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2009.10.15

大学見本市
イノベーション・ジャパン開催


河合教授「医療・健康」分野に出展
来場者に説明する河合教授(左から2人目)
来場者に説明する河合教授
(左から2人目)
 「創造!にっぽん力 大学・研究室393が一堂に!」をキャッチフレーズに、「イノベーション・ジャパン2009―大学見本市」が9月16日から3日間、東京国際フォーラムで開かれ、環境・新エネルギー・材料など8分野の中で、本学から「医療・健康」分野に生命環境科学科の河合剛太教授が「安定同位体標識NMR法によるRNAの構造解析技術」を出展した。
 この「見本市」は大学の技術シーズと産業界のニーズの出会いの場として独立行政法人・科学技術振興機構などが主催。今年は研究機関なども含め総展示数444、研究者が行う新技術説明会が216の多数に上った。生命現象解明・遺伝子研究の中でDNAと共に重要視されているRNA(リボ核酸)。中でも新しいタイプの「機能性RNA]が次々発見され、注目を集めている。
 河合教授によると、長鎖RNAは分子全体として構造を形成することは少ないが、部分的に形成された構造は、その機能そのもの、または機能制御に重要な役割を担う。今回出展した技術はこうしたRNAの生の姿を解明することを目指しており、見たいところだけを標識(ラベリング)したRNAを調製する技術とそれを観測する技術から成っている。この技術で長鎖RNA中の機能構造領域の推定と立体構造および機能のハイスループット(自動的に高速で多数の検体を調べる)な解明が可能になるという。
 最近では、さまざまな生命現象に関与しているnon‐coding(タンパク質の製造に関わらない)RNAが創薬のターゲットになりつつある。今回の技術は、その構造をNMR(核磁気共鳴)法によって解析するもの。
 河合教授は、企業に対し「超高感度NMR分光計とこの技術の組み合わせで、RNAについて構造レベルのスクリーニングが可能なので活用してほしい。また、位置あるいは領域選択的標識RNAの新しい用途の提案を期待している」と述べている。

出版


初心者にも分かり易く
山崎教授 佐藤教授 上原教授 長尾教授
山崎教授 佐藤教授 上原教授 長尾教授
 「プロダクトデザインの教科書」となる本を目指して、日本インダストリアルデザイナー協会(JIDA)が編さん、Works社から出版された。千葉工業大学デザイン科学科からは、編集長として山崎和彦教授、編集委員として佐藤弘喜教授、執筆者として山崎教授、佐藤教授、上原勝教授、長尾徹教授が本の制作に加わった。
 初心者でも楽しく読みやすいようにカラフルな図版を活用して構成され、プロダクトデザインの基本から、各種デザイン手法、マーケティングやユーザ工学、加工技術などといった広範な知識を分かりやすく紹介している。世界でもこの本のようにプロダクトデザインに関わる知識を体系的に解説している本はなく、世界で初めて出版された「プロダクトデザインの教科書」であると言うことがでる。
 日本インダストリアルデザイナー協会では、この本を教科書として、来年度に「プロダクトデザイン検定」(仮称)の導入を検討していて、千葉工業大学デザイン科学科でも山崎教授や佐藤教授を中心に積極的に協力している。
プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ
プロダクトデザイン 商品開発に関わるすべての人へ
著者=山崎和彦教授、佐藤弘喜教授、上原勝教授、長尾徹教授
発行=Works社
定価=3360円(税込み)

千葉市科学館
ロボタクシー「リリオン」


中嶋准教授が仕組み説明
子供たちに説明する中嶋准教授(左から2人目)
子供たちに説明する中嶋准教授(左から2人目)
 ロボットタクシー「リリオン」。千葉市科学館に常設展示され、乗車体験もできる千葉工大オリジナルのロボットは子どもたちに大人気。その誕生の秘話と仕組みを、開発に当たった中嶋秀朗未来ロボティクス学科准教授が子どもたちに講義した。
 8月28日、科学館の9階技術の広場にあるリリオンの展示場に小学生を中心に親子が集合。まず中嶋准教授が「いつも実用化を意識して、世の中の役に立つロボットシステムを作ろうと思っています」とリリオン誕生のきっかけを話した。
 子どもたちが知りたがったのは「ロボットはどうやって動くのか」。中嶋准教授がリリオンを例にその仕組みを解説。次はいよいよ子どもたちが実際にロボットに乗るお楽しみアワー。乗車希望の女の子がボタンを押してスタート、赤青黄から1色を選ぶと、リリオンがその色のラインを感知してするすると走った。
 最後は、参加者の希望を聞いてプログラムを修正し試乗してもらう“新企画”。「スピードを下げる」という提案に対し助っ人の同学科4年生、家富和久君と飯田淑仁君がプログラムを修正し、ロボットに書き込んだ。試乗した女の子は、速度が半分になった車いすで変化を体感。見守る子どもたちも「オーッ」と感心していた。

院生、学生の研究作品公開


産学プロジェクト
本学でデザイン展
スマイルエクスペリエンス・デザイン展
スマイルエクスペリエンス・デザイン展
 本学デザイン科学科有志主催の「第1回スマイルエクスペリエンス・デザインフォーラム」が9月18日、津田沼校舎7号館で開かれ、教員や学生、企業から約80人が参加した。
 フォーラムの前座として山崎・原田研有志がバンド演奏で来場者を迎えた後、内田洋行の若杉浩一デザイン部長が「魅力的なプロジェクトの紹介」と題し講演、ユーモアを交えた魅力的なトークで聴衆を引きつけた。次いで、ZIBAデザイン東京の平田智彦代表が「魅力的なデザインへ向けて」の題で講演した。
 次いで大学院生と4年生の最新作品および研究紹介をポスター発表で行い、熱心に学生へ質問する来場者の姿が見られた。
 一方、18日〜20日の3日間、第1回スマイルエクスペリエンス・デザイン展を同時開催し、山崎研究室を中心に手がけていた産学プロジェクトの研究作品が公開された。7号館の吹き抜けフロアには、この展示のために、内田洋行と山崎研究室のチームが協力しデザインした「仮設型展示・評価システムであるキューブ・ギャラリー・システム」を設置。いくつもの木のキューブが組まれ、作品と画像認識システム、フラッシュ映像を組み合わせた評価システムが稼働した。
 大学院修士2年の青木幸太郎さんを中心に、4年の石田貴昭君、三丸拓也君、上田香織さん、佐藤光葉さん、小谷津のぞみさんらがデザインを分担。それぞれの作品の持ち味を生かした配置にするため、考えたレイアウト案は100以上にものぼり、今までにない、全く新しいギャラリーを生み出した。リーダーの青木さんは「自分たちで作ったものには愛着が湧く。今回作ったものを使って、また何か楽しいことをやっていきたい」と意欲満々だ。
 また、山崎教授は「産学デザイン展では、昨年から今年にかけて手がけていた7つの産学プロジェクトの研究作品を一挙に公開した。この展覧会やフォーラムには、多くの企業の方にも来ていただき大変感謝している。今後も、大学・企業・地域を結ぶ活動を推進したい」と語った。

幕張メッセで「エコメッセ」


村上研、「くるくる研」が出展
村上研のブース くるくる研の自転車
村上研のブース くるくる研の自転車
 「持続可能な社会の実現」目指して市民・企業・行政が連携する「エコメッセ2009inちば」が9月6日、幕張メッセ国際会議場で開かれ、今年度から大学コーナーが作られたことにより、本学から生命環境科学科生物圏環境研究室(村上和仁准教授)と、リサイクル自転車のレンタルサービスなどで温暖化防止活動を行っている「くるくる研究会」(代表・西泰経営情報科学科准教授)が出展した。エコメッセは14回目で今年のテーマは「地球温暖化と生物多様性〜エコメッセで暮らしを変えよう〜」。さまざまな分野の100を超す団体・組織が参加し、1万1000人の来場者があった。
 村上研究室は日本大学理工学部の2つの研究室と合同で環境保全技術研究に関するブースを出展し、卒業論文の中間発表会を行った。
 同研究室は「閉鎖性湖沼の直接浄化」などバイオ・エコエンジニアリングを活用した環境保全、とくに水環境の保全研究に取り組んでおり、ブースでは県内各地の具体的な環境評価や浄化モデルなどについて発表した。

◇  ◇  ◇

 「くるくる研究会」は西研究室と、学内放置自転車を完全分解・整備・再利用して環境意識高揚活動を続ける3R研(顧問・谷合哲行教育センター准教授)が地元商店会・習志野市と協同して津田沼駅周辺で行う市民レンタサイクルの主体。
 メッセの展示では、ストップ温暖化大作戦の一環として行っているレンタサイクル事業を自転車の分解・組み立てから、貸し出しシステムまで説明。1通勤・通学・買い物などの移動を自動車から自転車に替える2違法駐輪・放置自転車解消のため、市内各駅にレンタサイクルの拠点設置などCO削減をアピールした。