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初の入学式 挙行
秋季新入学生は、大学院社会システム科学研究科マネジメント工学専攻博士後期課程に1人が入学した。
小宮学長は式辞で「小さな入学式だが、本学にとっては大きな第一歩だ。第1期生の誇りを持って勉学・研究に励んでください」と述べ、外国からの留学生を受け入れやすい秋季入学制度のスタートに、本学のグローバル化推進を改めて強調した。
及川さん 優秀ポスター発表者賞
及川さんは、自然光や人工光源の視環境を扱う望月悦子教授の研究室で、オフィス照明の省エネと快適性を両立させようと研究している。
パーソナルスイッチで個別照明するオフィス内で、執務者の着席、離席を正確に把握し、離席時消灯を徹底することで、さらに省エネできないか。独自の着座センサ(圧力検知)を使って着席・離席と点灯・消灯の関係を、秒単位で詳細なグラフにまとめ、検証結果を発表した。
着座センサは及川さんら学生たちで考案。材料集めから製作まで一から作り上げたもので、開発も良い経験になったという。及川さんは「歴史ある大会で賞を頂け、うれしい。大学院生活のいい思い出ができました」と感想を語った。
実験動物
本学の教育・研究活動に貢献した実験動物を供養するため、昨年に続き開かれた。
小宮一仁学長をはじめ教職員・学生約100人が参列。順番に献花し、実験に供された動物たちに、感謝と哀悼の意を捧げた。
本学は、科学技術の発展がこれら動物たちの犠牲の上に成り立っていることを再認識し、今後も強い倫理観を持って教育・研究活動に従事していくことにしている。
飯島さん 優秀プレゼン賞
iPadなどタブレット端末の普及に伴い、音楽譜面の電子化が進む。電子譜面は紙に比べ劣化せず保管しやすく、電子版ならではの機能も添加され、演奏者の負担が軽くなるよう工夫される。だが現状では、電子機能の多くは個人使用を想定して開発され、楽団使用には向かない。
飯島さんは、タブレット型端末の特性を生かし、吹奏楽団での譜めくり作業の負担軽減に着目。楽団全体での譜めくり回数を、代表端末を決定して譜めくりを集約することで減らす方法を提案した。
iPadアプリの開発には不慣れで、どうやって楽団と演奏者に使い勝手がよく、ロバスト性(外的要因による変化を内部で阻止する仕組みや性質)の高いアプリを構成するかに苦心したが、今野准教授や企業の方々の協力でアプリを完成、実証実験にこぎつけたという。
飯島さんは「(受賞は)大変光栄です。学会でさまざまな方の講演を聞くことができ、勉強になりました。今後も精力的に研究に取り組みたい」と感想を語った。
電気学会東京支部「学生研究発表会」
坂本君、池田君
優秀発表者に選ばれた坂本君(右)と池田君 |
電気学会への本格デビューを後押しする「第5回学生研究発表会」(9月1日、工学院大新宿キャンパスで=電気学会東京支部主催)で、電気電子情報工学科4年の坂本優也君(脇田和樹研究室)と池田新平君(佐藤宣夫研究室)がそれぞれ研究テーマを発表し、投票で2人とも優秀発表者に選ばれ表彰された。
坂本君の発表は「走査型プローブ顕微鏡を用いた化合物半導体のナノ構造評価」。
タリウム化合物は温度で構造が変わり、低温ではナノ構造をもつ。この構造相転移を利用した高密度メモリ素子や、一部のタリウム化合物は、高い熱電特性を示すことから、高効率熱電変換素子などへと用途は広がり、未来を握る物質の一つだ。
しかし基礎特性は、なお解明されていない部分が多く、坂本君らは、ナノスケールまで観測できる走査型プローブ顕微鏡を使って、化合物半導体のナノ構造や特性を解析している。
真空中や大気中、低温や常温での化合物の表面形状、表面電位を観測し、ナノレベルでの構造変化を観測。同時に、ナノ領域での光学特性を高感度で観測する新手法も研究している。
これらを分かりやすく図説して発表した。多量のデータを整理したり、今後の研究の進め方を決めるのに苦心したという。
坂本君は「数カ月かけて工夫を重ねた資料が評価され、素直にうれしい。頑張る活力になりました」と語った。
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一方、池田君は「磁気イメージング装置の基本的性能」を発表した。
小型化が進む電子部品や電池の内部の故障を、非破壊検査でどう特定するか。近年は対象物に磁気センサを走査し、電流の流れを映像化して不具合を見つける磁気イメージング装置の開発が進んでいる。池田君は、磁気イメージング装置の性能を検証し、評価を試みた。
プリント基板に電流を流し、磁気イメージング装置の空間分解能と電流分解能(最小電流値)を観測。測定電流値が大きいほど画像が鮮明になり、測定範囲を回転させ数回測定することで、より精密な電流路を観測できると考えられることなどを確かめた。
今後も、電荷移動の過程などが考慮された精密な二次電池の等価回路モデルの構築へ、研究を進める。
図示スライドの構成で本番ぎりぎりまで悩んだ。新しく開発された装置なので、原理の説明に時間がかかり、発表が時間内に収まるように、まとめるが大変だったという。
池田君は「内容が評価され、大変うれしかった」と語った。