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2017.11.15

自動 鉄筋結束ロボ
建設現場を一新


fuRo・大成建設 共同開発
ロボットの結束作業の様子に見入る記者たち
ロボットの結束作業の様子に見入る記者たち
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)は10月16日、大成建設鰍ニ共同開発した自動鉄筋結束ロボット「T-iROBO Rebar」(ティーアイロボ・リバー)の記者発表を東京スカイツリータウンキャンパスで行った。
 fuRoは「産学連携による技術開発と新産業の立ち上げ」を活動の大きな柱として掲げている。今回の鉄筋結束ロボットは、三菱重工と共同開発した国内初の防爆性を備えた遠隔操縦ロボット「櫻弐号・防爆仕様」(昨年7月発表)、大成建設と共同開発した天井裏点検ロボット「CHERI」(今年1月発表)に続き、公表されたものとしては3機目。
 「T-iROBO Rebar」は建造物の骨組みに当たる鉄筋の上を自律で縦横に移動しながら、交差する鉄筋を針金などで正確に結束する作業を繰り返し行う。
 大成建設側の説明によると、鉄筋結束作業は鉄筋工事全体の約2割を締め、現在は全て人の手で行われている。この作業をロボットで行うことができれば約2割の省人化が可能となり、人とロボットの作業分担もできるので、鉄筋工事全体では1割〜2割程度の作業効率向上が期待できる。
 建設現場では今後ますます人手不足が深刻化、2025年には約35万人の不足が予想されており、その分、生産性の向上が求められている。「T-iROBO Rebar」が人に代わって単純作業を行うことで生産性を向上させ、また人をより複雑な作業に振り向けることができるので、技術の継承にも役立つという。
 fuRoの古田貴之所長は「いま10人が1日がかりでやっている500平方メートルの鉄筋結束作業を、このロボットなら1台でできる。われわれはロボット技術を使って、作業現場を生々しく改革していく。われわれのロボット技術は、日本を働き方改革の先進国にできる」と胸を張った。
 fuRoと大成建設は「T-iROBO Rebar」を2018年度から本格的に現場投入して、実用化のための性能向上を進め、建設業界での普及を進めていきたい考え。1台当たりの価格は400万〜500万円を想定している。
 「T-iROBO Rebar」は11月24〜26日、幕張メッセ国際展示場9ホールで開催される「鉄筋EXPO2017」で展示される。

ナニワで「ロボパ!」


fuRo、夢の5機種投入
 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の古田貴之所長が自慢のロボットの実演を交えながら、分かりやすく、なおかつ面白く、ロボットと暮らす未来を考える「ロボパ!」が10月22日、大阪市中央区の大阪ビジネスパーク円形ホールで開かれた。
 「ロボパ!」はロボットパークの略称で、昨年の長野市、仙台市、福岡市に続いて今回が4回目。
 衆議院選挙の投票と台風21号による悪天候にも関わらず、小学生を中心に314人の親子連れが詰めかけて、大阪城にほど近い会場は大にぎわい。
 この日は、災害対応ロボットの「櫻壱号」「櫻弐号」、未来のロボットビークル「HallucⅡx」(ハルクツー・カイ)、パーソナルモビリティー「ILY-A」(アイリー・エー)、そして「全方位移動型電動車イス」の5機種を会場に搬入。
 古田所長がそれぞれのロボットの機能や特長、用途などを、ユーモアを交えながら講演し、それに合わせてスタッフが実際にロボットを動かして見せると、子どもたちは歓声を上げ、眼を輝かせて見入っていた。
 とりわけ子どもたちは「夢をもって頑張れば、誰でも将来、こんな優れたロボットが作れる」、そして「ロボットの役割は人の役に立つこと。私たちはずっと人の役に立つロボットを作り続けていきます」という古田所長の言葉に心を動かされたようだ。
 「千葉工大」ブランドの全国的な浸透に伴う関西エリアでの受験生増加に対応するため、本学は来年度の入試から大阪にサテライト試験会場を新設する。これに合わせた大阪での「ロボパ!」開催は、関西エリアでの本学のイメージアップをより促進する狙いもある。
 今回はコミュニティーペーパー1紙に掲載した告知のみで、600人を超す参加希望が殺到。その狙いが的中したことを物語っていた。
いろいろなロボットを子どもたちに披露 子どもたちに訴えかける古田所長
いろいろなロボットを子どもたちに披露 子どもたちに訴えかける古田所長

「水星ダストモニター」 来年10月に打ち上げ
本学開発


日欧共同「ベピコロンボ」計画
 千葉工大開発の水星ダストモニターを搭載した日欧共同水星探査衛星が来年10月、打ち上げられることになった。開発を担当した惑星探査研究センター(PERC=松井孝典所長)が7月28日発表した。
 欧州宇宙機関(ESA)と日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)が進める「ベピコロンボ」計画で、衛星は、主に水星表面の様子を調べる表面探査機(欧州側が開発)と、水星周辺環境を調べる水星磁気圏探査機(日本側が開発)の2機編成。約7年間宇宙を旅し2025年に水星に到達。最高セ氏350度を超す環境で約1年間、観測を続ける。
 千葉工大が開発に関わった水星ダストモニター(MDM)は、磁気圏探査機に搭載され、水星の固有磁場、周辺環境(磁気圏・太陽風との相互作用)、大気などを観測する機器の一つとして、水星周辺のダスト粒子環境を観測する。
 太陽の強い光を反射するため特別な白色塗料を塗った板状センサー部=写真右=と、黒い箱に納められた電子部品部=同左=から成る。センサーは圧電性(振動を電気に変える)セラミックス製。本学PERCの小林正規上席研究員らに他大学の研究者らが協力して開発し、センサーの電極は千葉工大の工作センターで加工した。
 水星磁気圏探査機は現在、欧州宇宙機関の試験施設に送られ、最終段階の試験中。観測データはESAとJAXAに送られ、搭載機器チームの各大学研究機関からデータ取得のためのアクセスをすることになる。本学津田沼校舎8号館のPERC研究室で受信する。PERCでは受信後のデータ解析の準備を進めている。
 探査機自体は太さ1.8メートルの8角柱状で、高さ約2.4メートル(側面パネルは高さ1.06メートル)、2組の5メートル伸展マスト(磁場観測用)、2対の15メートルアンテナ(電場観測用)を備える。水星の赤道面にほぼ垂直の姿勢を保ち、4秒で1回転しながらデータを集める。
 ベピコロンボ計画は欧州側の開発が遅れ、数年間、打ち上げが延期されていた。