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2010.3.15

本学の原さん「若者の創造性」で優秀賞


――日本経営システム学会全国研究発表――
原 洋平さん
原 洋平さん
 昨年11月末に福岡市の九州産業大学で行われた「第43回日本経営システム学会全国研究発表大会」に参加した本学大学院社会システム科学研究科マネジメント工学専攻博士後期課程1年、原洋平さん(大田研究室)が「学生研究発表優秀賞」を受賞した。
 日本経営システム学会は、経営システムに関する事項について学術的・実務的な研究を行い、その研究成果の発表、診断指導技法の開発、研究団体との交流、関連資料の刊行などを通じて、会員相互協力と資質の向上を促進し、我が国における経営システムの健全な発展に寄与するために活動している。
 全国研究発表大会は年2回行われ、今回の統一テーマは「不況に立ち向かう経営システム」。原さんは「若者の成功体験における創造性の研究」という題で発表し、36件の学生発表のうち上位2件の優秀賞を射止めた。
 原さんの研究によると創造とは新しい情報の生産であり、新しい情報とは2つの既知の情報の結合から生まれる。その際、結合型を「論理型」「模倣型」「常識破壊型」「連想型」「感性型」など26項目に分類。本学の学生を対象に「勉強」「遊び」「アルバイト」などで日常的にどのような創造行為をしているか、ヒアリング調査で147件のサンプルを得た。
 その結果、例えばアルバイト先での外国人の応対について以前の経験を生かして英語のマニュアルを作ったところスムーズにいったという成功事例が報告された。多くの事例分析の結果、若者における仕事の創造と遊びの創造との間に大きな違いはなかったものの、遊びに関する事例では結合型分類が難しい内容があった。
原さんの話
 賞を頂けたことをうれしく思っています。またこの発表を行なう上でいろいろな助言をしてくださった先生方に感謝をしています。今後もこれを一つの励みに研究を行っていきたいと思います。

CG−ARTS協会賞に


本学も「優秀校」で表彰
情報ネットワーク学科・石田さん
石田知子さん
石田知子さん
 CG−ARTS協会(財団法人・画像情報教育振興協会、岩木肇理事長)から情報ネットワーク学科4年の石田知子さんに2月1日、CG−ARTS協会賞が贈られた。また、現在全国に160校あるCG−ARTS協会教育認定校のうち、平成21年度認定教育校表彰制度の合格率部門で上位10位以内の「優秀校」に本学が見事選ばれ、表彰された。
 CG−ARTS協会は、画像情報分野とメディア芸術に関する教育の振興を目的とした協会であり、その学習の目標となるCG検定や学生CGコンテストなどを主催している。それらの活動の中で、教育機関に対して、カリキュラムと教科書による授業の支援や、団体受験制度による検定試験のサポートなどを目的に、画像などのメディアに関する教育体制が整っている機関を「認定校」とし、支援することを行っている。本学の情報ネットワーク学科は、08年度より認定校として評価されている。
 今回受賞の石田さんは、すでにCG検定2級を取得しており、認定されている授業科目において優秀な成績であること、さらに習志野市の国体ホームページの制作を行うなど実践的な成果を上げていることから、情報ネットワーク学科からの推薦によりCG−ARTS協会賞に輝いた。
 石田さんは「今回の受賞は正直驚いています。まさか自分が!と思いました。でも、評価されたことは素直に嬉しい。残るは1級。さらなるレベルアップを目指します」と話している。
 一方、情報ネットワーク学科の教育体系は、ネットワークエンジニアリング、アプリケーションシステム、デジタルコミュニケーションの3つを柱としており、それぞれに対応した資格試験の取得を推奨している。そのうちデジタルコミュニケーション分野は、マルチメディアやコンピュータグラフィックス、デジタルコンテンツなどの科目から構成されている。今回、検定2級合格率が高く優秀校となったことは、それらの科目に対して学生が良く学習してくれたことと学科では喜んでいる。

21年度秘書技能検定で本学が「団体優秀賞」に


 財団法人・実務技能検定協会(元吉昭一会長)主催、文部科学省後援の平成21年度秘書技能検定で、本学が「団体優秀賞」に輝いた。
 秘書技能検定は、就職活動時の履歴書審査段階で人事採用担当者が「社会人としての常識が身についているかどうか」を見るための一つの基準となる資格。文部科学省の認定で秘書技能検定対策講座が設けられている。
 本学の学生もこの講座を受講し、毎年6月と11月に行われる検定試験を受験している。
 本学学生の検定成績は平成21年度6月の2級検定で27人が合格(合格率71・1%)、同じ11月の2級検定で21人が合格(合格率65・6%)と高い合格率になった。
 2月26日に東京都千代田区の私学会館(アルカディア市ヶ谷)で行われた表彰式にはキャリアセンターの磯海善隆課長が代表で出席し、賞状などを授与された。
 実務技能検定協会ではデジタル、秘書、レタリング、ラジオ・音響、トレース、ビジネス文書、ビジネス実務マナー、サービス接遇、ビジネス電話の9種目の技能検定を実施し、その年度の優秀な個人、団体を表彰している。
活躍する校友

常に「なぜ」と考える
宣伝不要“安くていいもの”
メーカーズシャツ鎌倉(株)会長、
(株)サダ・マーチャンダイジング・リプリゼンタティブ代表取締役
貞末 良雄(さだすえ よしお)氏(69歳)
(昭和39年 電気工学科卒)
貞末 良雄氏
熱弁をふるう貞末良雄氏
 明月院のアジサイが鮮やかな紫の世界を誇る。94年初夏。JR鎌倉駅から続く人並みのお目当ては鶴岡八幡宮ではない。参道・段葛の北端を右に回って、源氏池をすぐ左手にのぞくファミリーマートの二階。「4900円」の高級ワイシャツが売り棚に並ぶ「メーカーズシャツ鎌倉」に人々は続く。53歳の前年11月、夫婦二人が雪ノ下で始めた店は「今日も一枚も売れない」日々。それが一転、広がった口コミの評判が客の大波を届けてくれた。
 原価が売値より高い。大切なことは「これはすごい、という客のメリット」。確固とした品質。お客を囲い込む経営戦略。1日3枚売れれば、店の家賃は何とか払える。夫婦の給料はゼロ。それでも、売れない「兵糧攻め」をしのげば何とか、なる。じっと耐えた。あの感激のアジサイの季節から16年余り、今、首都圏で11店舗を展開、年間約30万枚のワイシャツを販売する。社長は妻、民子。ふるさと「鎌倉」にこだわり、社名もロゴも鎌倉入り。
 男5人女4人の9人兄弟の6番目。終戦の翌月、父は韓国・釜山の呉服商の大店をたたみ、引き揚げた。家財を失った一家は故郷・山口県柳井市を出、広島に新天地を求め、再び呉服店を営む。再起を図る「貞屋」。この屋号が人生を決める。
 名門の旧制広島一中、後の国泰寺高校では数学に才を発揮、理科系に大学進学のターゲットを絞り、国立大を狙うも一浪の末、千葉工大へ。父から「兄弟で一番商人向き」と評された一面はまだ見えない。当時、東京オリンピックの高速道路建設に伴う街路照明の研究・開発が盛んで、この分野を学ぶ。キャンパスライフでも軟式テニス部を立ち上げ、あちこち駆けずり回って10万円の建設資金の寄付を集め、テニスコートを作ったりした。活動的な性格は着実に培われていく。
 運命的、決定的な石津謙介との出会いは社会人になって2年ほど待たなければならない。石津は「VAN」ブランドで知られる「ヴァンジャケット」を創業したファッションデザイナー。家業の「貞屋」と「ヴァンジャケット」のこれまで見えなかった糸が現実に姿を現わす。
 初めて勤めた水銀灯など特殊照明の会社は「ドイツ語の本を読みふける技術屋でいるよりも、世の中のためになりたい」とあっさり初心を撤回、退社。学問を捨てて、裸一貫やり直す決意を胸に飛び出した格好だが、売り手市場の当時の就職状況でも厳しい。父のつてで受験したシャツ会社の3社も次々落ちる。最後は「貞屋」が特約店になっていた「ヴァンジャケット」の「石津さんのところへ、朝6時から家の前に座り込んで頼めば何とかなるだろう」と父。開通したばかりの新幹線で大阪本社へ、専務に直談判。「君、健康か?」「はい」「明日から来いや」。これで入社面接パス。翌25歳の春、勇躍、入社式に臨むも約50人の新入社員名簿に漏れていた。逆に、石津に「名前を呼ばれなかったやつ」と妙なところで覚えられた。
 78年、「ヴァンジャケット」が倒産するまで、商品管理部、営業管理統括部と、アパレル業界の最前線で学び、物流という概念を叩き込む。課長時代から役員会に呼ばれた。経理、工場、生産の問題点など会社全体の問題点を把握した。常に「なぜ」と考え、レポートにまとめ、経営改善への『建白書』も何度も上申した。鎌倉での起業への伏線は芽をふき、育っていった。34歳で高齢パスした企業研修のハワイ大学では半年間、英語力をさらにブラッシュアップ、将来に備えた。
 VAN後の服飾業界での長い15年間の回り道。メーカーズシャツ鎌倉の立ち上げまでには「お前、何やってんだ」としばしば叱られ、男がオシャレをしなくてはだめだ、と理想をこんこんと聞かされた。そんな石津の考えを継承するのが、一年発起、メーカーズシャツ鎌倉だ。
 1万円で2枚のワイシャツを買える値段。お釣りで近くの店「ドトール」で200円のコーヒーが飲める。だから「4900円」。2枚買えば、きっと次は4枚に。「安くていいもの」。賢い消費者。生活を豊かにするショッピング。宣伝費は一切ない。一方的な商品情報は不要。お客と店と双方向の情報やり取り。それが現代。問屋機構もいらない。
 「生き延びる力、すなわちそれが能力です。学問だけに頼らない姿勢を」。丸顔の笑みの中に、VAN、ヤオハン・・・倒産した昔の会社の教訓が滲む。