2005.3.15

3面
 

私の就職活動

「研究」見直し、面接対策考えよう
電気工学専攻 菱川 浩太 
 

 
 私の就職活動を振り返ると『大学院生だからスムーズに内定を預けた』という訳ではありませんでした。
 就職活動を始めた頃には、エントリーシートや履歴書などといった、普段の研究では書き慣れていない書類に戸惑い、特にエントリーシートでは、受ける会社ごとに記入する項目が違い、苦労した記憶があります。
 このような書類を提出し、いざ面接を受けるという状況になっても、面接慣れをしていない私にとってはどのように自分自身をアピールして良いかわからず、初めの頃は緊張して、自分の言いたいことの10%も相手に伝えることができませんでした。私のように、慣れていない面接で自分をアピールしきれずに失敗をしてしまう後輩も少なからずいると思います。
 私からのアドバイスとして、面接対策は必ず必要だと思います。また、面接を通して、実感をしたことは、『簡単な言葉で説明できる人は、その事柄を理解している人』ということでした。特に研究では、もう一度自分の研究を見つめ直すことも大切ですが、専門用語をただ連呼し、相手を言いくめるのではなく、専門用語をなるべく簡単な表現にして(極端なことを言うようですが)小学生でも理解できるぐらいの簡単な言葉で表現することが必要であるということです。
 最後に、どんな相手でも、どんなことでも、必ず言葉を選んで、相手に理解してもらうという気持ちを忘れないでください。その気持ちは必ず相手に伝わり、良い結果に結びつくと思います。皆さんの健闘を祈ります。
 内定先・ 日野自動車工業(株)
 
 
見つけよう“自分の売り”
建築学科 田子 貴之
 
   
 私は、就職活動を『自分を志望企業に売り込むためのプレゼンテーション』だととらえ、まず活動前に「自分の“売り”は何なのか?」を考える作業、いわゆる自己分析を徹底的にしました。
 成績には自信がなかったのですが、自分が胸を張って話せるのは、高校3年間、大学4年間と続けてきたラグビー部での活動でした。
 例えば、エントリーシート、履歴書、面接などにおいても、全く関係のない「趣味は?」という質問からも、体を動かすこと→スポーツ→ラグビーと話しを持っていき、つねに自己PRにつながるよう意識していました。
 自分自身が長所をわかっていないと、面接でも元気良く自信を持って話すことができません。これから就職活動をする後輩の皆さんには自己分析を丁寧に行って、是非「自分の“売り”」を見つけて欲しいですし、低学年の皆さんには、大学生活の中で何か一つでも“夢中になった、頑張った”と言えることをして欲しいと思います。
 内定先 松井建設(株)
 
 
企業研究は不可欠 OB面談も積極的に
精密機械工学科 高氏 明敏
 
 私は小学生の頃から機械いじりが好きで、機械の設計や製造に携わる仕事がしたいと考え、電機メーカーを中心に就職活動を行いました。
 就職活動ではエントリーシート・SPI・専門試験・面接と多くの難関がありました。なかでも面接に最も苦労をしました。面接では、具体的に学生時代に打ち込んだこと・志望動機・研究テーマなどを聞かれました。
 例えば、志望動機で必要不可欠なのが企業研究です。企業研究は、自分でHPやパンフレットを読むだけでは月並みで、志望動機などが薄くなってしまいます。そこで、その企業の現状や将来の方向性を知るために、本学の0Bの方に面談を行っていただきました。
 面談では、実際に働いている現場の情報や現場が望んでいる人材だけでなく、実務経験の無い私は、各職種がどのような仕事をするのか良く分かっていなかったため、実際に現場で働いている方の意見も聞くことができ、面接の際に大変参考になりました。
 また、面接で特に回答に苦慮したのが、卒業研究でした。卒業研究は、就職活動をする時期に、まだ研究が始まっていなかったため、3年生の春休みから研究室に通い、先生方や大学院生の方に相談をして答えられるようにしました。
 この経験から『卒業研究は待っているものではなく、自分から始めるものだ!』ということにも気がつきました。(面接対策として卒業研究のことを考えていると、就職活動がはかどり、卒業研究もはかどるの一石二鳥でした)
 最後に、就職活動は積極的な姿勢と貪欲さが必要です。これから就職活動をする皆さんも『わからないことだらけ』かも知れませんが、目標に向って頑張り、それぞれの夢を実現してください。
 内定先・(株)日立製作所
 
 
 

活躍する校友

シャープ(株)取締役・電化システム事業本部長
加藤 逸朗 氏(かとういつろう・58)
(昭和44年 機械工学科卒業)

環境先進企業へまい進
“健康・安全・安心” 重視の時代
 

   
 加藤さんは、本学卒業と同時にシャープ(株)に入社、産業機器事業本部(現在・ドキュメントシステム事業本部)に配属になった。同社は、昭和46年から同47年にかけて、「これからは事務機器の領域の拡大をしよう」という時代だった。
 当時は、コーティングペーパーでコピーを取るというのが主流の時代。事実、コピー機の販売合戦が激しさを増していた頃で、販売占有率トップのゼロックスをキヤノン、リコーといった会社が追いかけていた。当時、シャープはコピー機販売では始まったばかりだったが、電卓は業界トップを走っていて「電卓販売ルートに乗せてコピー機も販売して行く」という戦略姿勢だった。
 
▲「人よりも高い目標を・・・」と語る加藤逸朗氏
北海道育ちが本学へ 

加藤さんは北海道生まれで、根室高校を卒業。大学入学時から、将来はエレクトロニクス関係の仕事をしたいと考えていた。「学生時代はごく真面目な学生でした。友だちと同好会的なサークルをつくり、中古車マスターライン(クラウンの前身)で箱根から京都まで旅行しました」と思い出を語る。
 入社16年、課長時代の1985年に「A1110緊急プロジェクトチーム」(パーソナルコピアの開発)のチーフに、そして88年に情報システム事業本部複写機事業部第2技術部部長に昇進した。99年には、約30年間携わったコピー機事業から離れて、本社機構である環境安全本部の副本部長を約6カ月務めた。翌年4月からは、電化システム事業本部副本部長兼空調システム事業部長に就任。ドキュメント事業とは全く異なる業界であったが「セクションは異なっても、エアコン、空気清浄器などモノづくりの基本は全く同じです。これまでの仕事の経験は十分生かされてると思います」と語る。
 そして、2003年6月1日に現在の取締役兼電化システム事業本部長に就任した。加藤さんは「エレクトロニクスメーカーの中でも白物家電の分野は、これまで成熟産業と言われてきたが、今や成長産業に変わりつつあります。つまり健康、安全、安心と言った世の中の変化に対応することにより流れが変わってきたと言うことです」と強調する。また「韓国や中国のメーカーと同じことをやっていては勝てない」と厳しい企業の一面も語る。

高額商品も付加価値次第

 「例えば、シャープが環境・健康を目指して開発した過熱水蒸気方式の調理器『ヘルシオ』を例に取ってみると、100度に熱した蒸気をさらに300度まで上げると通常のオーブンに比べて食品に加わる熱量が約8倍になります。油分や塩分が落とされ、無酸素状態調理からビタミンCの破壊が少なく、ウマ味が残って健康調理が出来るのです。ヘルシオの実売価格は10万円前後と少々高いという人もいますが、使ってみればその価値は十分わかりますよ」と自信ある答えが返ってくる。
 また、加藤さんはシャープという企業の製品開発プロセスを説明してくれた。「当社には『緊急プロジェクト制度』があり、そのチーフは社長直轄で大きな権限が与えられます。新製品開発の申請(計画書)を出すと、その新製品の目的達成のために、他の事業本部から仕事のできる社員を期間限定でそのプロジェクトに参画してもらえ、必要なスキルの人材を容易に集められる特典があります」と、同社独自のやり方を説明する。

すべてに挑戦する“意気込み”が大事

 「これまでの経験から、人間の能力は無限です。技術者は大きな夢を持ち、人よりも一歩も二歩も高い目標値を置くことが大切だと思います。加えて『初心を忘れるな』。時々原点に戻って考えることが大切でしょう。これからシャープという企業は“環境先進企業”になるのです。だから、われわれ“白もの事業”(エアコン、冷蔵庫、洗濯機などを指す)の技術者も、液晶やソーラー(太陽電池)などの技術交流を考えていく必要があります。世の中の流れを適格に掴むことが大切」と、経営者の顔を見せた。
 後輩の大学生に対しては「これからの技術者はグローバルに活動できる人材が必要。従って工学部出身でも英語が話せることが必須。また、どんなにいいアイデアを持っていても、それを正しく相手に伝えるコミュニケーション能力が重要です」とアドバイスしている。
 趣味はゴルフ。毎月のように海外出張もあり、忙しい仕事環境ではあるが、連休を利用して、奥さんとの海外旅行が楽しみという。

 
  
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