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2011.3.15

レスキューロボ
小柳fuRo副所長、企業間交流で講演


―広がるビジネスチャンス―
「クインス」のデモンストレーションと小柳副所長(左) 「クインス」のデモンストレーションと小柳副所長(左)
「クインス」のデモンストレーションと小柳副所長
 「商賣繁盛」――こんな名前のついたビジネス交流の場に、本学未来ロボット技術研究センター(fuRo)が参加、講演と展示を行い注目された。2月17日、幕張メッセ国際展示場で開かれた「第8回BusinessLink商賣繁盛atMAKUHARIMESSE」。
 三菱UFJフィナンシャル・グループ主催で、「日本の創造力、新たな成長力」をキーワードに、企業間交流、異業種交流を進めるのが主旨。機械、IT、サービスなど成長有望業種が参加した。
 メーンステージで講演したのは小柳栄次fuRo副所長。「災害救助ロボットの開発とロボットビジネス」と題し、レスキューロボット開発の歴史、その目的、日本のロボット研究の世界的な位置、さらにビジネスの可能性を紹介した。
 災害現場で活躍するレスキューロボの開発は、行政主導では2002年から始められ、中越地震の教訓などを生かしながら、数次のプロジェクトが組まれている。
 小柳副所長は「ケナフ」から最新の「クインス」まで、模擬災害現場での働きを紹介。「日本は自然災害大国であり、加えて原子力施設やテロ現場にも進入できる災害救助ロボットが求められている」と開発の必要性を話した。
 これまでの開発・研究の成果として、要救助者の早期発見ロボットの後から現場に入るレスキュー隊員や災害本部のための3次元地図の作成現場外で操縦する人間の負担を軽減するための半自律走行データ伝送の柔軟性閉鎖空間へのドア開けサンプリング用マニピュレーター――などを挙げた。
 また、「クインス」が仙台市の地下鉄構内で3次元地図を作る様子や、過酷な転落試験、水洗い試験、浅間山で行われた走行実験を紹介した。
 浅間山噴火を想定した場合、山頂に接近したロボが火砕流の発生を15分以上前に察知し通報できれば、人命が救われるという。
 千葉市消防局は昨年8月からクインスを導入して試験運用を開始。神戸市消防局も来年度、千葉工大が参加するNEDO(新エネルギー・産業技術総合研究機構)のレスキューロボを実戦配備することを決定している。
 ロボット産業の市場規模は2025年には8兆円に及ぶと予測されている。学内ベンチャー企業の責任者でもある小柳副所長はビジネス機会に言及。人に代わる作業を実現する中で、常に低コスト化が勝負と説明した。
 会場には千葉工大のブースが設けられ、観客が取り巻く中で、「ケナフ」や「クインス」が階段や太いパイプを難なく乗り越えてみせていた。

モノづくりの楽しさ


1年次の「創造工学演習」第2弾
搬送ロボットの設計・製作を競う
出来栄えを競って歓声があがる
出来栄えを競って歓声があがる
 機械サイエンス学科は、1年次に「創造工学演習」を行い、基礎技術編と応用技術編を通して、モノづくりに携わる技術者の心構えと能力を養う。
 実習は学科内のコースごとに「搬送ロボットの製作」「小型走行マシン製作」「適正材料の探索と鋳造法を用いたモノづくり」のどれかをこなす。
 機械工学コースの実習課題は「搬送ロボットの製作」。
 企画―設計・製図―適性材料の選定―加工―組み立て―動作確認―修正―完成―と、このプログラムで、モノづくりの楽しさを存分に体感できる。
 条件の制約下、学生たちはアイデアを出し合い、製作の過程でチームワークを養い、完成度の高い作品を作り上げる。さらにレポート提出後、指導教員のアドバイスを受けてまた考え、と「師弟同行」を地で行っている。
 締めくくりの対戦型競技会では、落下防止枠の付いた高さ5センチの台上に、ピンポン球20個を置く。これをいかに多く、早く、自班のボックスに搬送できるか――。
 途中動かなくなるモノ、パワー不足や強度不足、スイスイ搬送してしまうもの。悲喜こもごものシーンが毎年繰り広げられている。学生たちからは「モノづくりの醍醐味を味わうとともに、技術ヤを目指す者として考えさせられる授業」との意見も。
 またマシンは競技終了後、部品の再利用のため解体・回収が義務付けられている。
 次号ではマイクロサイエンス工学コースを紹介する予定。

落花生
“売れるパッケージ”をデザイン


デザイン科学科・赤澤研
JA全農ちばと連携
作品を前に赤澤研のメンバー
作品を前に赤澤研のメンバー
 落花生はご存じ千葉県の特産品。でも最近、若者離れが著しいという。昨年、JA全農ちばの相談を受けた本学デザイン科学科・赤澤智津子准教授と研究室の学生たちは、デザインを通して売り上げばん回の手助けを、と産学連携のパッケージ刷新戦略に乗り出した。
 まず、基礎となる落花生そのものの調査、市場調査、味とパッケージの比較評価などを行った。印象的だったのは、20代男女が「おいしい」「名産として認知」とプラス評価した半面、「ふだん食べない」「土産として買わない」と答えた点という。
 調べたところ「袋が安っぽく、茶色系で地味。おいしそうに感じない」――などの点に、改良の余地がありそうとわかった。袋を透して中身の落花生が見える度合いも影響し、「少しだけ見える」が最も購買意欲に結びつくとわかったという。
 そこで、買いたいと思わせるパッケージの条件を抽出、「見え率」を意識し安っぽさを改善、「高級感や信頼感を出す」をデザイン方針とし、昨年9月、従来の袋をこの方針で改善した6種を提案。全農関係者らが集まる会場で見本展示された。
 さらに赤澤研の学生たちは、若い人向けに、売り場で魅せるデザインを、と自由な発想を競った。食べ殻を散らかさないよう工夫した2種――一つは「若者向けテトラ形パッケージ」で、広げると1枚の紙になり、殻を包んで捨てられる。もう一つは「新幹線で食べやすく、殻入れと落花生の容器が二重カップになった形」。
 また、贈答用に高級感のある「目立つパッケージ」、4品種の小箱を1つにまとめた「食べ比べを促す形」も展示された。会場では「新幹線」が人気だったという。
 今後、バイヤーを交えてヒアリングを行い、製品化をめざしている。
テトラ型 “新幹線”向き 贈答用 食べ比べ型
▲テトラ型 ▲“新幹線”向き ▲贈答用 ▲食べ比べ型

ベビーカーを安全に


越山研が啓発に一役
習志野市の消費生活展
人形を使って説明する越山教授と学生
人形を使って説明する越山教授と学生
 ベビーカー事故の防止を!――金融・経営リスク科学科、越山健彦教授と研究室の学生たちが「第43回習志野市みんなの消費生活展」(2月5〜6日、イオン津田沼ショッピングセンター特設会場)に参加した。
 同展実行委・習志野市が市民生活の安心・安全のため毎年2月に開いており、今回は生協や農水省・総務省の出先関係、関東電気保安協会などが「塩分と健康」「省エネ」「製品事故にご用心」など15コーナーを設けた。
 その中で越山研は、展示コーナーでは「子ども用品の安全や製品安全研究」と題して、事故防止のためのリスク対策をポスターやパネルで展示。実演コーナーでは、電車乗降時のベビーカー事故、子どもらの指はさみ事故の発生原因を解説、ダミーを使ってベビーカーの安全な使い方を説明して啓発に努めた。
 越山研のブースには、赤ちゃん連れの母親やお年寄りなど約150人が立ち寄り、越山教授や学生たちの熱のこもった説明に聞き入っていた。
 越山教授は消費生活に潜むリスクの問題を専門に研究している。