々の要素に小さく分けて管理する「ラピッド・リザルト・イニシアティブ」と、プロジェクトを連続した短期に分けて反復・改善を繰り返していく「イテレーション」というアジャイル型の、両方の特性を取り入れたシステム開発モデルを提案した。
■川崎 元君
 (プロジェクトマネジメント学科4年・竹本篤郎研究室=「タレント・マネジメントを活用した人材調達モデルに関する研究」
川崎君
川崎君
 多人数で行うソフトウェア開発ではタスクを分割した後、そのタスクを誰が行うかを決めるためタスクアサイン(役割分担)を行うことがある。
 現在の役割分担は、プロジェクト・マネジャーが個々のスキルや経験に合わせタスクを割り振るのが主流だが、このやり方ではメンバーのスキルに見合わない「割り振りミス」が発生する可能性がある。
 川崎君は、タレント・マネジメントの人材管理手法を利用し、人材の質を考慮した効果的な人材調達モデルの提案をした。

学習システム開発を研究


手話支援で西君も
会場前で西君(左)と大川教授
会場前で西君(左)と大川教授
 未来ロボティクス学科4年=受賞当時=の西悠介君(大川茂樹研究室)が、情報処理学会の第76回全国大会(3月11〜13日、東京電機大東京千住キャンパスで)で「マーカレスモーションキャプチャを用いた距離画像による手話認識システム」を発表し、学生奨励賞を受賞した。
 聴覚にハンディを持つ人と健聴者との会話で、手話通訳者が不足している現状に着目し、手話学習支援システムの開発を試みた。
 手話者の負担をなくすため、手指にマーカーを付けずに動きを読み取れる装置Kinect(キネクト=影像認識・距離測定ができるカメラとセンサー内蔵)を使った。
 手話通訳の掌、指先、関節など片手につき20もの部位の動きを記録し、手指動作の3Dモデルを構築。この3Dモデルと、実際に撮影している手とを比較しながら、粒子群最適化(PSO)で手指の動きを追跡していった。今回は、五十音を片手で表現する指文字76文字(濁音や長音を含む)の動きを辞書化した。
 手話習得者がセンサー正面で、CGの教える手モデルに沿って手話動作をすると、システムが辞書と照合し、差異が最も少ない手話単語を認識単語として出力する。
 静止した指文字では認識率が高いが、動きのある指文字では「が」を「か」と誤認するケースなどがまだあり、今後も研究を続けたいとしている。
 西君は「多くの興味深い発表の中から、私たちの研究が選ばれて、素直にうれしいと感じました。学生生活最後の研究活動を受賞で終えることができ、感動しています」と語った。

海外交流協定、16大学目


バンドン工科大とも
調印式でアクマロカ学長(左)と小宮学長
調印式でアクマロカ学長(左)と小宮学長
 インドネシアのバンドン工科大学のアクマロカ学長、スダーソ・カデリ・ビジネス・マネジメント学部長、エドワン・カーデナ国際パートナーシップディレクターら3氏が3月19日、本学を訪問し、大学間交流協定に調印した。
 バンドン工科大は学生2万人を擁する、インドネシアで有数の国立工科系大学で、スカルノ初代インドネシア大統領が同大学の卒業生であることで知られている。
 アクマロカ学長一行は、津田沼キャンパスを視察後、東京スカイツリータウンキャンパスを訪問し、エリア1、2とそれぞれのアトラクションを見学した。一行は太陽系グランドツアーに興味を示し、AR技術(現実に仮想世界を重ね合わせる=拡張現実=技術)を使用したステップタップでは、アクマロカ学長自ら床面の惑星を踏んで、その動きを楽しんでいた=写真下
 本学の海外交流協定校はこれで9カ国・地域16大学となり、本学の国際化が今後も発展していくことが期待される。