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2014.3.15

成毛さん学生優秀発表賞


在庫転送を数理的に研究
 「ビッグデータの可能性」を統一テーマとした経営情報学会2013年秋季全国研究発表大会(昨年10月26、27日、神戸市西区の流通科学大で開催)で、成毛悠亮さん(マネジメント工学専攻修士2年・椎名孝之研究室=写真)が「在庫転送問題に対する数理計画モデルの研究」をポスター発表し学生優秀発表賞を受賞。論文は椎名・経営情報科学科教授、徐春暉・金融・経営リスク科学科教授と連名の研究成果として経営情報学会誌3月号に掲載された。
 成毛さんらの研究は、最適なサプライチェーン(供給連鎖=商品の製造から販売まで)を設計するための理論。
 商品が製造され消費者に届くまでに、供給者は商品のサービスレベルを上げつつ、在庫や関連費用は低く抑えようと考える。それにはどんな在庫転送システムが最適か。
 拠点間の在庫融通について、従来の研究では予防的在庫転送策、緊急的在庫転送策の2つが別々に研究されてきたが、どちらも一長一短だったという。
 成毛さんらは、2つの方策を併用することで、より高いサービスレベルを達成できるのではないかと考え、確率計画法で数理計画モデルをつくり、併用策の有効性を検証した。
 リスク尺度にCVaR(条件付きバリュー・アト・リスク)を用い、CVaRを最小化する問題に、近似解を求めるL‐shaped法と、厳密解法である分枝限定法の2つの解法を試し、計算時間で効率性を比較。数値実験では、大規模な問題ではL‐shaped法が、計算時間が有利なことが明らかになったという。
 ポスター発表で、研究の独創性、新規性が高く評価された。
 成毛さんは受賞に「多くの方々に有益な助言をいただき、お礼を申し上げたい」と語っている。

ヨウ化チタン膜が県産業変える


藤巻さんビジネスアイデア賞
受賞を喜ぶ藤巻さんと佐久間英利・千葉銀行頭取
受賞を喜ぶ藤巻さんと佐久間英利・千葉銀行頭取
 ちば発の、未来を育てるアイデアを募集する「ちばぎん・学生版ビジネスアイデアコンテスト」=千葉銀行主催、公益財団法人ひまわりベンチャー育成基金後援=で、藤巻果織さん(機械サイエンス学科4年・坂本幸弘研究室)がビジネスアイデア賞(副賞10万円)に決まり2月19日、千葉市中央区の千葉銀行本店で表彰された。
 藤巻さんが応募したのは「DCマグネトロンスパッタリングによるヨウ化チタン膜の作製」。千葉県特産のヨウ素と金属チタンとの出会いが、医療技術と県産業の未来を変えるというアイデア。
 ヨウ素は人体に必須な元素で、抗菌作用を持つ。近年、人体に順応するチタンの表面に無数の孔を開け、ヨウ素を含浸させた人工骨が開発された。しかし含浸技術は、チタン表面の二酸化チタンの存在で、骨形成しにくいとされる。
 一方、スパッタリングによるヨウ化チタンの成膜化技術が進んでいる。含浸よりも用途がひらけ、抗菌力を発揮して人体埋入前後の感染症を防ぎ、移植後にヨウ素が抜けて、骨形成しやすいと考えられている。
 チタンとの化合物は、二ヨウ化、三ヨウ化、四ヨウ化チタンが知られているが、藤巻さんは、スパッタリングによる成膜と、出来た被膜の特性解明が、新しい医療技術につながると予測した。
 ヨウ化チタン膜は、骨形成に有利なほか▽ステンレス鋼、チタン合金に成膜しても耐食性など欠点が改善できる▽人工関節、骨折固定材、インプラント材など、抗菌力を伴う医療デバイスとしての市場性は広い――などと検討。作製被膜の評価から臨床導入・商品化までの20年プランを描いて、工業化を提唱した。
 昨年秋に応募し、千葉県の活性化につながるアイデアと評価された。
 藤巻さんは「とても光栄に思います。貴重な経験をさせていただき、坂本教授や研究室の方々に感謝しています」と感想を寄せた。
 ヨウ素は、国内産の8割が千葉県産。太古の海水を閉じ込めた地下水層が水溶性天然ガス(南関東ガス田)と、ヨウ素を豊富に抱えているためで、ヨウ素含有量は通常海水の約2千倍。これほどの天然濃縮は世界でも珍しいといわれる。
 ちばぎんコンテストは、千葉銀創立70周年記念事業として千葉県をはじめ首都圏の学生を対象に始め、今回が2回目。地域の活性化に密着した「ビジネスアイデア賞」が新設され、藤巻さんが初の受賞者となった。

駅力指数で測る土地の利便性


原さんら数値化、優秀賞
 「駅力指数を用いた土地の鉄道交通利便性指数の求め方」を、原洋平さん(経営情報科学科研究生・大田勉研究室=写真)らが開発し、日本経営システム学会の2013年秋季全国発表大会(昨年12月7、8日、広島市の広島経済大で開催)で原さんが発表、学生研究発表優秀賞を受賞した。
 土地の価値は、鉄道交通の影響を大きく受けている。誰もが感じるこの利便性を、各駅の「駅力」と、駅からの距離を含んだ利便性関数から算出し見やすく数値化する方法を開発したもの。大会は「ビッグデータ時代の人材育成と経営システム」を統一論題に開かれた。
 まず各地駅の「駅力」を個人の利便性に着眼し、対象駅からの列車の移動可能駅数と発車本数をもとに東京、千葉、神奈川、埼玉、栃木、茨城の1都5県の144路線、1800駅について算出。
 次に、駅力と、駅からの距離(キロメートル)を含んだ利便性関数を仮定して「鉄道交通利便性指数」を算出し、グーグルマップ上に分かりやすく表示した。
 駅からの距離によって人が感じる利便性の感覚を、どう関数に表すかに原さんらは苦労。なお考慮の余地はあるものの、1つの形を示すことが出来た、という。
 原さんは「賞を頂け、すごくうれしい。発表に当たり、助言を下さった先生方や、基礎データ作成を手伝ってくれた後輩たちに感謝しています。これを次への活力として研究していきたい」と語った。

「デザイン」成果を講演


産官学フォーラムで4教員
津田沼5号館で開かれた「産官学連携フォーラム」
津田沼5号館で開かれた「産官学連携フォーラム」
 千葉工大産官学連携センター、産官学連携協議会が主催する2013年度「産官学連携フォーラム」が2月20日、津田沼校舎5号館6階の会議室で開かれた。
 本学は、産業界・地域社会と交流を深め、現代のニーズに先駆的工学技術で応えようと、フォーラムで各学科の研究を公開している。今回はデザイン科学科の教授らが「デザイン」がもたらす効果や手法について研究成果を発表した。
 まず、長尾徹教授が「実は汎用性が高いデザインという技術とは?」と題し講演。デザインの応用可能な知見や技術、活用方法を具体的に紹介。デザイン領域の広さや、デザインの導入がもたらす効果を語った。
 次に松崎元准教授が「技術シーズを活かした産学協同デザイン開発事例」と題し、実際に自身が手掛けた無印良品、アスクル、ヤマト、エースといった商品を、開発事例として紹介。企業のシーズ、デザイナーが与えたアイデア、生まれた商品価値などを、パターン化して説明した。
 赤澤智津子准教授は「千葉県内企業に向けたデザイン支援」をテーマに講演。学生のユニークな発想と教員のサポートで既存商品を「売れる」形に商品化した事例として「千葉土産プロジェクト」と「高速バスラッピングプロジェクト」を紹介した。
 最後に八馬智准教授が「眠れる地域資源に着目した、新しい産業観光の創出」と題して講演した。こちらは「観光」がキーワード。眠れる地域資源に着目し新しい産業観光を創出する試みとして「工場鑑賞ツアー」を紹介。既存の工場などの景観を観光資源ととらえ、地域ブランドづくりや新市場の創出に成功した事例を発表した。