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2010.9.15

抗体に代わる次世代分子
標的医薬開発に道開く


RNAアプタマーが標的分子を捕捉する仕組み発見
坂本准教授らが共同研究―――
坂本泰一准教授(左)と野村祐介特別研究員
坂本泰一准教授と野村祐介特別研究員
 本学工学部生命環境科学科の坂本泰一准教授と特別研究員の野村祐介博士らが参加する共同研究チームは、このほどRNAアプタマーが標的分子を捕捉する仕組みを、構造解析によって明らかにした。  
 RNAアプタマーは、たんぱく質などの標的分子に強く結合する核酸分子で、結合したたんぱく質の働きを“特異的”に妨害する。そのため、治療困難とされてきた疾患の治療薬になりうると期待されている。
 この共同研究によってRNAアプタマーがさまざまなたんぱく質を標的にできることがわかったため、今後、次世代の分子標的医薬(RNAアプタマー医薬)として開発が進むことになろう。
 研究は、本学と大阪大学、東京大学、(株)リボミック、(株)創晶によって、JST(科学技術振興機構)課題解決型基礎研究の一環として行われた。
 RNAは「マイナス」の静電気を帯びているため、「プラス」の静電気を帯びたたんぱく質でなければ強い結合はできないと考えられている。そのため、多様なたんぱく質に対してしっかり結合するアプタマーの開発には疑問の声も出ていた。
 今回、すでに開発が済んでいたプラス・マイナスの引力だけではない力で結合するRNAアプタマーと、たんぱく質が結合した複合体の立体構造を、X線結晶構造解析によって初めて明らかにした。
 その結果、RNA自身が持つ“しなやかな”造形力を利用して標的たんぱく質の形に合わせた構造を作り出し、標的たんぱく質を捕捉できることを発見した。さらに、カルシウムイオンを用いたRNAアプタマーの結合のコントロールにも成功した。
 この研究によって、アプタマーデザインの基盤が確立され、これまで標的とされなかったたんぱく質に対してRNAアプタマーを作ることで、抗体医薬に代わる次世代分子標的医薬(RNAアプタマー医薬)の開発ができることになった。
 RNAアプタマーは化学合成により大量合成することが可能で、改良も容易であるという、抗体にはない特徴を備えている。
 一方、今回のRNAアプタマーを使えば、医薬品用のヒト化抗体たんぱく質が高純度で簡単に得られるため、抗体医薬の開発にも役立つと期待される。
 なお、この研究成果は7月29日(英国時間)に英国科学雑誌「Nucleic Acids Reseach」のオンライン速報版で公開された。

継続的取引関係の研究で遠山准教授に学会賞業績賞


―日本ビジネス・マネジメント学会―
遠山正朗准教授
遠山正朗准教授
 本学プロジェクトマネジメント学科の遠山正朗准教授は7月4日、日本学術会議協力学術研究団体である日本ビジネス・マネジメント学会(綾野克俊会長)から日本ビジネス・マネジメント学会賞業績賞を贈られた。
 受賞理由は、この3年間、「企業間における継続的取引関係の変化に関する一考察」、「ゲーム産業における顧客獲得方法の企業間の相違に関する一考察」、「ゲーム産業における取引上の課題に関する一考察―ゲームの進化による顧客との取引関係の変化―」など多くの研究実績を重ねたこと。
 その中には、科学研究費補助金によって進めている「知的財産の取引円滑化の研究―日中韓ゲーム産業の取引コスト・アプローチに基づいて―」の研究の一部も含め、取引コスト理論に基づく継続的取引関係の構築・維持に果たす取引特定的投資の役割を明確化し、学術研究に寄与したというものもある。
 遠山准教授は「受賞の喜びを励みとしてさらに研鑚を積み、一層教育の場へ還元していきたい」と語っている。

経営工学会が竹本准教授を表彰


学会創立60周年で
竹本篤郎准教授
竹本篤郎准教授
 本学プロジェクトマネジメント学科の竹本篤郎准教授が5月14日、(社)日本経営工学会(能勢豊一会長)から学会貢献賞を授与された。
 同学会は、経営工学に関する学理及び技術の進歩と発達を図り、学術、文化の発展に寄与することを目的として設立された。
 竹本准教授は正会員として学会活動を支援してきた功績が評価され、東京都千代田区で開かれた学会創立60周年記念式典で表彰された。

津田沼校舎の再開発追い込み


「新2号棟」が上棟式 ツインタワー来春完成
工事の安全を祈願し上棟式を行う 直会で挨拶する本岡誠一学長
工事の安全を祈願し上棟式を行う
金鋲を打ち込む豊田耕作理事長
金鋲を打ち込む豊田耕作理事長 直会で挨拶する本岡誠一学長
 本学津田沼校舎再開発計画二期工事の「大物」新2号棟が大安の8月4日、上棟式を迎えた。
 式は建設地で午前11時に始まり、本学から豊田耕作理事長、本岡誠一学長はじめ教職員が出席。設計・監理にあたる横河建築設計事務所や施工の三井住友・五洋建設共同企業体関係者含め、90数人が工事の安全を祈願した。
 修祓式では、豊田理事長が金鋲を、本岡学長が銀鋲を検鋲、昇神の儀を最後に神事を終了。正午から直会に移った。
 施主挨拶で本岡学長は「事故もなく今日を迎えられたことに、関係者の労をねぎらいたい。新2号棟完成後は、新1号棟と並び、本学の教育・研究施設のシンボルともいうべきツインタワーが津田沼の地にそびえることになる。教育方針の実践を強力に進め、本学の活性化を図っていきたい」と述べた。
 乾杯挨拶で瀬戸熊修常務理事は「工事関係者に感謝したい。新2号棟は、キャンパス再開発の締めを飾り、大学発展の本拠地になるべき施設だ。今後の発展に向け皆様のご協力を賜りたい」と述べた。
 二期工事はこの新2号棟と3月に完成した新学生ホールの2工区で、新2号棟は来年3月完成の予定。
 鉄骨造地下1階地上20階建てで、延べ床面積は2万8562平方メートル、高さは約97メートル。
来年3月の完成を目指し、着々と建設工事が進む「新2号棟」
来年3月の完成を目指し、着々と建設工事が進む「新2号棟」