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2013.11.15

今年もブータン入り


古民家調査 建都・古市教授ら23人
チュバ村の中心
チュバ村の中心
 GNP(国民総生産)よりもGNH(国民総幸福量)を――。国民の9割が「自分たちは幸せだ」と感じているというヒマラヤの王国ブータンに今年も9月、建築都市環境学科の調査団が入った。
 2009年の第1回以来、1回のシンポジウム(12年)を挟んで4回目となる今回の調査は古市徹雄教授を団長に教員、大学院生、学部生合わせて総勢23人。ブータン政府の要請に基づくもので、これまでに続いて古民家の実測調査を中心に、集落への聴き取りにも範囲を広げて行った。
 かつては「ヒマラヤの秘境」といわれたブータン。しかし、21世紀に入ると急速に西欧化の波が押し寄せ、首都ティンプーでは古民家が取り壊されて次々とマンションにとって代わられている。
 ブータンの典型的な民家は、突き固めた土壁造りに一部木造住居部分をはめ込み、小屋下には、収穫物を一時保存するための吹きさらし倉庫がある4階建て。窓枠などに独特の装飾が施されている。建てられてから100〜200年を経過した家も多いが、2008年に訪れた古市教授がその素晴らしさに魅せられて調査を提案するまでは、政府高官でさえ保存に関心をもつ人は少なかった。
 今回の調査団は、唯一の国際空港がある西部のパロから車で1時間ほどのチュパ村で、民家の精密な実測と周辺および村全体の地形を最新器機を用いて測量した。このデータをもとに詳細な地形図を作成する。
 吉村晶子准教授は、伝統民家での空間の使われ方、作法秩序や空間意識、集落内の土地の所有と管理などについて聴き取り調査を行った。
 測量を担当した小泉俊雄教授は「ブータンの民家を、その周辺と村落全体の地形を含めて精密に実測したケースはわれわれが初めて。今後、民家の保存などさまざまなことに役立つと思う」。遠藤政樹教授は「これまでの4回の調査でブータン全土をカバーできた。調査結果はブータン政府に提供するので、今後の国づくりに役立ててほしい」と話している。
 修士課程1年の深澤衛さんは「日本と全く異なる民家と周辺環境の一体感に、建築の力の大きさを日本にいるとき以上に感じた」と話した。
 そして参加者全員がブータン人の笑顔に魅せられたようだ。
現地入りした調査団
現地入りした調査団

アメフト「シーガルズ」戦


支援を通じインターン
加藤研が観客動員作戦
PM学科
プロジェクトに参加した学生たち
プロジェクトに参加した学生たち
 社会システム科学部プロジェクトマネジメント学科の加藤和彦准教授の研究室が、習志野市が本拠地のアメリカンフットボールチーム「オービックシーガルズ」の支援活動をインターンに取り入れ、成果を上げている。
 「シーガルズ」は社会人アメフトXリーグの強豪チーム。昨年まで日本選手権「ライスボウル」3連覇。今年の秋季リーグでもファーストステージ5戦全勝、セカンドステージも11月4日の初戦を突破し快進撃を続けている。
 3年生を主体とする加藤研究室の学生11人(うち女子3人)は、総合学際科目「スポーツイベント」(森田啓教授、谷合哲行准教授、加藤准教授)の受講を通じて参加した学生3人(未来ロボティクス学科)とともに「シーガルズ」にとって初のホーム公式戦となった9月29日の対「IBMビッグブルー」戦(秋津サッカー場)をビッグイベントと見立てて、会場に大勢の観客を動員し、試合を盛り上げるために7月から準備を始めた。
 プロジェクトマネジメント学科は「戦略的なプロジェクトを計画・管理し、成功に導くことのできるリーダー的人材の育成」を掲げており、学生は日頃からヒト、モノ、カネ、情報などを駆使してプロジェクトを運営するための知識を授業で修得している。
 この知識を「シーガルズ対ビッグブルー」戦というイベントの中で生かし、体験することがこのインターンの目的だ。
 実際の活動としては、「シーガルズ」の運営会社「OFC」や習志野市商店会連合会と協力して「試合会場を緑に染めよう」プロジェクトを実施した。ファンカラーのアクアグリーンの特製Tシャツを作り、観戦チケットとセットで販売。「モリシア津田沼」にブースを出して市民にじかに声をかけ、チラシも配った。
 試合前の9月19日には、シーガルズの選手と一緒に習志野市役所を訪問。宮本泰介市長と面会して応援を要請し、市長から「日本一をめざしてがんばってほしい」と励まされた。
 リーダーの多田野康人君(3年)は「市民の方たちともつながりができ、自分の幅が広がった感じがする」と振り返る。また、加藤准教授は「学生たちはより主体的に物事に取り組む姿勢が顕著になった。これからの就職活動にもいい効果が出ると思う。来年度以降もこういうインターンを継続していきたい」と話している。

情報デザイン研究、一堂に


山崎・安藤研が「フォーラム」「オープンラボ」
情報デザインフォーラムの講演会場と研究展示 情報デザインフォーラムの講演会場と研究展示
情報デザインフォーラムの講演会場と研究展示
 デザイン科学科の山崎和彦教授と安藤昌也准教授の研究室が主催する「情報デザインフォーラム」と「Smile Experienceオープンラボ2013」が9月22日、津田沼キャンパスで開催された。
 2007年から毎年春と秋に開き、第12回を迎えた情報デザインフォーラムの今回のテーマは「デザイン・ワークショップ」。《うれしい体験のためのデザイン》を旗印に日本の情報デザイン界をリードしている山崎・安藤両研究室の主催とあって、参加定員100人は募集開始から3日で満員に。8割を企業からの参加者が占めた。
 テーマの「ワークショップ」は情報デザインの学び方として最近、注目が集まっている。フォーラムでは、いま世界でもっとも先端的なワークショップを実践している米スタンフォード大の実例を、実際に加わった経験をもつ京都工芸繊維大の大学院生が紹介。
 情報デザインの基礎であるコミュニケーションデザインにおけるワークショップの実践例を専修大、公立はこだて未来大の研究者、デザイン事務所「チューブグラフィックス」代表者が、また応用分野のサービスデザインでの実践例を東京都市大、楽天ディレクターと安藤准教授、山崎教授が発表し、参加者はさまざまなワークショップの活用例に聞き入っていた。
 会場では山崎・安藤両研究室のほか武蔵野美術大、専修大、常葉大、東京都市大、東京工科大の研究成果がパネル展示された。

 「Smile Experienceオープンラボ」は山崎・安藤両研究室所属の修士1年の研究展示と学部4年の卒業展示、学部2・3年の演習作品を展示したほか、山崎研究室による産学共同の「Think Goodsプロジェクト」「体験ギフトプロジェクト」の研究発表が行われた。
 また、学生たちの自主企画「難民による異国の料理体験」がサービスデザイン研究の実践例として紹介された。これはミャンマーから難民として日本にきて、東京でビルマ料理店を営む夫妻を中心に、難民問題を取材し、その文化や習俗を生かした新しいサービスやイベントを考えていこうという試み。その一環として会場内にビルマ料理店を開店。学生やフォーラム参加者が珍しい味に舌鼓を打っていた。
 中心となってオープンラボを運営した浅野花歩さん(修士2年)は「当初は不安でしたが、院生や学部生たちの協力で成功できたと思っています。イベントを全員で作り上げていく過程で研究室の学生同士の関係が強くなっていくように感じています」と語っている。
平成26年度 入学納入金 据え置き