NEWS CIT ニュースシーアイティ

2020.11.15

生徒の未来へ ロボットでエール


fuRo所長が記念講演 高校創立120周年に
 千葉県内で3番目に古い旧制中学として開校した房総半島中央・夷隅郡大多喜町の県立大多喜高校(川崎浩祐校長)が創立120周年を迎え、11月4日、同校第一体育館で記念式典を開催。瀬戸熊修理事長や未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長が招かれ「ロボット技術と未来社会」をテーマに記念講演が行われた。古田所長は最先端ロボットのデモを交えつつ技術の夢を語り、生徒たちの未来へエールを送った。
生徒たちに語りかける古田所長(右)
生徒たちに語りかける古田所長(右)
理事長出身の縁
 大多喜高は高分子化学の吉岡甲子郎東京大名誉教授や安西浩・元東京ガス会長ら各界に有名人を輩出。同町と本学が包括連携協定を締結していること、また、瀬戸熊理事長が大多喜高出身という縁もあり、飯島勝美町長から依頼されて実現した。
 講演には大和秀彰副所長、戸田健吾上席研究員、野村緑主任研究員、小太刀崇主任研究員、萩原一輝主任研究員、西村健志研究員、松澤孝明研究員らfuRoメンバーの大半が参加。古田所長のトーク・デモライブの形で進められた。
 高校側から感謝の言葉と瀬戸熊理事長の紹介があった後、古田所長が講演を開始。「120周年のお祝いにふさわしいロボットたちをたくさん持参してきたので、楽しんでください」と、式典から一転、体育館の中央に広くスペースを取り、生徒たちが囲むような形でスタートした。
 自己紹介で古田所長は「ロボット博士といわれるが、子どもの頃のほうがすごかった……」と、幼少期に描いた絵を公開。真四角が書かれた図面のようなもので「タイトルはお風呂。笑っちゃうでしょ?」に、会場は爆笑。
 fuRoが携わってきた研究やプロジェクト、今後の展望などを説明後、登場したのが、東日本大震災で活躍した災害対応ロボット「櫻弐號」。悠々とステージへの階段を上る姿に、高校生らは「おおーっ」と歓声を上げた。
 「操縦してみる?」と客席の高校生を連れてきて、ゲームのコントローラーで簡単に操縦できることをアピール。操縦を体験してもらった。
 次に多関節8脚の移動ロボ「HallucⅡχ(ハルク・ツー・カイ)」が登場。「外国ではゴキブリと呼ばれた」奇妙な形が▽車両▽昆虫▽動物――の各モードに変わり走行したり、歩いたり。拍手が起こると、ロボット自体も120周年を祝って脚で拍手を披露した。
 さらに、4形態に変形できる近未来のパーソナルモビリティー「ILY―A(アイリーエー)」を紹介し、生徒が試乗。次に、持ち主に犬のようについてくるロボットがバイク様の乗り物に自動変形する次世代モビリティー「CanguRo(カングーロ)」を萩原主任研究員が乗りこなし、生徒たちから「かっこいい」と歓声が上がった。
 最後に福祉社会での活躍をめざし、周囲の環境を認識して加減速する高速電動車イスが運び込まれ、性能を試乗体験。古田所長は「夢を持って頑張れば、だれでも将来、優れたロボットを作ることができる」と訴えた。
 自身の難病体験も披露し「希望を失いそうになったが、不幸せが幸せに変わるようなロボットを作ろう」と生き方を変えたことを告白。「自分に与えられた時間をどう使うのか、いつかではなく、今。これだと思うことに出合えたら、とことんつきつめて頑張ってほしい」と、生徒たちにエールを送った。
ステージ上の櫻弐號
ステージ上の櫻弐號
高速電動車イスに試乗 I LY‐A
高速電動車イスに試乗 I LY‐A
「研究開発に興味」
 講演後、生徒代表から「堅苦しいイメージだった講演が、ロボットが動く様子を目前で見て、貴重な操縦体験をさせてもらい、あっという間に時間が過ぎました。生活に便利なロボットが、当たり前のように入り込んでくる一方で、日々、新しいロボットが研究開発されている様子を知り、ますますロボットに興味がわきました」と感謝の言葉があった。最後に記念品として、古田所長に大きな胡蝶蘭の鉢植えが手渡された。
 講演後も、古田所長らは生徒に取り囲まれて話を交わし、ロボットと記念撮影。さながら千葉工大・fuRoのロボットイベントのような展開となった。

就活 対面方式で面接へ


本学、企業説明会働きかけ
対面方式で開かれた合同企業説明会
対面方式で開かれた合同企業説明会
 就職・進路支援部は、新型コロナ禍で延期していた合同企業説明会を10月以降相次いで開催、学生への就職支援を強化している。オンラインでの就活が続き学生たちは苦戦していたが、就職・進路支援部は「年度末までできるだけ多くの企業と面接の機会を設けたい。学生は合同企業説明会に来て最後まで頑張ってほしい」と呼び掛けている。
 今年の企業の採用広報活動は3月に解禁、6月からは選考も始まった。しかし、4月中旬の緊急事態宣言拡大以降、選考活動は大手企業を中心にオンライン面接に転換。中堅・中小企業の採用活動は一気に1カ月半ほど止まってしまったという。
 このため例年7月には約60%に達する内定率が今年は50%台で低迷し、9月末でも70.1%と昨年同期より10ポイント低下。ただ、首都圏の理系大学の平均内定率が6〜7割なので「ほぼ同じペースで推移している」。だが、来年3月まで採用を継続する企業がどれだけあるか、楽観できないという。
 福江聡・就職・進路支援部長は「今春の本学卒業生の就職率は98.6%と過去最高を記録したが、現在の就活状況は厳しい。東京五輪関連施設の工事が終わり、元々、建設などの内定率が下振れするとの予想に、コロナ禍がダブルパンチとなった。企業はまだそれほど採用を減らしていないと感じるが、先行きは不透明。だからこそ早めに手を打っていきたい」。
 オンライン面接だけでは満足度が上がらないので、対面の合同説明会を多く仕掛けていく方針だ。都内の私立大に先がけ、本学は対面授業、合同説明会とも行っている。会場定員を1回30人程度に抑える必要はあるが、12月まで月3回ほどの合同説明会を開き、年明け以降も個別企業ごとに説明会を開く予定。
 10月に開催された合同説明会には、3日間で計39社が参加、計108人の学生が面接に訪れた。参加企業の一つ、高見沢サイバネティックス(本社・東京都中野区)の担当者は「千葉工大から昨年に続き今年も採用したいと思っているが、採用活動ができなかった。7月からウェブ説明会を始めたが、一方通行になりがち。対面だと学生の表情が分かるのでよい」。
 小倉クラッチ(本社・群馬県桐生市)の担当者も「3〜6月まで採用活動を中断していた。7月から対面とオンラインで面接を始めたが、対面の方が学生の話す内容がよく分かる」と話していた。
 学生側も「ウェブだと会話している感じがせず、受け答えが難しい。今日はうまくスムーズに受け答えができた。行きたいところが増えた」(機械工学科4年)、「対面は質問しやすく、表情が伝わるのでいい」(応用化学科4年)と、対面での説明会に手応えを感じていた。
「研究開発に興味」
 3年生や大学院1年生も、インターンシップや業界セミナーが開催されるなど就活に動き出している。企業―大学間では企業の採用広報活動の解禁は4年生の3月、選考の解禁は6月で合意されているが、多くの企業はできるだけ早く学生を確保したい、と解禁前から動いているのが実態だ。
 ここ数年、企業側はインターンシップの学生の確保を優先しつつある。特に、大学院1年生なら「ジョブインターンシップ」から採用につながる動きをしてもよいのではないかという議論が出始めているという。
 福江部長は「メーカー・製造業は学部生よりも、結果として院生を多く採用する傾向がある。すでに採用数の5割が大学院卒。将来、航空機、自動車、工作機械などに関わりたいなら大学院進学が就活に有利になりつつあるので、学生・保護者に大学院を意識してもらうよう活動していく必要がある」と話している。