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2018.5.15

平成30年度予算案を承認


 3月28日、東京ガーデンパレスで開かれた本学理事会・評議員会で、平成30年度予算案が承認された。
■高等教育を取り巻く環境
 わが国では、平成30年を境に受験年齢である18歳人口が本格的に減少に転じ、2031年には現在の120万人前後から100万人を下回ることが想定されている。さらに、東京一極集中が進むことによって地方経済が衰退し、地方の私立大学が破綻危機に陥ることも予想され、結果として全国の大学に影響をきたすとも言われている。
 現在、私立大学の約4割が定員割れの状態にあり、財務省は定員割れが続く私立大学について、補助金の減額及び停止の検討を開始している。補助金の分配見直しにより経営改善や教育の質向上を目指し、教育の「成果」に応じた配分とする方針となっている。
 これらの社会情勢の変化を踏まえ、大学の淘汰に打ち向かうには、新たな施策や教育環境の充実をはかることにより、大学のブランディング化を一層進めることが重要な時代と言える。
 創立76年目を迎える今年度も引き続き、創立100年に向けての取り組みを積極的に実行していく。
 未来ロボット技術研究センターでは、大成建設株式会社と共同で、自動で鉄筋を結束する自律型鉄筋結束ロボット「T-i ROBO Rebar」を開発した。さらに、産学連携による技術開発を目的にパナソニック株式会社と連携し「パナソニック・千葉工業大学産学連携センター」を設立した。
 惑星探査研究センターでは、「ISS流星観測プロジェクトMETEOR」による流星群の測光・分光観測、来年度小惑星Ryuguに到着予定の探査機「はやぶさ2」の観測機器開発論文執筆および運用解析訓練実施、気球による成層圏微生物採取プロジェクト「Biopuase」による放球実験実施、JAXA宇宙科学研究所の連携拠点として採択され、小惑星フェートン探査ミッションDESINY+の開発を軸に人材育成と探査機器開発基盤の構築に取り組むなど、積極的に活動している。また、火星への無人探査機打ち上げ計画を進めているアラブ首長国連邦(UAE)の2大学の宇宙科学教育を、本学が日本の大学グループを組織して支援することになった。
 さらに、人工知能・ソフトウェア技術研究センター、国際金融研究センター及び次世代海洋資源研究センターの設置により先端研究の領域はさらに拡がりを見せている。
 本学の一般入試志願者動向は、工学部改組、教育研究体制の充実、入試制度の改革、積極的な広報展開、キャンパス再開発などの取り組みによって引き続き増加傾向にある。平成30年度入学試験では過去最高の志願者数となり、志願者総数では全国10位となった。
千葉工業大学 平成30年度予算
■事業計画

1 教育・研究

 引き続き、教職協働により、教育・研究の質の向上を推進し、退学者・留年者の抑制、大学院進学者及び編入学者の増加に務める。
 大学は、建学の精神の実現を目指し、教育及び研究の目的を踏まえ、「学位授与の方針」(ディプロマ・ポリシー)、「教育課程編成・実施の方針」(カリキュラム・ポリシー)及び「入学者受入れの方針」(アドミッション・ポリシー)を一貫性あるものとして策定し公表することが義務付けられている。
 本学では、学部及び大学院において従前よりこれら3つのポリシーを定め、自己点検及び第三者評価を通じて教育の改革・改善に取り組んできたが、この3つのポリシーの一貫性については継続的に評価を行い、更に各ポリシーに教育研究活動が合致したものになっているかどうかの評価を行い、必要な場合はこれらを見直し新たな計画を策定することによって全学的な体制の下でPDCAサイクルを機能させる。
 工学部の改組に伴い抜本的な見直しを行った新たな教育課程については、中央教育審議会答申等で示された学士力の養成、すなわち知識・理解、汎用的技能、態度・志向性、総合力・創造力を養うことを念頭に、能動的学修(アクティブラーニング)やインターンシップなど主体的な学びも多く取り入れて構成されており、教養教育・専門教育を通じて教育課程の体系化、単位の実質化を実現している。
 教育方法の改善については、「FDフォーラム」、「FD講演会」を開催するなど、FD(ファカルティ・ディベロップメント)の継続的な推進を図る。さらに、SD(スタッフ・ディベロップメント)研修への教員参加を拡大し、教職協働による教育支援体制を拡充する。
 また、グッドレクチャー賞やベストティーチャー賞といった教育業績表彰制度による評価や教育方法の講習会等も引き続き実施する。
 平成30年度は、前年度仮運用を開始した教員ポイントシステムを正式運用し、教員の教育力・研究力・社会貢献力の評価に積極的に利用する。
 指定校推薦入学制度の導入による工業高等専門学校との連携強化により、学部3年次の編入学者の数は2015年からの3年間で3倍に増加しており、今後も教育・研究面での交流も含め交流を推進する。さらに高大接続の教育連携についても引き続き検討し、具現化に向けた施策を実施する。
 大学院においては、本学附属の各研究所等と連携した教育・研究体制を充実させるとともに、留学生も含めた学生数の増加を図る。
 留年者や退学者の抑制策については、追加的な補習授業の実施や再試験制度及び仮進級制度の導入により、授業の到達目標や評価基準を維持しつつ、留年者及び退学者の減少に効果をあげている。
 国際化については、今後も引き続き海外のトップクラスの大学との交流協定を積極的に拡大し、留学生の受け入れ及び本学学生の海外留学ともに増加させる。さらに「小川勉国際交流支援基金」も活用しながら広く留学生を受け入れ、出身国のリーダーとなり得る人材の育成に寄与する。
 研究及び産官学連携については、「学校法人千葉工業大学産官学連携協議会」を通じた活動のほか、研究の活性化と産学連携の強化を推進する。加えて、安全保障貿易管理等についても管理体制の整備を進め、更に充実したコンプライアンス遵守体制の構築を進める。

平成30年度予算の概要
Ⅰ【教育活動収入】
 157.0億円(昨年度158.8億円 昨年度比1.8億円減)
 学生納付金は前年度比微減の136.0億円とし、全体では1.8億円程度の減少を見込んでいる。
Ⅱ【教育活動支出】

155.9億円(昨年度159.9億円 昨年度比4.0億円減)

①人件費は、退職金が減少するが、研究員.兼務教員等の増加により7千万円の増加を見込む。

②教育研究経費は、教育環境の充実に重点を置いた予算としているが、マイナスシーリングの方針により修繕費、消耗品費等が減少し、昨年度比3.3億円減の経費削減予算とした。教育研究経費比率は41.2%(昨年度42.8%)である。

③管理経費は、マイナスシーリングにより業務の効率化や経費の圧縮に努め、1.3億円の減少を見込む。管理経費比率は10.9%(昨年度11.5%)である。

Ⅲ【教育活動外収支】
 教育活動外収入は受取利息.配当金で3.4億円を見込む(昨年度比0.2億円増)。教育活動外支出の予定はない。
Ⅳ【特別収支】
 特別収入は施設設備補助金で3千万円を計上した。特別支出の予定はほとんどない。
Ⅴ【基本金組入前当年度収支差額】
 4.8億円
Ⅵ【基本金組入額】

 2.2億円(昨年度13.4億円 昨年度比11.2億円減)

(1) 第1号基本金 組入額 8.4億円
①建物 組入額 6.2億円
除却額 △0億円
②構築物 組入額 0.9億円
除却額 △0億円
③教育研究用機器備品 組入額 6.6億円
除却額 △6.6億円
④管理用機器備品 組入額 1.1億円
除却額 △0億円
⑤図書.車両他 組入額 0.5億円
除却額 △0.2億円
(2) 第2号基本金 組入額 △6.2億円
①第1号基本金への振替 組入額 △6.2億円
Ⅶ【収支差額】
 以上の結果、当年度収支差額は2.6億円の収入超過、前年度繰越収支差額は77.5億円のマイナスであるので、翌年度繰越収支差額は74.9億円の支出超過となる予算である。
 (全文はウェブに掲載)