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2010.4.15

平成22年度入学式
本岡 誠一学長 式辞


「学びも暮らしも主人公は諸君」
寮生有志による校歌斉唱
  寮生有志による校歌斉唱
 新入生諸君、ご入学おめでとう。
 会場にご臨席のご父母の皆様、お子様のご入学おめでとうございます。衷心よりお祝い申し上げます。
 桜の花の咲き誇るこの良き日に、千葉工業大学に迎える運びとなりました新入生諸君は、工学部:機械サイエンス学科、電気電子情報工学科、生命環境科学科、建築都市環境学科、デザイン科学科と未来ロボティクス学科の6学科合計1678名、情報科学部:情報工学科、情報ネットワーク学科の2学科合計311名、社会システム科学部:経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科、金融・経営リスク科学科の3学科合計315名、また、大学院修士課程:工学研究科、情報科学研究科、社会システム科学研究科合計354名、博士後期課程は同じく3研究科合計10名、併せて総数2668名です。
 千葉工業大学教職員一同、このように多くの新入生を迎えて入学式を挙行できますことを非常に嬉しく思いますと同時に、その責任の重さを痛感しております。
 ところで、我々が生きているこの21世紀初めは、人類の歴史の中で今まで経験したことのない急激な変化が起こり、なお激しく変化し続けております。
 特に1990年以降、グローバル化と言っておりますが、国家間の壁が極めて低くなって、情報が自由に流通するようになりました。IT革命によって、情報は地球上を一瞬のうちに駆け巡ります。諸君は2月28日に発生したチリ大地震の時、即座に各国の救援隊が駆け付け、その後の津波情報も時々刻々伝えられたことを記憶していると思います。また地球温暖化問題など、一国だけでは解決できない地球規模の問題も多くなってきました。世界経済の中心も先進国から、中国、インド、ブラジルや東南アジアなど物質的、人的資源大国へ移りつつあります。一方、先進国は軒並み、少子高齢化、財政危機、高失業率等経済、金融の混乱に陥り、これらの不均衡是正に向けた新たな秩序を模索しております。我が国も例外ではなく、かつて経済協力開発機構(OECD)30カ国中第2位だった国民一人当たりの国内総生産(GDP)も2008年度は19位となっております。
重要視される人間力・創造力
 このような時代に生きる私達は、国内だけを見ていたのでは生きていけなくなっております。端的に言いますと、グローバル化によって、価値観も文化も異なる多民族間での交流、交易や競争に軸足が移った結果、一般教養と基礎学力に裏打ちされた、コミュニケーション能力だとか、意欲などの人間力とか対人能力や、創造力などがより重要視され、求められるようになってきております。諸君には大学において何を学んだかではなく、何ができるようになったかが問われているのです。
 そこで千葉工業大学では、「師弟同行」「自学自律」という建学の精神のもとに、「科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ人材の育成」という教育目標を実践しております。すなわち、変化の厳しい現代社会に、諸君が社会の諸問題解決に積極的に係わり、技術者として社会で大きく羽ばたくために必要な人間力、創造力が十分養えるように、きめ細かなカリキュラムを用意しております。
 ところで、我々が行う「学ぶ」という行為は、物事に疑問を持ち、好奇心を抱き、視覚、聴覚など五感をフル稼働させて情報を収集し、思考し、時には実験を行い、その真実に迫ろうとすることから始まります。従って、大学での「学び」の主体は諸君自身です。諸君が主役です。諸君が、それぞれの専門分野に進み、やがて先進的な研究に携わり、卒業研究や大学院あるいは社会に出てから成果を上げるためには「読み、書き、計算」つまり基礎学力がとても大切なのです。なかでも来週から始まる数学、物理、化学や語学などの基礎学力がとても重要です。高等学校の復習のようで興味が湧かないとばかりに軽視すると、禍根を残します。広い一般教養に裏打ちされた基礎学力をしっかり身につけ、その上で自ら問題を見つけ、自ら問題を解決する力を養うことが大切です。
 そこで、諸君が大学生活を実り多いものにするために心がけてほしいこと、実行してほしいことを幾つかお話しします。
「当たり前」を実行に移そう
 まず、第一番目は自己管理です。
 大学では、高等学校までの生活とは違い、基本的に自分の行動は自分が選び自分が決めなければなりません。自分でレールを敷き、その上を歩くのです。時々チェックして軌道を修正することも必要です。大学では自由度が増す反面、自己責任も大きくなります。
 諸君は高等学校までとは生活環境が大きく変わったために生ずる諸問題から、思わぬ落とし穴にはまることにならないよう十分注意してください。五月病という言葉を聞いたことがあるかと思いますが、大学生活に慣れるまで、特に4、5月の健康管理、自己管理には十分注意が必要です。
 二つ目は「自分が主役の生活をする」言い換えると「観る生活から参加する生活へ」ということです。
 現代社会で我々は、テレビ、ゲーム、インターネットや携帯電話のような、仮想現実、仮想社会に取り囲まれて生活しております。実は、ただ観ているだけなのにテレビの中やインターネット上の出来事と現実の境が曖昧になり、あたかも自分が主人公で実現したかの如き錯覚に陥りがちです。この、いわば観客型生活から抜け出して、全てに積極的に参加し、汗を流すことが必要なのです。観客ではなく主役になるのです。先ほどお話ししたきめ細かなカリキュラムも諸君が積極的に利用しなければ、無用の長物になってしまいます。
 大学では指示待ち人間、いわゆるお客さんでは何も得ることができません。自分の人生は自分で創る、つまり自分で考えて何事にも積極的に取り組むよう心掛けてください。
 三つ目は、友人です。
 現代社会では、核家族化や価値観の多様化などの影響から、人と人との関係が非常に希薄になり、「隣は何をする人ぞ、吾関せず」が多くなっております。友人を得て、お互いによく知り合い理解し合うことが大切です。良き友人を得るには、自分が良き友人になるよう心掛けることです。その第一歩は、まず人と会ったら挨拶を交わすことです。今日から、新入生諸君は校内でお互いだれとでも大きな声で挨拶を交わすよう心掛けてください。社会に出てからではなかなか友人も得難くなってきます。学生時代に損得抜きに付き合えて、理解し合える友人を得ることは、今後の長い人生で貴重な宝となります。
 これらのごく当たり前のことが実行できれば、諸君の学生生活は必ず満足できるものになるはずです。早速実行に移されることをお勧めします。
 さて、ご父母の皆様、私ども千葉工業大学の教職員一同は、これらの社会や皆様の期待に応えるべく、本学の教育力を駆使し、学生の出口での質の保証を行うべく、誠心誠意努力を惜しまない所存でございます。今後とも、ご父母の皆様のご理解とご協力を宜しくお願いいたします。
 新入生諸君、くれぐれも指示待ち人間にならないで、失敗を恐れず、自分で考えて責任ある行動のできる21世紀型の人間を目指し、学部、大学院のそれぞれの課程で、またサークル活動を通して、楽しく実り多い学生生活を送ってください。
 今日から、諸君の希望に満ちたはつらつとした笑顔が、キャンパス一杯に溢れることを期待し、式辞といたします。
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