徹底させたい教養基礎教育
明けましておめでとうございます。皆様には輝かしい、幸せな新年をお迎えのこととお喜び申しあげます。
学長に就任して一年半を過ぎましたが、私は、これまで一貫して本学の教職員に「建学の精神」の徹底を訴えてきました。本学の特徴あるいは他大学との違いを出すためには、この建学の精神「師弟同行」「自学自律」を基に、本学の教育目標である「科学技術の厳しい変化に対応できるしっかりした基礎学力を持つ学生(人材)の育成」を今後も効果的に実践していきたいと考えています。
この実践のために教養基礎教育の見直しを行います。これまでにも人とのコミュニケーションの苦手な学生が多いといわれていますが、これは大学が専門学校的に基礎教養を軽視してきたことに起因していると思います。
そこで本学の学生には、最低限の教養基礎能力をきちんと身に付けてもらいたい。このためにまず私は、教養基礎教育のあり方について、教育センターの先生方にご検討願い“魅力ある教養基礎教育のカリキュラム”を作成していただきました。この4月から全学部全学科で実施する運びとなりました。
“教育の質の向上”を
次に、私が考えるのは、新入学生に対して、勉学への動機付けを早期に行いたいということです。昨年「入り口から出口まで」一貫教育の必要性を感じ一体化委員会を作りました。その結果、分かったことは、1年生の時に大学で学ぶことの動機付けができた学生は、良い成績で卒業しているということです。
“鉄は熱いうちに打て”と言われます。そこで、本学の伝統や特色、教育体系などを、さっそく今年4月の新入生に、私から直接話をすることにいたしました。
さらに、「教育の質の向上」を目指し、これまで以上に力を尽したいと考えています。たとえば、本学に『教育研究シンポジウム』を立ち上げて、全学的に取り組んでいき、このシンポジウムを通して、教育の成果が得られた教員に対しては、評価として認めていきたいと考えています。
この方法を導入することによって、教育研究の成果がより上がることを期待しています。第三者評価のこともあり、教育の質の向上には、先生方の意識改革が不可欠です。
全学挙げて「ジャビー」認定取得を
また、ジャビー(日本技術者教育認定機構・JABEE)の認定を全学挙げて取り組みたいと思います。
ジャビーの認定を受けるということは、本学の技術者教育が、社会の要求水準を満たしているということを評価されたもので、工学教育の質の向上を図っていく本学としては是非取得したいと考えています。
昨年12月にはジャビーの普及にともなって日本工業教育協会が「教育士」という新しい資格制度を取り入れました。「教育士」は、今後、大学の教員になるための必要な資格となると思います。
さらに、ジャビーの取り組みには、受験生の間でも高い関心が持たれ、大学受験の際の選択肢の一つになっているといわれています。また「ジャビー認定」を持つ大学であるか否かが、就職に際して企業側が大学を見る条件の一つになる日も近いのではないかと思います。平成19年度からは、全学挙げてジャビー認定のための体制を構築していきたいと考えています。
新設「未来ロボティクス学科」に期待
このほかに、今年4月に開設する「未来ロボティクス学科」のことですが、私は、この学科に大いに期待して います。というのは、私が先に 述べた“大学で学ぶことの動機付け”と強く結びつく学科であるからです。
ロボットを解体して 中の仕組みを見せたり、1年生から“ロボット作り”を始めることで、論理体系を段階を追って学ぶことができるからです。
こうすることによって学ぶことの動機付けや、モノづくりへの興味を持たせることができ、学生のドロップアウトも少なく、勉学に励んでくれるものと思います。そうなれば、他学科でもこの方式を取り入れて行きたいと考えています。
最後に、本学が名実共に社会から選ばれた大学として、その存在価値が示せるよう教職員挙げて努力を重ねて参りますので、皆様方のご支援、ご協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
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