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2009.6.15

松井所長(惑星探査研究センター)が講演
「21世紀の根源的学問」


日本地球惑星科学連合セッション・シンポ
“地球惑星科学のミッション”
講演する松井所長
講演する松井所長
 4月に発足したばかりの本学「惑星探査研究センター」の松井孝典所長が5月19日、千葉市の幕張メッセ国際会議場で開かれた「日本地球惑星科学連合(JPGU)」2009年大会のセッション・シンポジウムで講演した。
 JPGUは日本国内の地球科学および惑星科学関連の学術団体が集まり05年に設立された学術推進・普及教育・社会貢献を目指す連合体で、宇宙生物学、海洋、火山、地震、気象、資源、地質、地理、地学、惑星科学など50近い学会が結集しており、松井所長は結成時から重要な役割を果たしている。
 今大会は16日から21日まで、各分野別、分野横断型など25のセッションに分かれ多くの発表が行われた。松井所長はユニオンセッションで「地球惑星科学のミッション」と題して講演した。
 松井所長は「持論を話します」と前置きして、地球惑星科学が人間圏との関係で他の理学と異なること、災害・環境・資源など人間圏の問題に関わって構成される学問で、これからの人類にとってもっとも重要な学問であること、その理解を深めることで地球システムと調和的な人間圏が設計できると説明。地球惑星科学は21世紀の人類にとって根源的な学問だと述べた。さらに、地球システムの関係性や構成要素、駆動力などについて解説し、文明や環境などあらゆる分野は人間圏文明論的に分析すれば解決できるとして、われわれホモサピエンスの特徴は、時空を拡大して論じることが特徴であると語った。
 また、われわれとは何か、どこから来てどこへいくのか、を問うことが地球惑星科学のミッションそのもので、諸問題に対処するために地球システムの理解が不可欠で、人類の知的好奇心の根幹に関わる学問として位置付けられるべきだと語った。
 しかし、日本においては現在、学界も国も、この学問に関する認識が不十分。最先端科学支援の予算をとれる研究提示をすることも重要で、若い世代から地球惑星科学の“スター研究者”を何人も輩出する必要があると結んだ。
 なお、大会期間中、大きなスペースをとって各団体の展示ブースが設けられた。千葉工大は、惑星探査研究センターの創設の経緯と壮大な目標について展示。国内初の研究拠点紹介のパンフレットを手に取る人が大勢いた。
本学惑星探査研の展示ブース
本学惑星探査研の展示ブース

習志野市教委と相互協力


教員養成、地域教育で連携強化
協定調印後、握手する本岡学長(右)と植松教育長
協定調印後、握手する本岡学長(右)と植松教育長
 本学と習志野市教育委員会は5月19日、「相互協力に関する協定書」を締結・調印した。
 協定の目的は「優れた資質と能力を持つ教員の養成と地域教育の発展」で、市内の公立小・中学校へ学生を派遣して学校教育に寄与する一方、本学の学生は現場での体験を通じて教育への意識や関心を高められる。
 協定の具体的な内容は市の管轄下の中学校・高校は教職免許のための課程を学ぶ学生に対し教育実習を可能な限り受け入れる。習志野市内小・中学校の要請に応じて本学が教員免許状取得を希望する学生からボランティアを募集、応募学生を学習支援に派遣する。本学は「教員免許更新制度講習会」に市内教員の受講希望をできる限り受け入れる――の3点。
 協定による効果として、理科の授業では、特に実験の準備支援、安全な実験観察実施などの面で本学学生の力量が期待される。算数・数学は個人差が出やすい教科なので、児童生徒に対するきめ細かい対応が期待できる。第五中学校の本学での「先端技術に学ぶ」授業だけでなく、市内小・中学校への出前授業や教職員の研修が活性化する――などが挙げられている。
 調印式は本学津田沼校舎で行われ、習志野市教委の植松榮人教育長と本岡誠一学長ら代表が参加した。
 なお、教員免許更新制度は、授与された免許状に10年間の有効期限が付けられるもので、更新には2年間で30時間の講習受講が必要。21年から導入される。

国内外14人の研究者招聘


第1回惑星探査国際シンポ開催 津田沼校舎
津田沼校舎で開かれた惑星探査国際シンポ
津田沼校舎で開かれた惑星探査国際シンポ
 5月22、23日の2日間、本学津田沼キャンパス新1号棟3階大会議室で「第1回惑星探査国際シンポジウム」が開催された。このシンポジウムは、本学惑星探査研究センターが主催したもので、国内外から招聘された14人の講演者が惑星探査の最新の成果と今後の探査計画について報告し、議論を行うことを目的としている。会場には約60人が集まり、講演に熱心に耳を傾けていた。
 シンポジウムの冒頭、基調講演の中で松井孝典所長は、センターの設立経緯とシンポジウムの目的を説明。惑星探査研究センターが今後、本学の未来ロボット技術研究センターと協力し、惑星探査の発展と推進に貢献してゆく決意を語った。
 講演者として招聘されたのはいずれも惑星探査や惑星科学の分野において世界的に著名な研究者ばかり。これだけ豪華な顔ぶれの講演をまとめて聞けることはめったにないため、専門家にとっても貴重な機会となった。同時に講演者が快く招聘を受けてくれたことは、惑星探査研究センターへの大きな期待の現れであるといえる。
 シンポジウムの最後に松井所長は、講演者と参加者に感謝の意を表すと共に、惑星探査研究センターは今後も、定期的にシンポジウムを開催し、日本のみならず世界の惑星探査の発展を後押しすることを改めて誓った。
日本海水学会会長に就任

「若手研究者育成したい」 尾上教授
尾上教授
尾上教授
 本学の尾上薫生命環境科学科教授が、日本海水学会の平成21・22年度会長に就任した。
 日本海水学会は、昭和25年に設立された日本塩学会を前身とし、昭和40年に領域拡大を目指して日本海水学会と改名し、「海水科学」を共通の基盤とする工学・理学・農学・食品科学に関する学術研究を展開している。現在の研究対象は、塩・希少金属をはじめとする溶存資源や海洋生物資源の利用、海水環境・海洋生態系の保全と修復、海水環境材料・構造物等の腐食防食・防汚対策、塩と海水の分析技術などが挙げられる。
 尾上教授は、学会で編集・企画理事を歴任した後、平成13年より総務理事、平成17年より副会長として、学会運営および学術研究の促進に積極的に携わってきた。
 今回の会長就任について、尾上教授は「海水科学には、海水を資源として取り扱う資源科学分野、海水と地球環境とのかかわりを取り扱う環境科学分野、海水と生命活動とのかかわりを取り扱う生命科学分野がある。平成22年の設立60周年に向けて、海水に関心がある幅広い研究者・技術者や企業の方が積極的に参加され、今後展開する当学会の新しい活動の推進役になっていただくことを強く希望している。さらに若手研究者・技術者を育成したい」と語っている。