2006.01.15

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長谷川さん、優秀ポスター発表賞受賞
 
 
「分かりやすい」と高い評価
放電学会年次大会
 

 放電学会(会長・柳父悟氏)主催の「2005年度放電学会年次大会」で、本学大学院電気電子情報工学専攻の長谷川晶一さん(博士前期課程2年・関井康雄教授研究室)が、「放電学会優秀ポスター発表賞」を受賞した。授賞式は昨年11月30日に開かれた2005年度放電学会年次総会の懇親会席上で行われた。
 長谷川さんの研究内容は「カーボンファイバー植毛面の光反射率と熱放射率の測定」で、15人の発表者の中からただ一人選ばれた。
 この研究は、人工衛星に搭載される精密機器や電源部分の表面素材として開発が進められている新素材の研究で、これを用いた場合、熱の制御が容易になり、軽量化が図られるというもの。この研究発表に対して、多くの審査委員から「丁寧な説明で分かりやすかった」という高い評価を受けた。
 長谷川さんは、昨年8月に北京(中国)で開催された高電圧国際シンポジウムでもポスター発表しているが、今回の受賞について「こんな大きな賞をいただいて、本当にびっくりしています」と受賞の喜びを語っていた。

 
スペースチェンバー(熱放射率の測定に使用)の前に立つ長谷川晶一さん
 
 
高橋教授発明の入力装置が好評
 
 
2005特許流通フェアin東京
 
 特許市場活性化のための「出会いの場」を提供する「2005 特許流通フェアin東京」(特許庁、関東経済産業局主催)が、「知財が拓く夢ある明日」をテーマに、昨年11月30日から12月2日まで、東京ビッグサイト(江東区有明)で開催された。
 出展した企業、大学、研究機関等は200を超え、本学からは工学部デザイン科学科のが発明した「携帯型操作入力装置」で、共同開発企業を求めて出展した。
 同入力装置は、コンピュータ、テレビ、ビデオなどのAV機器、家電製品等を指に装着したまま手元に視線を移すことなく、機器本体のモニタ部のみを見て操作でき、縦スクロールと横スクロールの操作を個別の操作部で行うことにより、両操作の切り替えを明確に区別し、誤操作を防ぎ、組み合わせにより多様な機器の操作を迅速に処理できる。
 高橋教授は同装置の発明について「この発明は卒業研究の一環として、ブラインドユースができる効率的な入力デバイスを研究する中から生まれた。私たちの身のまわりの製品が多機能化・システム化・ネットワーク化し、ユビキタス化する傾向にある現在、個別の機械に振り回されるのではなく、ヒューマンセンタードデザインの考え方に立って、使用者個人に必要な機器を統合的にコントロールできるような入力デバイスを作るのが目的である。今後も実用化に向けて、動作モデルの開発など協力メーカーを探しながら進めていきたい」と語っている。
 期間中、本学ブースを訪れた人は約120人。コンパクトで美しいデザインの入力装置に高い興味を示していた。
 
 
多くの訪問者を迎えた本学ブース   高橋教授が発明した入力装置
 
 
活躍する校友
 
 
キヤノン(株)専務取締役
 山下 征雄氏 
(66)
 
(やました ゆきお)
  (昭和37年 工業経営学科卒業)
 
組織対応能力を養え!
 
 キヤノン株式会社(御手洗冨士夫代表取締役社長)は、カメラやインクジェットプリンタなどのコンシューマ製品、レーザービームプリンタや複合機などのオフィスイメージング機器、半導体露光装置をはじめとしたインダストリー製品など幅広い事業分野を持つメーカーだ。世界ランキングから見ると、ビジネスウィーク誌のベスト・グローバル・ブランド日本のブランドで4位を占めるグローバル優良企業だ。そこのナンバー2が山下征雄専務取締役人事本部長。

印象に残った会社の風土

 山下さんは、昭和37年(1962年)に本学の工業経営学科を卒業し、その年キヤノンに入社した。「この会社を選んだのは、給料が高かったのに加え、それ以上に会社の風土が非常に自由奔放なのが魅力的でした。チャレンジ精神も旺盛で将来性も感じました。将来性と会社の風土が一番印象に残っていますね」と語る。
 入社後は、生産技術部に配属され、工場計画と工場内の改善を担当。その後、事務処理用のコンピュータが初めて会社に導入された際、生産管理のコンピュータ化が企画され、生産管理機械化推進委員会が設置された。山下さんはこの委員会のメンバーとして事務管理を担当した。後にこの業務が拡大し、事務管理が設置されたとき、人事異動があり、しばらくはその課長として事務合理化の仕事をしていた。そしてその頃、ちょうどキヤノンのヨーロッパにおける販売会社の組織が急拡大の時代で、コンピュータ処理を導入し始めた。その取りまとめに『ヨーロッパに2、3年行って来い』と言われて「キヤノンヨーロッパ本社」のあるアムステルダムヘ赴任した。しかし、結果的にはヨーロッパに20年も滞在することになってしまった。キヤノンにとっては海外販売組織の拡大期で、各国に設置した販売会社の経営改革が急務になっていたのである。このため、山下さんは事務管理の仕事から「キヤノン・ヨーロッパ」の社長スタッフに移り、これがきっかけで、41歳の若さで「キヤノンUK」(当時キヤノンヨーロッパの販売子会社)の社長に就任した。「運がよかったのは、大学の時にESS(英会話部)に入っていたことです」と話す。
 平成3年にキヤノン(株)取締役に、平成8年には「これからは人事部門のトップも経営感覚のある人間でないと駄目だ」と、御手洗社長からの名指しで取締役人事本部長に推された。その後、常務取締役人事本部長、平成11年には専務取締役人事本部長に就任した。現在も人事本部長が主務だが社内の各種委員会の委員長も兼ねていて多忙な毎日だ。
 「キヤノンの経営組織は、全取締役が執行役員として担当部門を持ち、直接指揮している。非常に求心力の強い一体型組織です」と実情を語る。いま話題の御手洗社長の経団連会長就任の話に触れ、『山下専務の負担も増えるのでは?』との問いには、「今は微妙な時期ですから、なるべく社内では触れないようにしています」と笑いながら答えた。
 「成功の秘訣は分からないですね。運がいいのかもしれません。でも運を実現する努力はあると思います」と話した。「それに一般的に工業経営学科卒業の人は、会社を良くしようとする経営意識が強いと思います。どんな仕事についても、会社を良くしようという経営改善の意識ですね」と言い切った。
 山下さんは「田舎で呉服屋をやっていた親父は、ボクが3歳の時に亡くなりました。その後、母親と姉や兄に育てられました。高校は静岡県の掛川西高校卒業。大学を選ぶときは、入学も浪人はしないで、就職も縁故なしでもできる学部にする必要がありました。当時、工学部の就職率が圧倒的に良かったのです。そんなことで進路を決めてしまいましたが物理や化学が苦手で全く工学部向きではなかったですね。それが工学部へ入ってしまったものだから、よく卒業したなと思いますよ」と楽しそうに説明する。

「ESSの経験が生きた」と山下氏
 学生時代は「あまり真面目な学生ではなかったですね。マージャンとか、遊ぶ時間が多かったですから。寮にも1年間、大久保寮に入りました。部活はやりましたが、歌声喫茶にもよく通いました。アルバイトもデパートの中元などの配達もしました。そういうのも悪い経験ではないですね」。
 本学の後輩たちには「組織の中では一人では生きられない。だから人間関係を築けるような、それに役立つ経験、人の気持ちを理解できるようなことを身につけてほしい。組織対応能力をつけてほしい」とアドバイスしてくれた。趣味はゴルフと釣り。「釣りには今でも出かけます」と語った。
 
 
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