NEWS CIT ニュースシーアイティ

2020.7.15

新学長に松井常務


理事会 満場一致で
 小宮一仁学長(58)の任期が今年6月28日に満了となることから、本学は6月9日に開いた理事会で次期学長の選出について審議し、松井孝典常務理事(74)=写真=の次期・第13代学長就任を満場一致で決定した。任期は令和2年6月29日から同6年6月28日。
第13代 任期4年
 今回の学長選出は「千葉工業大学学長選出規程」に基づき行われた。経緯は、去る2月6日開催の理事会で、6月28日で任期満了となる小宮学長の後任について、学長候補者選考委員会を設置して選考することを確認、そののち委員会を立ち上げ、学長候補者の選考を諮問した。
 4月21日、学長候補者選考委員会より学長選出規程第7条「委員会は、学長候補者の中から2名以内を決定し、理由を付して理事長に推薦するものとする」の規定に基づき、次期学長に松井孝典常務がふさわしいとして理事長に推薦した。
 瀬戸熊理事長は6月9日の理事会で、寄附行為第19条第2項の規定により、令和2年6月29日付で松井常務を千葉工業大学第13代学長に選任したいと諮ったところ、理事会は満場一致で松井常務の学長選任を決定した。
 松井孝典常務理事の学長就任に伴い、理事としての選任条項が寄附行為第6条第1項第3号「学識経験者」から第1号「学長」に変更となることから、空席となった「学識経験者」枠の後任には、現在評議員であり副学長の佐波孝彦教授が、また、常務理事の後任には前田修作常任理事が、「研究担当」の理事については古田貴之常任理事が就任した。
小宮学長は学事顧問に
 これにより、佐波教授の評議員としての選任条項が寄附行為第24条第1項第2号「法人の職員」から第5号「理事」に変更となることから、後任に長尾徹教授(デザイン科学科)が推薦され承認された。
 2期8年にわたって学長を務め、さまざまな教育改革を推進してきた小宮一仁学長は、学事顧問に就任。佐波理事、小宮学事顧問の任期は6月29日から令和6年1月17日まで、長尾評議員の任期は6月29日から令和4年1月17日までとなる。
松井新学長 就任あいさつ
 6月29日付で本学の第13代学長に就任しました。
 私は招かれて2009年4月に本学に着任。惑星探査研究センターを立ち上げて以来、同センター所長の傍ら理事、常務理事として本学の運営に関わってきました。
 この間、我が国の大学の中での千葉工業大学のステータスは大きく様変わりしました。私が着任当時、3万人余だった入学志願者数は今年春には10万人を超え、全国6位になりました。
 本学は1942年に旧制工業大学として創立以来、中堅技術者の養成を使命とし、私の前任者までその使命を着実に果たしながら、実のある教育体制を構築してきました。しかし「10万人・全国6位」という膨大な志願者が殺到するようになった今、千葉工大は日本の私立大学の中でどういう大学になっていくのか―が改めて問われています。
 私は研究者として人生を全うすることが最大のゴールだと考えてきました。その一方、大学執行部の一員として、日本の高等教育の在り方や工学教育の未来、その中で千葉工大の教育・研究を率いる学長の資質などについて機会あるごとに発言してきました。
 惑星探査研究センターもこの10年、千葉工大の社会的評価と知名度の向上に大きく貢献してきました。2014年10月と15年6月に、国際宇宙ステーションに物資を運ぶための米航空宇宙局のロケットが2度続けて爆発した事故では、このロケットに惑星探査研究センターが開発した観測カメラが搭載されていたことが報道され、図らずも千葉工大の知名度アップにつながりました。
 小惑星探査機「はやぶさ2」にも深く関わっており、搭載されている観測機器のほぼ全てに参画。宇宙航空研究開発機構が出す「はやぶさ2」のニュースリリースには、必ず千葉工大の名前が出てきます。
 このような経緯からして、千葉工大の未来を構築する重い責任を担う次の学長として「松井孝典」の名が浮上した時、無責任に「他に適当な人を探してください」とは言えませんでした。
 私は従来から「日本は明治以来の高等教育制度そのものを改めるべき時期にある」とことあるごとに主張しています。
 明治維新で誕生した帝国大学制度は多くの優れた人材を育成し、日本の近代化に貢献しました。しかし戦後75年、社会や文明の仕組みが大きく変貌し、大学の数も役割も激変する中で、「日本の高等教育はいかにあるべきか」をとことん掘り下げた、本質的な提議が文部科学省からなされたことがあったでしょうか。
 私は敢えて「ない」と申し上げたい。ならば個別の大学がそれぞれの未来像を模索し、具体例を示していく。それが全国の大学に波及して行けばそれはそれで高等教育制度の改革につながると考えています。
 では、千葉工大はどのような未来像を構築し、社会に提供するのか。
 今、人類は文明の岐路に立っています。文明が進化していくか、衰退するか否かは偏に技術革新ができるか否かにかかっています。技術革新がなければ文明は衰退する。だから技術革新に関わることが大学の使命なのです。
 また、私は「知の流れ」という言い方をしていますが、「知の流れ」を生み出し広げていくのが大学の役割と考えています。
 例えばコロナ禍で本学が取り組んでいるリモート授業も、新しい「知の流れ」だと言えます。リモート授業を洗練、充実させ、発展させて、世界中に授業を発信すれば、大学の在り方そのものが変わってくる。千葉工大の授業を世界中の人が聴くようになれば、まさしく建学の精神「世界文化に技術で貢献する」を実現することになります。
 惑星探査研究センターとは別に、私は昨年、「文明」をテーマとする地球学研究センターを立ち上げました。このような研究センターの成果はこれまで千葉工大のステータス向上に貢献してきたわけですが、これを教育に還元することも学長としての私の役目であると考えています。
 言い換えれば、「宇宙」や「文明」といったものを「工学」と結び付ける形で体系化していくことがこれからの課題の一つだということです。
 そこで重要になってくるのは、これまでの工学にはなかった「俯瞰的な視点」と「長期的な視点」の二つ。この地球上で文明が存続し、さらに発展していくための技術革新とは何なのか――ということです。
 これは実は理学の視点です。この視点を千葉工大の授業にいかにして取り入れていくか。
 千葉工大の変革にさまざまに貢献してきた研究センターの「学部バージョン」作りを今後進めていこうと思っています。そして、世界中にもっともっと「CIT」の名をとどろかせたい。皆さまのご支援とご協力を切にお願いする次第です。
松井 孝典(まつい・たかふみ)
 1946年3月静岡県生まれ。東大理学部地球物理学科卒業。理学博士、東大名誉教授。東大大学院理学系研究科助教授、同新領域創成科学研究科教授を経て、2009年4月本学惑星探査研究センター(PERC)所長、10年4月本学理事、16年1月同常務理事、19年4月地球学研究センター所長。内閣府宇宙政策委員会委員長代理、岐阜かかみがはら航空宇宙博物館館長兼理事長。専門は地球物理学、比較惑星学、アストロバイオロジー、文明論。

JAいちかわから米2トン


コロナ禍 「本学学生へ」と
 JAいちかわ(時田正一組合長)から本学に6月2日、柏市田中地区で生産された「田中さんこしひかり無洗米」2トンが寄贈され、瀬戸熊修理事長から感謝状を贈呈した。
 「新型コロナウイルスの感染拡大で影響を受けた学生を元気づけてほしい」と贈られたもので、米は津田沼・新習志野両キャンパスの学食で提供、寮でも活用される。
 時田組合長は「次代の育成にJAも食を通じ努めていきたい」と話し、瀬戸熊理事長は感謝の言葉を述べた。