NEWS CIT ニュースシーアイティ

2011.11.15

溝邊(千葉工大技術士会)会長に貢献賞


日本技術士会 参与に就任も
貢献賞を受賞した溝邊会長
貢献賞を受賞した溝邊会長
 千葉工大技術士会の溝邊哲男会長が8月26日、日本技術士会(公益社団法人)の創立60周年記念式典で特別表彰され、記念貢献賞を受賞した。また、9月15日の同会理事会で参与に就任した。
 本学の技術士会(溝邊会長ら顧問・役員22人)は教育・研究や、技術士の社会的な活動を支援するなどの目的で2005(平成17)年に設立。産官学融合センターへの協力支援▽研究成果の事業化支援▽学生の技術士、技術士補資格の取得指導支援▽技術士制度解説シリーズを発刊――など、多面的に活動している。会員は現在約120人。
 溝邊氏は1961(昭和36)年本学電気工学科卒。千葉工大技術士会では会長、全国組織の日本技術士会では副会長など多くの要職を歴任し、会の発展に貢献してきた。
 日本技術士会60周年記念大会は「地球再生へのメッセージ」〈世界〜アジア〜日本における技術士の役割〉を基本テーマに8月25〜27日、経団連会館国際会議場で開かれた。東日本大震災で防災会議支援会議を発足させその活動を報告。復興へ原子力、エネルギー、建設、農業、水産、上下水道、衛生など20分野を専門とする技術者集団の役割は重要となってきている。
 記念式典は26日、秋篠宮ご臨席のもと、文部科学、国土交通大臣ら各界来賓を迎えて行われ、式典の模様は日本テレビなどで報道された。

金融特別講義始まる


最前線の専門家招き15回
日本の構造的問題などを解説するキャシー松井さん
日本の構造的問題などを解説するキャシー松井さん
 金融界の第一線で活躍するエコノミスト、アナリスト、実務家を招いて開く金融マネジメント専門特別講義が9月29日、津田沼校舎6号館で始まった。来年1月19日まで15回、回ごとに講師役が交代し続けられる予定。
 金融・経営リスク科学科が主催。3年生の科目単位となるが、他学科学生も申請なしで自由に聴講できる。銀行や証券会社がどんな仕事をしているか、現在どんな問題があるか、などふだん聞けない話を、トップクラスの現職・専門家から聞ける貴重な機会だ。
 初回9月29日には、米ゴールドマン・サックス証券チーフ・ストラテジスト(投資戦略立案者)のキャシー松井さんが「世界経済の見通しと日本の構造的チャレンジ」と題して、EUや米国発の財政危機が日本に及ぼす影響や、日本の構造不況、それをどう克服していくか、また社会人の心構えなどについて学科生らを前に講義した。
 キャシー松井さんは米国カリフォルニア州生まれでハーバード大学卒。日本株式投資戦略で世界がトップと認めるアナリスト。また、女性の消費力や社会進出が経済を活性化できるという「ウーマノミクス(ウーマン+エコノミクス)」を提唱し、ダイバーシティ(男女格差の解消)とともにライフワークとしている。また、社会貢献の1つとしてアジア女子大学支援財団の理事も務めている。
これまでの講義
▽10月4日=「金融システムのリスクと金融危機」祖父江正・クレディ・スイス証券債券本部ヴァイスプレジデント▽10月6日=「大震災発生後の日本企業の経営戦略の変化」杉浦秀徳・みずほ証券経営調査部上席研究員▽10月13日=「保険会社の仕事とリスク管理」杉野文俊・専修大学准教授▽10月20日=「金融機関における信用・市場リスク管理」細見昌裕・三菱UFJモルガンスタンレー証券リスク統括部長▽10月27日=「主要国経済の現状と相場動向」亀井純野・三菱東京UFJ銀行金融市場部シニアアナリスト▽11月10日=「国際金融と為替リスク管理」祖父江正・クレディ・スイス証券債券本部ヴァイスプレジデント
今後の講義(予定)
▽11月17日=「金融商品開発」今井達也・三菱UFJモルガンスタンレー証券金融市場オプション課長▽11月24日=「ベンチャー企業の創設と運営」首藤秀司・野村証券法人営業開発部長▽12月1日=「株式会社と証券市場の仕組み」三木章男・野村証券金融公共公益法人部次長▽12月8日=「企業における金融リスク管理」赤間信幸(野口祐季)三菱東京UFJ銀行市場営業部上席調査役▽12月15日=「フィナンシャルプランナーの仕事」斎藤伸寿・千葉銀行資産運用サポート部副部長▽12月22日=「不良債権とその管理」畑中建二・監査法人トーマツ公認会計士▽1月12日=「電力会社とアセットバックトレーディング」垣川達馬・中電エネルギートレーディング・シニアリスクアナリスト▽1月19日=「環境問題と企業財務」河東康一・滑ツ境管理センター執行委員・管理本部長

活躍する校友


通信の明日を開拓
具体目標を高く持とう
オー・エフ・ネットワークス社長
相場 信夫氏(51歳)
(昭和58年、電気工学科卒)
相場 信夫氏
事業の将来性について語る相場社長
 電話も携帯もつながらない通信パニック。3・11(東日本大震災)はその怖さを改めて見せつけた。通信は現代にはなくてはならない社会インフラだ。民間企業としてその一翼を担う沖電気工業(本社・東京、以下OKI)から関連の株式会社オー・エフ・ネットワーク(本社・千葉市、以下OFN)のトップとして、相場信夫さん(51)はただいま出向中。「災害耐力をもっとつけるべきだ」と、明日のグローバルベンチャーを目指し、多忙な日々を過ごす。
 まばたきする間にも負けず劣らずの猛スピードで地球上を光通信でつなぐブロードバンド(BB)ネットワーク。その基幹構成システムのひとつであり、通信キャリアとオフィスや住居間を光で結ぶGE‐PONを、OFN社は世界で初めて商用化した。OKIとケーブルメーカーとして知られるフジクラとの共同出資で2003年に設立され、相場さんは3年前、2代目社長に。国内だけでも7社ほどがしのぎを削る激戦地だ。
 「日本はこの分野で世界のトップランナーです。しかし海外、とくに中国や韓国メーカーとの競合もあり、開発・販売は気が抜けません」
 社員の先頭に立ってシステムを研究し、セールスやパートナーとの協議でアメリカや東南アジアを飛び回る。
 千葉県鴨川市で育った。いとこの勧めで中学時代からアマチュア無線にこり、電気通信の畑へ。モールス信号も打てる。実家から本学キャンパスへは片道3時間もかかり、大学近くに下宿した。「勤労学生でした」。建設現場、ボーリング場、ケーキの配達、コンビニの店員……。「幕張にその店はまだあるんですよ。今の会社に赴任後一度行きました」。懐かしそうに思い出す。
 とはいえ、リポートをまとめないと卒業できないのは、昔も今も同じ。パートナーと選んだテーマが「非接触による心臓ペースメーカーへの充電」。専用電池は10年ほどもつ。しかし、へたれば交換手術をしないといけない。「電気を電波で飛ばして充電すればすむ。電磁波がそうですから」。なるほど。
 OKIに入ってまず電話交換機の回路&システム開発にたずさわった。当時はまだ大型の機械が並んでいた。回線接続作業ミスで停止させてしまう失態もあったが、通信端末はものすごいスピードで性能を上げ、世は情報化社会へ。開発部門はネコの手も借りたいくらいの忙しさになった。とくに、新製品の運用中システム障害がらみの対応も迫られ、「毎晩枕元に携帯を置いて寝ましたね。3、4時間くらいしか眠れなかった時代が数年続き、妻からは『命を縮めるわよ』と言われました」と苦笑い。
 その夫人、実は本学の事務スタッフだった。電気工学科のある建物の1階下の機械工学科に勤めていた。学生時代から顔見知りであるのはむろんだが、卒業するや交際を始め、間もなくゴールイン。電光石火である。
 それにしても、中学のころバスケットボールをやり、体力に自信はあったものの、30代の盛りだったからこそ乗り越えられたのだろう。
 人生は出会い。こんなこともあった。卒論の相方は東芝へ入社したのだが、以来、無沙汰を重ねていた。ところが、銀座の飲み屋でバッタリ。「ともに互いの取引相手と飲んでいたんですが、25年ぶりで昔話に花が咲きました」。
 社内では役職で呼び合わず、「さん付け」。「仕事では怒らないようにしています。自分で考え、自立できる社員を育てる」というモットーに近づけたいからだ。コミュニケーションを大切にし、ボトム・アップで問題を解決する組織づくり。しかし仕事はハードで、年にいちどの沖縄・宮古島への家族旅行は欠かせない息抜きになっている。
 では、通信の未来をどう見ているのか。3・11でもろさを露呈したインフラ強化は喫緊の課題だが、「光回線とモバイルが融合し、ますます高速化し、便利になっていくでしょう。併せて省エネタイプのネットワークが求められていく」と高い将来性を見込む。その一方で、産業空洞化が叫ばれる中、企業は取りたい学生だけを選んで採用していく傾向は強い。「それだけに具体的な目標を高くもち、勉強に励んでくれるといいですね」。