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2015.7.15

独創コマに視線集中!


▼瀧野研、コマ大戦の県予選に出場
 まずは2個のコマがバトルを繰り広げている左の写真をご覧いただきたい。手前の銀色に輝いているのが、機械サイエンス学科・瀧野日出雄教授の研究室のチームが作ったコマ。6月6日に千葉市の「きぼーる」で開かれた「全日本製造業コマ大戦/県別対抗団体戦」の千葉県予選に出場し会場の注目を集めた。
 一昨年に続いて2回目の今年の千葉県予選には県内の中小製造業などの14チームが参加した。瀧野研チームは一昨年、参加16チーム中2位となり、長野県上田市で開かれた県別対抗団体戦に出場した経験がある。
 そこで今年は、一昨年のチームメンバーだった保坂隆博さん(修士2年)を中心に、斎藤裕祐さん(修士1年)と相原寛樹さん(同)の3人がチームを組み、工作センターの協力で、これまでの大戦での常識を覆す斬新なコマを1カ月がかりで作り上げた。
 改めて右の写真にご注目! コマの外周に4個の小さな金属球をはめ込んだ溝が6列刻まれている。小球の数は合わせて24個。この小球の回転力で、相手のコマの衝撃を逸らせてしまおうというアイデアだ。
 「最近のコマには、相手への衝撃を強めるため外周に凹凸を付けているものが多い。そこで、この小球の列が有効だと考えました」(保坂さん)
 実戦では、外周に凹凸よりも小さいピンを打ち込んだコマに対して小球が思い通りに働かなかったことや、重心の低い“逆お椀型”など回転力に勝るコマが多かったことなどから、予選に勝ち残ることはできなかった。
 しかし、「学生に設計・加工の知識を深めさせ、独創性を育む。また、チームによるモノづくり経験をさせる」という瀧野教授の狙いは十分達成されたようだ。
出場した保坂さん
出場した保坂さん

FD委トークセッション


▼教育能力高める方法と悩みを討論
 教育能力を高めるため実践的方法を探る本学FD委員会(内海秀幸委員長=建築都市環境学科教授)主催の「イブニングトークセッション」が5月28日夕、津田沼校舎2号館の大教室で開かれた。
 今年度からベストティーチャー賞、グッドレクチャー賞受賞教員の授業公開を始めるのを機に、調査内容を振り返り、語り合うのが目的。教職員88人が参加した。FD委員会委員の3人と情報メディアセンター部長がパネリストを務め、教職共同で以下の話題を展開した。
 ▽本学を取り巻く状況=内海委員長 学内だけでなく文科省や他大学など外部動向も理解する必要があると指摘
 ▽データで見る千葉工大=下山直人情報メディアセンター部長 本学と他大学の退学率・4年卒業率と授業満足度との関係などをデータで紹介
 ▽授業点検書からうかがえる授業の質的改善〜教員マインド・学生マインド〜=関弘和電気電子情報工学科教授 授業点検書の分析から、授業における双方向性を高める一アイデアとしてコミュニケーションシートの活用と、電情で実施されている授業参観制度を説明
 ▽授業の質的向上を目指す取り組みとその実効性=菅洋志機械サイエンス学科助教 他大学の検討状況を参考に、まずはサロン形式での授業参観制度や、それを補完する教員メンター制度を提案
 ――今後の活動をどうする、どこまでやる?と率直な悩みも述べられ、参加教員との間で活発な質疑が続いたため、時間を延長して対応。教育能力向上への関心の高さが表れる夕べとなった。

活躍する校友


本を読み、人を知るべし
能力は未来進行形
ムロコーポレーション取締役
寺島 政明氏(てらじま まさあき)氏(55歳)
(昭和57年、金属工学科卒)
寺島 政明氏
「役職が付くと経験や知識が問われる」と寺島さん
 「若い時分は引っ込み思案でした」。およそそうは見えない“明るい能弁”で、株式会社ムロコーポレーション(本社・東京、社員約530人)の取締役、寺島政明さん=烏山工場長=は部下を引っ張っていく。立場は人を成長させるようだ。
 ムロコーポレーションは、車関連の部品を主に約1万5000点を独自に作れる中堅部品メーカー。金型設計から製造、検査まで一貫生産体制を誇る。しかも、その技術をほぼ内製化しているのが強みという。
 「ここでは日々約200万個の部品を国内外の自動車メーカー11社へ供給しています」。同社の国内3工場のうち最も歴史の古い烏山工場(栃木県那須烏山市、社員約300人)を預かる寺島さんは胸を張る。工場総務部のホワイトボードにはボルボ、ホンダなどとの打ち合わせ予定が書き込まれて見える。
 東京で小3まで過ごした。そのあと、父の転勤で宇都宮市へ移り育った栃木県人。「金属加工は将来性があるぞ」という高校時代の先生のアドバイスで本学へ。時に経済成長期。当時、金属工学科を置く大学は六つしかなかったという。いまの機械サイエンス学科の前身である。
 「苦学生でした」。東京・新小岩のアパートで4年間送った。3年までアルバイトをよくした。JRA中山競馬場の交通整理員、冷凍食品工場の清掃……「冷凍のシューマイをときどきもらいました。おいしかったですね」。この中で、内気な性格を外へ開いていったという。とはいえ、アパートは友人のたまり場になり、マージャンや飲み会など学生生活を結構エンジョイしたらしい。
 その津田沼キャンパスへ昨秋、人材開拓もあって卒業以来初めて訪れた。変貌ぶりに目を見張るとともに、「昔、通ったつけメン屋が津田沼駅前の同じ場所に残っていました」と、こちらにも感激した。店内に座り、食べながら懐かしい情景へ思いをはせた。その味に別れを告げ、いまの会社へ教授推薦で入って33年が過ぎたことになる。まさに光陰矢のごとし。
 痛感したのは、大学で身につける程度の技術では実戦の用をなさないこと。熱処理関係の現場に配属されたものの、設備保全、自動システムの開発、電気配線……と間口は広く、専門書を求めて東京まで足を運んだことは一再ならず。がむしゃらな努力は2番目の清原工場(宇都宮市、1989年)の立ち上げにつながった。
 それを機に30代で車メーカーとの品質向上改善会議に出席するなど仕事の幅を広げていく。全国から部品メーカーを集めたその会合は、各社のプレゼンなど切磋琢磨のバトル空間でもあった。
 「車メーカー側の参加者からこんなセリフも出ました。『手の汚れていない管理者は去れ』って」。モノづくりにおいては管理者といえども現場に下り、知恵を出せ、という戒めだ。「目からウロコでしたね」。以後も品質改善に携わり、3年間サプライ・チェーン・マネジメント改善推進室長を勤めたあと2012年、現職へ異動し、翌年役員に。他に管理職として本学OBは8人いる。
 それにしても、シェア争いは世界規模に拡大した。取引先は、世界で約200社以上に広がり、米加のほかベトナム、インドネシア、タイに拠点を構えている。更なる前進をと、毎日の朝礼で全従業員に向け簡単な話をする。多用するのは、「能力は未来進行形」というフレーズ。社員に経営マインドを持たせつつ、製造業の基本である『安全・品質・コスト・納期管理』といった重点項目の社内“視える化”に余念がない。
 そのテンションを自ら上げるため、朝の通勤マイカー内で80年代の歌謡曲を聴き、奥さんとの週末ショッピングやドライブなどでストレスを発散するとか。
 「若い頃は先輩に教えてもらえる。でも役職が付くと指導する立場になり、経験や知識が問われる」。だからこそ在学中にたくさん本を読み、人を多く知るべしという、自戒を込めた後輩たちへのエールである。
千葉工大×宇宙兄弟 Technology+展

©小山宙哉/講談社

 8月2日(日)〜9日(日)の8日間、東京スカイツリータウンキャンパス(東京スカイツリータウン8階)で、千葉工大×宇宙兄弟 Technology+展を開催します。
 漫画「宇宙兄弟」のインパクトのあるグラフィックパネルを設置して、名シーンを視覚的に体験出来ます。入場無料。