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2017.7.15

御宿でロケット燃焼実験


和田准教授ら 高度100キロ目指して
激しく炎を吹き出し順調に燃焼するロケットエンジン
激しく炎を吹き出し順調に燃焼するロケットエンジン
 低融点のプラスチックを燃料とする観測ロケットを高度100キロに打ち上げるプロジェクトに挑んでいる惑星探査研究センター(PERC)・和田豊非常勤上席研究員(機械電子創成工学科准教授)のチームが3月29日、千葉県御宿町で小型ロケットエンジンの騒音環境負荷を調べる燃焼実験を行い、成功した。
 実験場は本学の研修センターと同じ岩和田地区にある海に面し、断崖に囲まれた町の管理地。打ち上げ時にロケットエンジンが発する轟音が、近隣の民家などに与える影響を調べるのが目的だ。
 実験に使用したのは昨年7月、伊豆大島での打ち上げ実験でマッハ1.2での飛行に成功した小型観測ロケットに搭載したのと同じハイブリッドエンジン。約5秒間の燃焼で、最も近い約200メートル離れた民家で計測された騒音は78デシベルと、人の大声での会話と同レベルだった。
 和田准教授は「爆音が周囲の崖に反射して、海や空に逃げていくためだと思う。この場所なら安全性も確保できるので、高度100キロを目指すロケットの開発過程で必要となる多くの実験を長期にわたってできるように整備していきたい」と話している。
 同准教授のチームは現在、2020年の打ち上げを目指して高度30キロに到達する推力5kN(キロニュートン)の観測ロケットの設計・製作を進めている。その後に開発する予定の高度100キロを目指すロケットは、PERCによる流星粒子など宇宙塵の採集のための運用が想定されている。
ハイブリッドエンジン
ハイブリッドエンジン
町おこしにも一役
 本学と御宿町は2014年6月に包括連携協定を締結。このロケット実験場の整備にも町は全面協力の意向を示している。
 そこで同町の名物行事「伊勢えび祭り」(9月1日〜10月31日)が最高潮となる10月1日、岩和田の実験場から小型ロケット(全長1.5〜2メートル、到達高度500〜900メートル)の打ち上げを行う予定。このデモを「宇宙実験もできる御宿町」と観光客にアピールする恒例行事として、町おこしにも一役買いたい考えだ。
 また、機械工学と電子工学の融合を目指す機械電子創成工学科の特色を生かして、学生が主体のイベントを同町の広大な海水浴場で開催する構想も描いているという。
 「例えば学生が作った小型ロケットに小型ロボットを載せて海に向かって打ち上げ、搭載したロボットに海を泳がせ、砂浜を走破して自立制御でゴールを目指すトライアスロンのようなコンペティションに挑むというのはどうでしょう」と和田准教授はアイデアを膨らませている。

北アルプス 立山の特産包む風呂敷


赤澤研学生らがデザイン
 デザイン科学科・赤澤智津子教授の研究室が、立山黒部アルペンルートの富山県側の起点、立山町の委託を受けてデザインした風呂敷が地元で高い評価を受けている。
 この風呂敷づくりは、立山町の特産品を統一したデザインの風呂敷で包むことで、お土産を買う観光客に「立山」をもっと強く印象づけたいと町役場が企画。赤澤研の小田彩花さん(現修士1年)を中心に学生と町民、町役場の職員、富山北部高校生らの混成3グループをつくりそれぞれ2案ずつ発表、そのうち3案が製造された。
 小田さんらは、立山町の方々の思いが表現された風呂敷となるよう方法について検討を重ね、昨年11月から12月にかけて現地で3回のワークショップを設計、実施した。ここで得られた町民らによるコンセプトボードを持ち帰り、所属3〜4年生が手分けして具体的なデザイン案を作成。町側関係者の投票にかけて、実際に作る風呂敷のデザインを決めた。
 今年3月15日、町役場で行われた発表会でお披露目されたのは▽朝靄に覆われた荘厳な立山▽立山連峰から農地に流れる豊かな水▽四季の立山連峰と特別天然記念物の雷鳥の3種類。
 立山町はこれらの風呂敷きを各1000枚ずつ製造済みで、今後、町をPRするイベントや土産物店などでの活用を検討。町役場商工観光課の担当者は「大変素晴らしいものができたので、大切に使っていきたい」と話している。
フィールドワークを通して作り上げた立山町の風呂敷
フィールドワークを通して作り上げた立山町の風呂敷
 
ワークショップでアイデアを出し合う
ワークショップでアイデアを出し合う
瓶ラベルも試作
 赤澤研では、立山町の特産品の一つ、西洋梨のジュース(商品名「ラ・フランス ストレートジュース」)の瓶のラベルデザインの試作も行った。
 昨年度の3年生と4年生約10人が参加。摘果や袋がけなどの農作業の紹介や、ラベルの両面を使ったデザイン、アルペンルートの駅ごとに異なるラベルの瓶を置く案など10数案を、3月15日に風呂敷きと併せてお披露目した=写真
 同年ラフランスが不作だったため製造に至らず、実施デザイン案は次年度に持ち越された。フィールドワークを通して現物や現場を知り作品を練って完成させるという立山町でのこれらの活動は、学生にとって学内の座学では得られない貴重な体験となっている。

75th Anniversary


2017年 千葉工業大学 創立75周年
 1942年の本学創立から75周年となる5月15日、教職員感謝の集いが東京都内のホテルで開かれた。
 瀬戸熊修理事長は冒頭のあいさつで「理事長として26年間本学を導き、今日の発展への道筋をつけられた豊田耕作先生が亡くなって今年で5年。本日の75年を節目に、千葉工大はこれからも80年、90年、100年と大きな夢を抱いて歴史を刻んでいかなければなりません。教職員の皆さんには一致団結し、さらなる発展に向けて協力していただきたい」と呼びかけた。
 続いて、本学の創立に尽力した小原國芳翁の孫で、来賓として出席した小原芳明玉川学園理事長が「75周年を迎えた千葉工大の今日の隆盛ぶりを見て、祖父もさぞかし喜んでいることだろうと思います」と、お祝いの言葉を述べた。
 また、お祝いに駆け付けたジャーナリストの櫻井よしこさんは「日本は21世紀、本当の意味の世界のリーダーになるべきだと私は思っています。その先頭に千葉工大の皆さま方は立っていただきたい」とエールを送った。このあと小宮一仁学長の音頭で乾杯し、歓談した。
 会場には小原國芳翁が、多くの夢を持ってほしいと願って書いた、夕の部分が一画多い「夢」の文字==が飾られ、教職員らは改めて千葉工大75年の歴史に思いを馳せていた。