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2014.3.15

「千種寮」閉寮 50年の思い出


旧寮生たち、友と酒と歌を語る
参加者全員で高らかに寮歌を歌う
参加者全員で高らかに寮歌を歌う
 新習志野校舎に「桑蓬寮」と「椿寮」が開設されるのに伴い3月末で閉寮となる「千種寮」の創立50周年を祝う寮生OBの集まりが2月8日、津田沼校舎で開かれた。出席者の中には「千葉工大の門をくぐるのは卒業以来」という人もいて、母校の発展ぶりに目を見張る姿も多かった。
 この冬初めて、しかも千葉では統計開始以来の大雪にもかかわらず、会場の学生食堂にはOB180人や現役の寮生、大学関係者など合わせて約250人が集まった。OBの中には午後3時の開会前に、大学が用意したバスで約15キロ離れた千葉市花見川区の千種寮を訪れ、青春の思い出に浸った人も多かった。
 「千種寮」は東京オリンピックが開かれた昭和39年の開設からの50年間で、1900人を超える卒業生を送り出してきた。会場には70歳前後になった1期生をはじめ2、3、4期のOBが集まって、記念写真を撮る光景も見られた。
 そんなOBたちを前に瀬戸熊修理事長は祝辞で「千葉工大の歴史をお話しておきたい」と前置きして、建学から70年余のうち60年は苦闘の連続だった本学の歴史を、自分の体験に基づく“秘話”を交えて語り、「建学100年に向かっての新たな大学の礎づくりに卒業生も協力してほしい」と呼びかけた。
 また、小宮一仁学長は英国で全寮制の大学に勤務した経験を紹介しながら、「千種寮は英国のカレッジを模範にしたものだと思う。カレッジの教育理念は本学の『師弟同行・師弟共生』に通じるものであり、この精神を今日まで受け継いでくださっているのが千種寮生OBの皆さんだと思う」と、祝辞を述べた。
 会場ではOBや来賓から千種寮での数々のエピソードが披露された。
 坂本洋・同窓会会長=昭和39年4月に完成した1棟目は電気・上下水道などのインフラを手当てしながらの工事だったそうです。当時の千種町は“陸の孤島”と称されたところ。今と比べて隔世の感があります。
 平松二三男・総種会会長=今日、千種寮を訪れ、久しぶりにあの臭いにおいをかいできました。私たちの時代の寮生活は「友と酒と歌」に集約されます。あの経験は50年たっても自分の宝です。
 宮川博光常務理事=広報課に配属された昭和52年、千種寮祭を取材に行って見たものは、棟ごとに1升瓶を回し飲みしている姿。最終日に千種銀座を神輿を担いで練り歩く1年生のふんどしの幅が鉢巻ほどしかなく、写真を撮っても学内報には使えませんでした。
 大学の変貌に「うらやましい」
 第19代寮長だった前田修作施設部長による写真や図面をスクリーンに映し出しての新旧キャンパスの対比では、あまりの変貌ぶりに会場から感嘆や「うらやましい」の声が上がっていた。
 このあとOBと現役寮生に同窓会から、赤レンガの旧正門をレイアウトしたスポーツタオルが贈られ、第5代寮長・小林一吉さんの音頭で全員が万歳三唱して、会は幕を閉じた。
友人と過ごした相部屋 いたるところに思い出が……
友人と過ごした相部屋 いたるところに思い出が……
久々に顔を合わせ記念撮影 裸の付き合いをした風呂場 最後の寮長・玉城達朗君と坂本会長
久々に顔を合わせ記念撮影 裸の付き合いをした風呂場 最後の寮長・玉城達朗君と坂本会長
■瀬戸熊理事長の祝辞要旨
 昭和17年5月に現在の町田市の玉川学園内に創立された本学は、2年足らずで玉川の地を離れ、以来、校舎を転々とし、他大学との合併話もありました。財政的には常にひっ迫した状態でした。終戦後、2代目理事長の財閥解体による公職追放、理事会の内紛などトラブルが次々と起き、「この大学はもう危ない」といわれたときに、本学関係者を含め、多方面から懇請されて理事長を引き受けてくださったのが、昭和34年、当時の自民党幹事長の川島正二郎先生です。
 もうお一人、忘れてはならない方が一昨年亡くなった豊田耕作前理事長です。学部学科新設等に必須とされる新習志野校地の取得に全身全霊を傾け、新習志野校舎、茜浜運動施設完成の折には、当時の収入の約2年分である108億円の借金。「除夜の鐘も百八つ。千葉工大に正月は来るのでしょうか」と申し上げたら、「何とかなるよ」と一言。幾多の苦難に直面したにもかかわらず今の千葉工大があるのは、豊田前理事長の経営決断と千葉工大一期生としての思いがあったからこそなのです。

デザイン科学科 卒展・学外展開く


展示に工夫、多様な来場者
 デザイン科学科の「卒業研究・制作展」(実行委員会代表=同科4年・里瀬佑君)が2月7、8日の金・土曜日、津田沼校舎7号館で開催された。
 卒展(学内展)には毎年、デザイン科学科で学んだ集大成の、ユニークで夢のある作品が並ぶ。今年度はPRにフェイスブックページも活用し、各研究室を事前紹介。その効果で家族、他大学友人、OBらも訪れ、来場者層が広がったという。
 展示方法も、大学祭で見せたデザインストリートのコンセプトにならい、1階中央にモニュメントを置くなど工夫して好評だった。
 実行委代表の里瀬君は「試行錯誤しながらもカタチに出来たのは、良い経験になった」。副委員長の諸岡亮君(4年)は「忙しい時期に、みんなが協力してくれ感謝しています」と振り返った。
 2日目の8日は大雪の気配に、学生や来場者の安全を考慮し時間を繰り上げて終了した。
意欲的な作品が並んだ学内展 意欲的な作品が並んだ学内展
意欲的な作品が並んだ学内展
学外展も秋葉原で
小宮学長に作品を説明する学生
小宮学長に作品を説明する学生
 また、学外展として「デザイン科学科活動報告展」を2月16日(日)、秋葉原UDXギャラリーで開催。プロダクト、情報、インテリアのデザイン3コースで構成された卒業制作・卒業研究の選抜作品のほか、産学協同プロジェクトや演習授業の成果を展示した。
 直前に記録的な大雪が降り影響が心配されたが、無事に開催。今年のテーマは「あなたに届ける“わ”」。「つながり」や「調和」の意味を込めて、展示空間やポスターをトータルにデザインした。
 昆虫に興味を持ってもらうためのデザイン提案▽イメージと機能のズレで盗難防止に役立てようとする製品提案▽漫画などの定型表現の発生と定着のメカニズムを調べた研究――すべて、デザイン科学科1〜3年生の手によるもの。
 来場者の中には、精巧な模型を眺めて作業の進め方や趣旨を聞く人、製品化や今後を学生と議論する姿も見られた。
 見学に訪れた小宮一仁学長は「美しさとアイデアにあふれる見事な作品ばかりで、時間を忘れて楽しめました。多彩で個性あふれる千葉工大をアピールしてもらい、うれしい」と感想を述べた。
 全体の指導と運営に携わった八馬智・同学科准教授は「自分たちの成果を見てもらうことは、彼らの成長にとても重要。来場者には、テーマの多様さから、デザインの可能性を感じ取っていただけたのではないでしょうか」と話していた。
学外展では精巧な模型も展示
学外展では精巧な模型も展示