2007.5.15
3面

指導者を育てよう インフラを整備しよう


中野教授 ロボット創造教育円卓会議で提言

研究者、教育者100人余が参加したシンポジウム シンポジウムで提言を発表する中野教授
研究者、教育者100人余が参加したシンポジウム シンポジウムで提言を
発表する中野教授
 「指導者を育てよう、インフラを整備しよう」―本学工学部未来ロボティクス学科長・中野栄二教授は3月6日、「ロボット創造教育円卓会議」シンポジウムで提言を発表した。
ロボットは科学技術の先端・基礎
ロボフェスタ運動参加呼びかけ
 シンポジウムは、日本の科学政策の方向を決める「総合科学技術会議」所管の内閣府が主催、文部科学省と、中野教授が理事長を務める国際ロボフェスタ協会が共催して開かれた。会場の東京千代田区・富国生命ビル大会議室には100人を超す研究者、教育関係者が参加した。
 初めに「社会が必要とする科学技術者人材の育成について」と題して実践教育の立場から名古屋大と芝浦工大の2教授が講演。そのあと「創造教育のあり方について」をテーマにロボフェスタ運動提唱者の小野晋也衆議院議員はじめ、大学、専門学校、中学、そしてロボット教材を制作する企業代表ら6人が討論を行った。
 ロボットづくりがさまざまな知と技の総合であり、文科、理科を超えて子供たちを育てるという点では全員が一致。「子供は理科離れなどしていない」「ロボットづくりで子供たちは“協力”を学ぶ」「失敗を恐れない子が育つ」など、実践の成果が次々報告された。小野議員は「創造教育のキーワードは夢・知恵・元気だ。大人が元気になろう」と発言。会場からロボット教育の先駆者・森政弘東工大名誉教授が「ロボットコンテストは豊かな人間を育てる。官僚ロボコンをやろう」と述べると大きな拍手が沸いた。
 シンポジウム終了後、中野教授が「ロボット創造教育活動推進のための提言」を発表した。同教授は、まず、ロボットは科学技術の先端及び基礎、そしてアートでもあることを強調。創造教育推進のため(1)指導者育成体制の構築(2)インフラの整備を挙げた。
 (1)では「ロボット創造指導者資格認定制度」を来年10月をめどに作る。(2)では「ロボット創造工房」設置を自治体などに呼びかける。また、良い意味での競い合いの場を確保するため「ロボット・スタディオン」を体育館や廃校舎の利用も考えつつ設置することを提案した。
 さらに「日本の教育を変えるため」ロボットのオリンピックであるロボフェスタ運動への各層の参加を呼びかけた。

津田沼、芝園で同時開催 日本金属学会、日本鉄鋼協会春季講演大会


史上最高の発表件数に述べ4000人参加
本学から6教授と院生が発表
ロボットと人間の共生について発表する富山教授
史上最高のポスター発表があった日本金属学会
 3月27日から29日までの3日間、第140回日本金属学会が本学津田沼校舎で、また、第153回日本鉄鋼協会春季講演大会が芝園校舎で同時開催された。
 2つの学会・協会は金属・鉄鋼材料からセラミックスまで広い研究分野をカバーしており、今回の発表件数は金属学会がポスター発表を含め史上最高の1268件、鉄鋼協会が604件だった。 両会場とも連日、国内外から参加した研究者、技術者および大学院生ら延べ4000人により熱心な討議が行われ、成功裏に終了した。
 本学からは、機械サイエンス学科の船見国男、齋藤哲治、雀部實、小林政信、鑓田征雄、茂木徹一の各教授と大学院生が日頃の研究成果を披露した。

林教授 宇宙研究・技術開発セミナーで講演
研究者や企業関係者ら100人参加


宇宙開発の進展や観太くん“誕生”を説明
横浜で開かれたセミナーで講演する林教授(左)
横浜で開かれたセミナーで講演する林教授(左)
 (財)内藤泰春科学技術振興財団・神奈川県異業種グループ連絡会議主催の「日本の宇宙研究の最先端と技術開発への挑戦セミナー」が、2月27日(火)に横浜国際ホテルで開かれた。本学からは、「鯨生態観測衛星」の研究を進めている林友直教授が出席してプレゼンテーションを行った。同セミナーには宇宙開発関係の研究者や中小ベンチャー企業関係者など専門家約100人が参加した。
 最初に、独立行政法人宇宙航空研究機構宇宙教育センター長の的川泰宣教授が基調講演を行い、続いて、林教授がプレゼンターとして「宇宙との取り組み方」のテーマで講演した。
 林教授は地球の大気に触れ、「青空は太陽を背にしての散乱光を見ていることです」と説明。また「大気層は地球から200キロメートルで外から来る電磁波の多くを遮ってしまいます。地球上からは可視光線とマイクロ波以外は外界の様子が見えません。そこで、大気層の外にあって宇宙を見たいという考えが動機になって宇宙開発が進んできたのです」と述べた。
 引き続き、重量ポテンシャル、円軌道の周期、静止衛星の方角など専門的に解説した。最後に、本学が進めている「鯨生態観測衛星『観太くん』」の研究に触れた。「この研究のきっかけになったのは打ち上げたロケットの回収で、海難救助システムの研究を足場にして鯨の生態観測計画につながったものです。『観太くん』は、現在も宇宙を周回しております」と説明して講演を終了した。

「科の木会」林教授の講演聴講


記録映画や実物衛星に感動
林教授から『観太くん』の説明を受ける「科の木会」の会員
林教授から『観太くん』の説明を受ける「科の木会」の会員
 東京・武蔵野市の生涯学習市民グループ「科の木会」の会員39人が、4月17日、大型バスで本学津田沼キャンパスを訪れた。一行のお目当ては、本学総合研究所・林友直教授の「鯨生態観測衛星『観太くん』」。
 4号館431講義室に集合し、林教授の講演を興味深く聴講した。林教授は衛星のシステムがよく理解できるよう鯨衛星開発の記録映画を上映、講演も専門用語を避け、例え話を多用して聴講者に喜ばれた。
 講演のあと、一行は8号館に保管されている小型衛星の実物を見学し、感動を新たにした。ある見学者は「大学でここまで出来るとは驚きです。早く鯨に発信機が付くことを願っています」と感想を語ってくれた。


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