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2010.2.15

消費者の購買行動 新手法を使い解析


増田浩通助教ら 複雑化する商品情報に対応
経営情報学会 学会賞を受賞
増田浩通助教
増田浩通助教
 本学社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科の増田浩通助教ら3人は、昨年11月14日に県立広島大学で開かれた経営情報学会の秋季全国研究発表大会で、学会賞を受賞した。
 賞を受けたのは増田助教のほか、株式会社リコーの上村亮介さんと東京理科大学理工学部の新井健教授。経営情報学会誌に掲載された論文が最優秀と認められたのが受賞理由。
 論文は「社会的ネットワークを考慮した消費者行動のエージェントベースモデル―デジタルミュージックプレーヤー市場への適用―」。
 消費者が購買品を決定するメカニズムはもともと複雑だが、入手可能な情報が増えたことでさらに複雑化している。増田助教らは消費者行動を理解するため、今回、マルチエージェントシミュレーションと呼ばれる方法を使い研究を進めた。
 研究のモデルは、複数の競合製品があり、一方に個性の異なる複数の消費者がいるという市場。このモデルで、一定期間内における複数の同種製品の販売量を推計する。各製品は時間と共に価格が変動し、製品の属性と消費者の価値観の絡み合いで、消費者が得る効用値が異なってくる。
 さらに、消費者には既に製品を買った人の情報や、「売れ筋情報」などが伝えられる。
 このモデルをネットワーク外部性効果が働くデジタルミュージックプレーヤー市場に適用し、市場全体の反応を分析、その有効性を探った。
 増田助教は「名誉ある賞を受賞し光栄です。今後も賞に恥じないよう精進します」と話した。

水素燃料電池自動車開発に貢献


機械サイエンス学科
田辺 郁研究員 菅野幹宏研究員 茂木徹一教授
最優秀ポスター賞
表彰状を受け取る田辺研究員
表彰状を受け取る田辺研究員
 今、車の動力源は急速にガソリンからクリーンエネルギーへ転換しているが、昨年の国際会議で、その一分野の本学の研究が高い評価を得た。
 12月11〜14日、仙台市の東北大学で開かれた「第18回先端材料のプロセスと加工に関する国際会議(PFAM18)」。この会議の席上、本学工学部機械サイエンス学科の田辺郁・菅野幹宏両研究員と茂木徹一教授のグループが、ポスターで発表した「A6061アルミニウム合金の疲労強度および低歪み速度での引張強度に及ぼす環境湿度の影響」が最優秀ポスター賞に選ばれた。
 同グループは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の委託研究として「水素燃料電池自動車に搭載する軽量の水素ガスボンベ用アルミニウム合金の材料開発」に取り組んでいる。
 現在のボンベでは1回の充填での走行距離は約300キロメートルだが、実用化するには1000キロメートル以上が求められる。実現するには高圧水素ガス容器が必要で、今より高圧のガスに耐えられるアルミニウム合金製容器の材料開発が必須。
 今回の受賞は、アルミニウム合金の水素による脆化の機構を解明し、今後の材料開発に大きな貢献をしたことが認められた。

出版


JABEE対応科目の教科書
地盤工学における性能設計
地盤工学における性能設計
著者= 赤木寛一、田村昌仁、大友敬三、小宮一仁
発行= 丸善株式会社
定価= 3990円《税別3800円》
 平成22年度後期、建築都市環境学科にJABEE対応科目「性能設計地盤工学」が新規開講されるのにあわせ、小宮一仁教授(建築都市環境学科)らが執筆した教科書「地盤工学における性能設計」が丸善から出版された。本書は、地盤工学における性能設計の基本的な考え方から耐震設計や環境問題、そして性能照査のための最先端の数値解析法や維持管理に至るまで、最新の技術動向や知見を踏まえて体系的に分かり易く記述されている。
 「他大学にはない新しい内容の講義科目が新規開講され、これを担当することになったので、研究仲間と協力して教科書を作りました。地盤の性能設計は、建設技術の国際競争力を高めるためにも、また日本人エンジニアの活躍の場を海外に広げるためにも必要な技術です。この最先端の技術の理解・習得に本書が役立てばよいと考えています」と小宮教授は語る。
 小宮教授はこれまでにも千葉工大での講義科目のために、「土質力学」(彰国社)や「Underground Construction Technology in Japan」(英書・丸善)を執筆し、これらは千葉工大の他、国内外の大学の教科書に採用されている。
小宮一仁教授
小宮一仁教授
遠山准教授ら奨励賞
「TDSは何人でも楽しめるのか」

「社会人基礎力育成グランプリ」予選で
表彰状を手にする遠山正朗准教授(前列左)と長瀬鞠奈さん(同右)、木野田遼君(後列左)、白木駿介君、(同右)
表彰状を手にする遠山正朗准教授(前列左)と
長瀬鞠奈さん(同右)、木野田遼君(後列左)、白木駿介君、(同右)
 昨年12月22日、東京墨田区のすみだ産業会館で開かれた経済産業省主催「社会人基礎力育成グランプリ2010」東日本予選大会で、本学社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科・遠山正朗准教授と学生3人のチームが奨励賞を受賞した。
 受賞したのは遠山准教授と、遠山メンターグループの同学科1年、長瀬鞠奈さん、白木駿介君、木野田遼君。
 今、企業などで働く人材には、基礎学力や専門知識に加え、新しい価値創造のための課題の発見や解決に向けた実行力、異分野と融合するチームワークなどの基礎的な能力が求められている、と経済産業省は認識しており、この力を「社会人基礎力」と呼んでいる。
 その上でこの力を「前に踏み出す力(アクション)」「考え抜く力(シンキング)」「チームで働く力(チームワーク)」の3つの能力に整理、さらに各能力を12の要素にまとめた。
 遠山メンターグループは昨年、東京ディズニーシー(TDS)を調査対象とした新入生オリエンテーションを行ったが、そこでどのように社会人基礎力を伸ばすことができたのか、その過程と結果を予選大会で発表。それが受賞対象となった。
 調査のテーマは「東京ディズニーシーは何人でも楽しめるのか」。4月にスタートし7月の発表に至るまでチーム意識の向上、プレゼンテーション能力や問題解決能力の進展が図られた。
 遠山准教授は「残念ながら決勝大会には進出できなかったが、1年生ながら臆することなく発表した各メンバーは、目を見張るほど成長した」と語っている。
 「グランプリ」は平成19年度から全国の大学が「社会人基礎力」の育成事例や成果を発表する場となっている。
 今年度から予選が東西に分けられ、そこでは教員が学生の活動の概要を説明、学生は具体的な取り組みや成果の内容を発表する。