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2008.1.15

免疫学者や感染症専門家が活発議論


第3回ハイテクリサーチセンター・シンポジウム
 「細胞機能とその制御の新展開」をテーマに、第3回ハイテクリサーチセンター・シンポジウム(本学ハイテクリサーチセンター主催、慶応大G−COE共催)が昨年11月16日、津田沼キャンパスで開かれた。日本、米国、韓国、ドイツの4カ国の免疫学者や感染症専門家、医師ら約150人が集まり、活発な議論を展開した(使用言語は英語)。
活発な議論が展開されたシンポジウム会場。円内は下遠野研究員(左)と審良教授(右) コーディネーターの高久教授
活発な議論が展開されたシンポジウム会場。
円内は下遠野研究員(左)と審良教授(右)
コーディネーターの高久教授
「細胞機能と制御」テーマに日米韓独の11人が研究報告
 同センターは2004年度から5年間、今回シンポジウムのタイトルとなった研究テーマで文部科学省の研究補助金を受けている。これまでと同じく、補助金研究の成果を報告、あわせて最新情報の交換を目的に、本学工学部生命環境科学科の高久洋教授(分子生物学)がコーディネーターとなって開催した。
 エイズや肝炎、インフルエンザなどのウイルス増殖および制御の作用機序の解明は、先進国では国策的課題になっている。シンポジウムには世界でトップレベルの4カ国の研究者計11人がそれぞれ最新の話題を報告した。
 免疫学の分野では世界的権威の審良(あきら)静男・大阪大教授はウイルス構成成分を認識するToll‐like receptor(TLR)ファミリーの作用機序の解明を行うとともに、宿主におけるウイルス感染認識機構の分子メカニズムを明らかにしたことを報告した。また、C型肝炎ウイルスの増殖にウイルス側のタンパク質(コア)と肝細胞内の脂質が関与していることを世界ではじめて解明、科学誌「ネイチャー・セル・バイオロジー」に発表したことを本学研究所下遠野邦忠専任研究員(分子生物学)が報告した。
 高久教授は「感染症の治療に役立つことが狙いの研究で、やがて応用段階が来ると思う。レベルの高い、実り大きいシンポジウムだった」と話している。

「宇宙船“地球号”」テーマに講演


林教授 清真学園生徒700人が聴講
清真学園高校・中学で行われた講演会 実験で説明する林教授
清真学園高校・中学で行われた講演会 実験で説明する林教授
 スーパーサイエンスハイスクール(科学技術や理科・数学教育を重点的に行う高校を文部科学省が指定する制度)の一つである茨城県鹿嶋市の清真学園高校・中学で、12月8日、本学総合研究所の林友直教授が生徒700人を前に講演した。
 テーマは「宇宙船“地球号”」で、鯨生態観測衛星“観太くん”10年の歩みをはじめ、最近のいろいろな宇宙活動を通じて分かってきた地球科学について話した。同教授は、記録映画と写真や図解をたくさん入れたスライドを駆使して地球と大気の関係、人工衛星を飛ばす方法、惑星探査と惑星の素顔、地球環境などについて分かりやすく講演。このあと、今回の「極め付き」であるアイデアいっぱいの簡単な物理実験が行われた。
 まず、人工衛星が地球を周回する際の「ケプラーの法則」を、教授手作りのゴム製漏斗状の重量モデル内にビー玉をころがして説明。地球温暖化の原理については、はんだゴテとサーモグラフ(赤外線検出装置)を使って、透明なポリスチレン(CDのケース)が赤外線を遮断したり、シリコン単結晶ウエハー(見たところは不透明)が逆に透過したりする様子をメーターの振れで示した。
 また、二酸化炭素の分子模型を上下・左右・水平に動かし、赤外線領域での電磁波吸収の仕組みから、大気が温まる理由を説明した。
 これらの実験は理科担当の教諭にも好評を博した。生徒たちは「人工衛星にとても興味を持った」「ピンポン玉を使ったCO2の説明は分かりやすかった」「地球や宇宙を身近に感じた」と話しており、宇宙への夢をかきたてられた様子だった。

ロボット操縦の面白さ満喫 −船橋・小栗原小で講座開催−


先川原室長が講師 子供たちから大きな歓声
小型二足歩行ロボットに歓声をあげる生徒たち 先川原室長
小型二足歩行ロボットに歓声をあげる生徒たち 先川原室長
 最新のロボット技術に触れて子供たちに将来の夢を膨らませてもらおう――地域・学校・公民館が連携する「学校教育・社会教育融合事業」の講座が本学の協力で12月17日、船橋市本中山の市立小栗原小学校で行われた。
 講座は「ロボットはこんなに面白い〜最新ロボットの秘密〜」で、会場の同校体育館には3年生169人が参加、本学未来ロボット技術研究センターの先川原正浩室長が講師を務めた。
 最初は授業で、小型二足歩行ロボット2台のデモンストレーションから始まった。ロボットは本学のサークル「総合工学研究会」部長、前田尚泰君が製作した旧型の「マキナ」(34センチ)と新型の「マグネシア」(25センチ)。素早いユニークな動きを見せると、生徒たちから大きな歓声と笑い声が巻き起こった。
 デモのあと、先川原室長が「誰かロボットを操縦したい人!」と操縦者を募る。全員一斉に手が挙がり、反応の大きさに室長もびっくり。6人が代表として前田君に操縦を教わり、前後・左右・横歩き・突きなどの動作を思い思いにやってロボット操縦の面白さを満喫した。
 続いて室長の講演に移り、プロジェクターを使って日本の企業や大学で開発されている最新ロボットの事情や世界のユニークロボットの紹介が行われた。さらにクイズ形式で生徒たちに答えさせながらロボットの仕組みや動作を説明、90分間、生徒たちはすっかり講演に惹きつけられた。生徒からは「ロボットの動きが面白かった。楽しかった」と満足げな感想が聞かれた。