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2013.2.15

閲覧投票アプリを開発
Yahoo! JAPAN 年賀状


情ネ、デザインの院生5人
閲覧投票アプリのトップページ 投票ページ
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 東日本大震災チャリティー企画「Yahoo!JAPAN年賀状 学生デザインコンテスト2013」の応募作品をiPhoneやiPadで閲覧し気に入った作品を投票できるアプリを、情報ネットワーク学科・中村直人研究室とデザイン科学科・長尾徹研究室の院生・計5人が博報堂アイ・スタジオ(アイスタ=東京・豊洲、平林誠一社長)と共同で開発した。
 「Yahoo!JAPAN年賀状」はアプリをダウンロードしてお年玉付き年賀状の作成・印刷・投函ができるサービスで、サイト上で全国の美術系学生が年賀状を競作、コンテストを開いている。
 閲覧投票アプリの企画・開発をアイスタが昨年夏、本学に依頼。メンバーの募集に応じ、アプリ開発に興味を持ち、または将来、関連分野に進みたい5人が集まった。
 5人は中村悟大さん(情報科学専攻修士1年)、朝日田卓哉さん(同)がシステム開発を、岡本純平さん(デザイン科学専攻修士1年)は構成・画面遷移を、尾崎祥悟さん(同)は画面の動きを、門山周介さん(同)は画面デザイン・レイアウトを担当。
 昨年8月中旬からアプリの要素を決めデザインを開始。アイスタに出向き月1、2回打ち合わせ、メールで資料を確認。10月中旬には開発を終了。検証、納品を経てアイスタを通じappstoreに登録した。
 できあがったアプリは「つながり」をテーマに連続模様で画面が展開する。2013年の年賀状デザインの全応募作145点を一覧、または参加22校ごとに分けて閲覧できる。気に入った作品は「Favorite」ボタンで格納、または「投票」ボタンで投票できる。
 昨年11月27日のリリース直後からコンテスト参加者や利用者に歓迎され、1月7日までの約40日間で7900ダウンロードを記録した。
 プロジェクトマネジャーを務めた中村さんは「デザインの段階で、アプリで出来ること、出来ないことを仕分けるのが難しかった」。
 チーフデザイナーを務めた岡本さんは「画像を複数人で製作していくので一貫性に気をつけた」。朝日田さんは「もう少し遊びの部分を増やしたかった」。尾崎さんは「企業と一緒に製品を作る貴重な体験ができた」。門山さんは「画面移動やアプリの使い方を、利用者が見てすぐに分かるようにするのが難しかった」と語った。
 コンテストは、昨年11月1日から20日間実施。投票などをもとに上位100作品をテンプレートデザインとしてアプリ上で販売し、売上金の一部を大震災の復興支援に寄付した。
アプリを開発した前列左から岡本さん、中村さん、後列左から門山さん、尾崎さん、朝日田さん
アプリを開発した前列左から岡本さん、中村さん、
後列左から門山さん、尾崎さん、朝日田さん

産官学フォーラム


環境配慮型の新材料
研究成果を報告
産官学フォーラム
 千葉工大産官学融合センターと同技術・情報振興会が主催する2012年度第1回「産官学連携フォーラム」が1月22日、津田沼校舎で開かれた=写真上。
 現代のニーズに応え、工学技術で先駆的な役割を果たすために、本学は産業界・地域社会と積極的に交流を図っており、フォーラムで研究を公開している。今回は「環境配慮型高機能材料の開発」の成果報告として機械サイエンス学科の教授らが研究発表を行った。
 環境保護の観点から新材料を開発、社会貢献を目指すもので、参加者たちは本学独自の技術を興味深く聴講していた。
 テーマと発表者は次の通り。
 ▽「単結晶ボンディングワイヤーの開発」本保元次郎教授
 ▽「Sm‐Fe系新希土類磁石の開発」齋藤哲治教授
 ▽「新規透明伝導膜の開発」小林政信教授
 ▽「炭素系機能材料の開発」坂本幸弘教授
 ▽「高効率エレクトロクロミック材料の開発」井上泰志教授

活躍する校友


寮で学んだ人間関係
吸収し、自分を創ろう
イワブチ(株)社長
内田 秀吾(うちだ しゅうご)氏(54歳)
(金属工学科 昭和56年3月卒)
内田 秀吾氏
技術系の強みを語る内田社長
 バンカラ寮生活と理系の知識がいまを創り上げた――電気架線金物総合専門メーカー「イワブチ株式会社」(本社・千葉県松戸市)の社長、内田秀吾さんは、こんな言い方の似合う気さくな人柄だ。本学金属工学科卒の薩摩隼人である。
 「これは北海道電力、こっちは中部電力向けです」。本社事務棟に隣接する流通センターで、内田さんは電柱用の製品の箱に手を置きながら出荷先を教えてくれた。
 注意しないと見過ごしがちだが、電柱(配電や情報通信の線路)や交通信号機にはさまざまな部品が取り付けられている。同社は、それを固定する金属製バンドや金具などを製造・販売、主に全国10電力会社やNTT(日本電信電話会社)へ納めている。信号機関連では全国シェアの9割を占める堅実企業だ。
 今年創業63年。社員320人のうち、本学OBは18人と多い。そのトップの椅子に昨年4月座った。
 鹿児島県大隅半島北部の曽於市で生まれた。鹿児島市であった地方入試で本学へ。「金属工学を選び、3年くらいまでほとんど勉強しなかったような気がする」と笑う。
 その3年間は千種寮暮らし。食事つきの寮費は安かった。しかし、しきたりはなかなか大変だったらしい。
 大学祭では、ふんどし姿で神輿をかつぎ、津田沼駅前の商店街を練り歩く。寮で逍遥歌を放吟し、1年生は先輩の夜食をつくる。「インスタントラーメンは一度湯通し脂抜きしてから調理するとおいしくなる」といったノウハウも伝授された。
 先輩・後輩の絆は強い。水道管工事などのアルバイトを紹介してもらい、試験のヤマを当ててくれる先輩“予想屋”もいて、助かったらしい。アメラグ部、合気道部など仲間は多彩で、杯を交わし、食堂のおじさんはヒツジの肉を焼いて食べさせてくれたりと、「いまから思うと学生時代はなんて素晴らしかったかと思いますよ。自由でした」と懐かしそうだ。
 しかし、さすがに卒業研究に迫られた4年になり、下宿へ移った。「NiおよびNi合金の水素脆化」をテーマにまとめ、無事ハードルをクリアした。「それまでがそれまでだっただけに、大変でしたが」。
 会社選びは本社機能が東京にあるところ、専門を生かせるという基準だった。同社はその頃、虎ノ門に本社オフィスがあった。工場のあった松戸へ見学に行き、面接を受け、決めた。工作機の油の臭いや音――ものづくりの現場が心地良かったという。技術部で部品のデザインに携わった。設計や荷重試験は楽しく、8年間が過ぎた。しかし、その後一転、営業畑へ。広島、福岡の支店を経て、2006年取締役に。
 「同業他社は全国に80社ほど。入札では神経を使いますが、技術系の強みは、お得意先が判断に困ったとき、スピーディーに相手の身になってアドバイスできることです」。むろん、寮生活で培ったコミュニケーションや対人関係の作り方もいかに役立ったことか。
 社長就任にあたり、「人を大切に、従業員が安心して働ける職場を守ること、そしてコンプライアンスなど社を取り巻く全てに対し真面目に取り組むこと」と社員へメッセージを送った。しかし、中国・山東省の工場では、沖縄県・尖閣諸島問題で日系企業に対する暴動の中、1日だけの操業休止ですんだものの、昨年は地元行政との懇談会を取りやめるなど気は抜けない。ストレス解消にウオーキングを心掛けている。
 「若いものは一度先輩の言うことを受け入れ、自分を創っていくこと。その意味では“習うより慣れろ”でしょうか。ただし学力はあった方がいい」と勉学を勧めている。