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2015.5.15

工藤さんに笹川科学研究助成


■高温融体の表面張力測定を広げる研究で
 工藤裕さん(機械サイエンス専攻修士1年)が小澤俊平准教授の研究室で進めている「レーザーによる加熱支援を用いた電磁浮遊法による高温表面張力測定」が、公益財団法人日本科学協会(大島美恵子会長)の平成27年度笹川科学研究助成に採択された。来年2月までにかかる研究費用が100万円を限度として助成される。
 4月13日、東京都港区赤坂のANAインターコンチネンタルホテル東京で開かれた贈呈式で、大島会長から数物・工学系の代表として決定通知書を手渡された=写真
 高融点材料の表面張力測定では、測定温度範囲の拡張が課題になっている。工藤さんの研究は、電磁浮遊技術にレーザー加熱を併用することでその範囲を広げ、雰囲気酸素分圧の影響も同時に考慮しようとするもの。
 達成すれば、チタンなどの高融点材料について、世界で初めて、温度と酸素吸着の影響を同時に考慮した、超高温までの正確な表面張力データが取れるようになるという。
 その結果、結晶成長や精密鋳造など、各種の高温融体プロセスの数値シミュレーション精度が向上し、製品の高性能化、高品質化、開発期間の短縮などにつながると期待される。
 工藤さんは昨年10月に研究計画を日本科学協会に申請。選考基準となる研究の新規性や独創性、将来性が認められた。これからの研究について、問題点や必要条件などを想像して研究計画を書くのは大変だったという。
 工藤さんは「採択していただき光栄です。縁の下の力持ち(的研究)である点を評価してもらえたのかもしれません。助成を基に、面白いデータを取得できるよう頑張りたいと思います」と語った。
 笹川科学研究助成は、日本科学協会が日本財団の助成金を受けて1988(昭和63)年度から実施している。

友納副所長 入江主任研究員 優秀論文賞


■移動ロボット 自己位置推定の新手法
友納副所長 入江主任研究員
友納副所長 入江主任研究員
 ロボット学で最高レベルとされる国内会議・第20回ロボティクスシンポジアは3月15、16日、長野県の軽井沢プリンスホテルウエストで開かれた。未来ロボット技術研究センター(fuRo)の友納正裕副所長と入江清主任研究員が「2次元市街地図を用いた初めて訪れる場所における自己位置推定−二乗損失相互情報量による手法−」を発表し、優秀論文賞を受賞した。
 提案したのは、Google Mapのような既存の市街地図を用いて移動ロボットの自己位置を推定するための新手法。統計的依存性を最大化するやり方で、従来必要だった事前情報や物体認識を用いずに直接、自己位置推定が可能なことを示した。
 入江主任研究員は「受賞は大変うれしい。つくばチャレンジのように決められた環境を走行する技術だけでなく、地図があればどこへでも行けるようなロボットの実現を目指しています。そのための重要な一歩と期待しています」と話した。
 ロボティクスシンポジアは、ロボット分野の3大主要学会=計測自動制御学会、日本機械学会、日本ロボット学会=が年1回共催する国内会議。毎年約100件の論文について、30分の口頭発表と査読で審査され、最優秀論文賞1件と優秀論文賞1〜2件が決まる。
 友納副所長は昨年も「ステレオカメラを用いたエッジ点からの3D直線地図の生成」で優秀論文賞に選ばれている。

尾上・山本研5人が受賞


■環境保全技術 国内外の学会で
 生命環境科学科の資源・エネルギー・環境科学研究室(尾上薫教授、山本典史助教)の院生と4年生が海外や国内の学会で発表し、計5人が各賞を受賞した。
 学会はそれぞれ、幅広い観点から資源の回収や、新エネルギー、環境保全技術の開発を検討するもの。尾上教授は「受賞は学生諸君の努力のたまもので、非常にうれしいです。指導の先生方、スタッフにも感謝しています。さらに飛躍を期待したい」と語った。
 受賞者は次の通り。
太田佳以人さん
太田佳以人さん
(生命環境科学専攻 修士2年)
 第8回日本電磁波エネルギー応用学会シンポジウム(昨年11月17〜19日、高知市の高知会館で開催)で「微細液滴を含む大気圧低周波プラズマ法による液相浄化」を口頭発表し、ベストペーパー賞の優秀賞を受賞。
横井将さん
横井将さん
(生命環境科学専攻 修士2年)
 The21 Regional Symposium on Chemical Engineering(昨年10月29〜30日、マレーシア・クアラルンプールのテイラーズ大で開催)で「Development of Concentration and Separation Technology of Dissolved Components Utilizing Tetrahydrofuran(THF)Hydrate Formation」を発表し、ベストペーパー賞受賞。
高張宏明さん
高張宏明さん
(生命環境科学専攻 修士1年)
 日本海水学会第65年会(昨年6月19〜20日、那覇市の沖縄県男女共同参画センターで開催)で「NH3/CO2微細気泡を利用したハイドロキシアパタイトの反応晶析」を口頭とポスターで発表し、学生優秀賞を受賞。
工藤弘輝さん
工藤弘輝さん
(生命環境科学専攻 修士1年)
 日本海水学会第6回学生研究発表会(3月9〜10日、北海道登別市の登別グランドホテル)で「大気圧プラズマ/微細液滴複合法を用いたハイドロキシアパタイトの合成」を口頭とポスターで発表し、優秀賞を受賞。
竹下飛鳥君
竹下飛鳥君
(生命環境科学科4年)
 化学工学会第80年会本部大会(3月19〜21日、東京都江東区の芝浦工大豊洲キャンパスで開催)で「バイオマスへのマイクロ波照射により創成されるプラズマ場を活用した固相転換反応」をポスター発表し、学生賞の銅賞を受賞。

坂本研が論文賞


■ホウ素ドープダイヤモンドを研究
研究室で坂本教授(左)と今宮さん
研究室で坂本教授(左)と今宮さん
 坂本幸弘・機械サイエンス学科教授が、研究室で取り組んできた導電性ホウ素ドープダイヤモンドについての集大成を昨年、研究室の今宮麻衣さん(工学専攻博士後期課程)、玉村秀司さん(機械サイエンス専攻博士前期課程・エヌデーシー株式会社)と共著で日本材料科学会に発表し、論文賞に決まった。授賞式は6月5日、工学院大新宿キャンパスで開かれる。
 論文は「モード変換型マイクロ波プラズマCVDによるBドープダイヤモンドの合成−電気的特性に及ぼす反応ガス流量の影響−」。同学会誌「材料の科学と工学」第51巻に収録された。
 半導体はシリコンなどに適当な不純物を添加(ドーピング)することで作られることが知られている。ダイヤモンドも、通常は体積抵抗率1610Ω・センチメートル程度の絶縁体だが、炭素のいくつかをホウ素に置き換えることで抵抗率を下げることができ、化学的に安定で不溶性などの優れた材料に変わる。
 ホウ素系反応ガスにはジボランやトリメチルホウ素が使われてきたが有毒で利用に制約があった。
 坂本教授たちは、比較的安全なホウ酸トリメチルを用い、併せてモード変換型マイクロ波プラズマCVD装置を使う方法を提案した。この装置は上部からマイクロ波を導入し、高出力マイクロ波により高速で成膜させることができる。
 反応ガスにメタン・水素を用い、メタンとキャリアガスの流量を変化させ、生成したBドープダイヤモンドの電気特性と成膜速度を検討した。
 その結果、流量の増加とともに、著しく低抵抗な膜を得ることに成功。成膜速度も、ある流量までは速度を向上させられることを示した。
 この成果は「ダイヤモンドの特長とあいまって、電解合成や生体関連物質、環境汚染物質測定用の電極としての応用、さらにはより高性能なBドープダイヤモンド合成への道をひらく」と高く評価され受賞となった。
 坂本教授は「共著者たちだけでなく、関連研究に従事してきた研究室のみんなで取った賞だと思います」と語った。

PMの鴻巣教授に


第1回ベストティーチャー賞
 2014年度の第1回Best Teacher賞にプロジェクトマネジメント学科の鴻巣努教授=写真右=が選ばれ4月3日、表彰式が行われた。
 FD委員会(内海秀幸教授・建築都市環境学科)は昨年、それまでの教育業績表彰制度に加え、授業アンケートの結果を反映したグッドレクチャー賞を創設。前期に11講義、後期に5講義を選出した。そのうち、鴻巣教授は前期で「プロジェクトマネジメント概論」が、後期で「コミュニケーションマネジメント」の各講義が選ばれ、小宮一仁学長が「良質な魅力ある授業を行っている」と評価し、ベストティーチャー賞に選ばれた。