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2013.11.15

水を切る
SAMURAI


ジェットスキー世界最年少プロライダー 小原 聡将君(機械サイエンス学科1年)
コーナーを果敢に攻める小原君
コーナーを果敢に攻める小原君
非力を技と根性で
マシン理解へ 機サに入学
 10月に米アリゾナ州で開かれたジェットスキーの世界選手権「IJSBAジェットスポーツワールドファイナル」のプロ/アマ・スキー・リミテッド(改造あり)クラスで世界3位。また、世界最高峰のプロ・スキー・オープン(改造無制限)クラスでは、非力なマシンをテクニックと根性で操って予選は5位、決勝は世界の強豪相手に10位となった。
 戦績表には世界チャンピオンや全日本チャンピオン、マレーシア、フィリピンでのナショナルチャンピオンといった“勲章”が並んでいる。
 94年4月生まれ、19歳は世界のジェットスキー界の最年少プロライダーだ。
 機械サイエンス学科に入学した今年は3月にタイ、4月と8月にマレーシアに遠征。今月は再びマレーシア、12月にはタイで世界選手権に挑む。
 「今年のJJSFジェットスポーツ全日本選手権は全8戦が終わって、僕はランキング3位。開幕戦が海外遠征と重なって出られなかったので、出ていればチャンピオンを狙えていましたけど」
 父の毅博さん(47)はジェットスキーショップを営む現役のライダー、母の雅美さん(44)も男性に交じって全日本チャンピオンになったという一家に生まれた。3歳でレーシングカートに乗り、4歳でモトクロス、小学生になると4輪バギーのレースに出た。ジェットスキーのハンドルを握ったのは小学6年。米国でのワールドファイナルでいきなり11位に入り、注目を集めた。
 日本でジェットスキーに乗るには免許が必要なため、中学1年で単身、免許の要らないオーストラリアに渡り、現地の関係者の下で練習とレース経験を積んだ。中学2年になると、ドバイのチームに招かれて7カ月の武者修行。ホームステイして現地の日本人学校に通いながら練習と実戦経験を重ね、現地ランキング2位に。
 「ドバイでは、何年も型落ちしたフネを与えられ、それでも諦めずに負けない走りをしようと練習した結果が、今の僕の基礎になっています」
 高性能のマシンが圧倒的に有利なレースで性能の劣るマシンに乗りながら、162センチ、48キロの小柄な体を生かして徐々に順位を上げ、やがてトップに立つレースぶりから、海外でのニックネームは「SAMURAI」。
 その“サムライ”ぶりはレースの裏舞台でも発揮される。納得いかない判定が出れば、審判に猛然と抗議する。もちろん英語だ。小学校から塾に通っていたという英語力は英検2級。最近受けたTOEICは「自分に納得いかない580点。次は絶対頑張ります」。
 毅博さんから「勉強をちゃんとしなければ、ジェットスキーはやらせない」と言われて育った。その教えは大学に入っても守っている。
 「1年の前期は頑張って28単位取りました。高校が文系だったので導入物理などもあり、忙しかったけれど、成績もSとAが多かったです」
 勉強とジェットスキーの練習の合間には宅配ピザの配達のアルバイト。レースへの参加費用を少しでも稼ぐためだ。
 ――大学を卒業したらどんな職業に?
 「ジェットスキーは日本ではまだマイナーなスポーツ。その魅力を多くの人に知ってもらうための普及活動をしたいと思います。例えばジュニア育成ができる環境を作る、ジェットスキーの普及を目指すとか。機械サイエンス学科を選んだのも、ジェットスキーを基礎から理解するために役立つと考えたからです」
 小原君の活躍は、11月22日(金)午後11時30分から放送の日本テレビ「未来シアター」でも紹介される。
世界のトッププロに負けない走りで世界3位に(注)IJSBA=インターナショナル・ジェットスポーツ・ボーティング・アソシエーション
世界のトッププロに負けない走りで世界3位に
(注)IJSBA=インターナショナル・ジェットスポーツ・ボーティング・アソシエーション

飯泉さんベストプレゼン賞


新築臭の再現研究を発表
研究を発表する飯泉さん
研究を発表する飯泉さん
 臭気公害を減らし、快いかおり環境づくりを目指す公益社団法人におい・かおり環境協会主催「第26回におい・かおり環境学会」が8月21・22日、東京都文京区の文京学院大本郷キャンパスで開かれた。一般口頭発表部門で「機器分析に基づく新築臭の測定・評価に関する研究=主なにおいの構成成分を用いた新築臭の再現」を発表した建築都市環境学専攻修士2年、飯泉元気さんがベストプレゼンテーション賞を受賞した。
 飯泉さんは小峯裕己教授の研究室で、嗅覚に基づく室内空気の評価方法や快適なかおり環境形成について研究中。
 新築臭には、木の香など快いにおいもあれば、ホルムアルデヒドなどの有害臭もある。有害物質は建築基準法改正や建材の進化などでかなり減ったが、建材には依然、揮発性有機化合物が多く使われ、不快や苦情のもとになっている。
 飯泉さんらは新築臭について、測定対象を▽床部位=フローリング、床接着剤、レベリング材(平滑化に用いる素材)▽壁・天井部位=ビニールクロス、壁紙接着剤、石膏ボード▽これら建材を組み合わせた模擬室=床+壁・天井――に分類。各部位について、温度、湿度、換気を管理しながら、放散するにおいに含まれる化学物質を測定し、においの原因となる化学物質を調査した。
 調査結果を基に化学物質を混合し、模擬的に建材臭を作った。組み合わせる物質数を増やせば新築臭との類似度が高くなることが分かったが、再現できるとまでは、まだ言えないというのが、今回の結論だ。
 学会ではにおい・かおりに関する20件が口頭発表され、参加者が投票した結果、飯泉さんの発表が最多得票を得た。
 飯泉さんによると、建築都市環境学科では通常使わないような化学知識が要求され、分析機器や方法をゼロから勉強したので大変だったという。「におい・かおり環境学会で2度目の発表でしたが、昨年より多数の方から質問やアドバイスをいただけました。貴重な体験をさせてもらったのに、賞までいただき、大変うれしく思っています」と感想を語った。

「Magic Table」
阿久澤さん 松山君 準グランプリ


逗子メディアアートフェス
準グランプリに輝いた阿久澤さん(右)と松山君
準グランプリに輝いた阿久澤さん(右)と松山君
 改装した東京駅やビル壁などにプロジェクターで映像を投影し話題を集める“プロジェクションマッピング”の祭典「逗子メディアアートフェスティバル2013」が9月27日〜10月6日、神奈川県逗子市の逗子文化プラザ・フェスティバルパークで開かれた。本学から阿久澤拓巳さん(未来ロボティクス専攻研究生)と松山周平君(未来ロボティクス学科4年)が小型プロジェクションマッピングの部に「Magic Table」を出品し、準グランプリに輝いた。
 作品は、触れずに空中ジェスチャーでPC操作できるデバイス(Leap Motion)を使用。鑑賞者自身が手の動きで、インクを飛ばすような、アメリカの画家ジャクソン・ポロック(1912〜56)のアクションペインティングのような映像を、透明スクリーンを貼ったガラステーブルに映して楽しむ。
 ガラス面だけに投影したいのに、透過して床面にも絵が映ってしまい、軽減させるために試行錯誤。砕いた炭をガラステーブルの下部に施すことを思いつき、完成にこぎつけたという。
 2人はエンジニアリング・システムズ研究室で感性ロボティクスや群ロボットを研究中。
 阿久澤さんは「松山君というアート作品も作るエンジニアと一緒にアイデア出しや制作ができて、とにかく楽しかった。これからもどんどん制作していきます」。
 松山君は「ロボット技術で学んだセンサーを他の面白いことにも使いたいと、趣味で始めた試みが受賞につながり、大きな自信になりました」と語った。
 松山君らの作品は動画サイト(URL=http://vimeo.com/user17856597)で見ることができる。
 同フェスティバルはプロジェクションマッピング協会などが企画。国内初の公式プロジェクションマッピングショーで今年で4回目。今年は“ミテ、キイテ、カンジル”をテーマに逗子小校舎などを使って行われ、約20作が応募。入賞作は渋谷・道玄坂のアート+テクノロジー展示場「サノウラボプラス」で展示された。