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2008.5.15

実践的ロボット工学教育に貢献


米田教授 日本機械学会教育賞受賞
ロボット3部作執筆 「フェロー」称号も授与される
教育賞受賞の米田教授
教育賞受賞の米田教授

 本学工学部未来ロボティクス学科の米田完教授が、日本機械学会教育賞を受賞した。
 受賞理由は、「はじめてのロボット創造設計」「ここが知りたいロボット創造設計」「これならできるロボット創造設計」の3冊を執筆し、実践的なロボット工学の教育を広めることに貢献したこと。この3部作は、つくるロボットと学ぶロボットの融合を目指して、趣味のロボット工作をもっと本格的にし、工学の理論を使って設計する手法を解説した。初学者向けのロボット設計の考え方から、モータやセンサの動作原理、工作機械、電子回路、CPU実装やプログラミング、高度なロボット設計・制御技術まで幅広く網羅されていると評価された。
 授賞式は4月8日、東京・明治記念館で開かれた日本機械学会第85期通常総会で行われた。
 米田教授は「ロボット工学の書籍を読んでも、ロボットがつくれるようにならない、という自分が学生だった頃からの思いを解決する本を書きました。長年のロボットづくりの経験から得たノウハウ的なことまで満載した自信作です。受賞は、今までの努力が認められたようでうれしいです」と喜びを語っている。
 また、米田教授は、日本機械学会から3月25日にフェローの称号も授与された。若年者にロボット工学への興味を抱かせたこと、研究者として国際的に活躍したことなど、機械および機械システムとその関連分野で顕著な貢献をした功績が認められた。

岩嶋、近藤、八幡氏が名誉教授に


本学の発展に多大な貢献
岩嶋名誉教授 近藤名誉教授 八幡名誉教授
岩嶋名誉教授 近藤名誉教授 八幡名誉教授

 長年にわたって教鞭をとられ、本学における学術の向上に寄与された元教育センター教授の岩嶋正雄氏、近藤弘氏、八幡誠氏の3氏が、4月23日付で千葉工業大学名誉教授の称号を授与された。
 岩嶋氏は、昭和35年に助手として本学に就任。同60年に教授となる。この間、学寮委員会委員長補佐、副委員長などを歴任、48年間という長きにわたり、体育科学を通して教養教育に熱心に務め、多くのサークルの部長や顧問に就任する等、学生教育面で多大な貢献をされた。
 近藤氏は、昭和43年に講師として本学に就任。同60年に教授となる。この間、第二部教務委員会委員長、大学問題研究委員会付などを歴任、40年間にわたり、ドイツ語教育、とりわけドイツ語教授法の研究においてすばらしい業績を上げ、教育研究に尽力された。
 八幡氏は、昭和42年に助手として本学に就任。平成4年に教授となる。この間、学寮委員会委員、入学試験委員会委員、学生委員会委員などを歴任し、41年間にわたり、大学の発展に多大な貢献をされた。

設計最優秀者に本学石原准教授


小田急線鶴川駅前の公共施設計画
建都学科の学生も協力
石原准教授(右から6人目)と院生、学生たち
石原准教授(右から6人目)と院生、学生たち

 東京都町田市が、小田急線鶴川駅前の公共施設の基本計画・基本設計・実施設計を行う設計者を選定するプロポーザルを公募。4月12日、本学工学部建築都市環境学科の石原健也准教授が共同設計者として参加した仙田満氏(環境デザイン研究所)のチームが最優秀者に選ばれた。石原准教授によると、「プロポーザルには石原研究室の学生が多数協力してくれた。今後の計画・設計段階でも是非かかわってもらいたい」とのこと。
 町田市は鶴川駅前に複合型公共施設を建設する計画で、施設は「芸術文化の創造活動や生涯学習を促進する交流拠点」と位置づけられおり、本格仕様の音楽ホール、マルチメディア対応の図書館やボランティア活動拠点としてのコミュニティ施設などから成る。
 仙田氏(放送大学教授・東京工大名誉教授)は石原准教授の建築家としての師。今回のプロポーザルでは石原准教授が提案チームにおいて「意匠設計主任建築家」を務めた。
 コンセプトは「クロッシング」で、自然、人、活動の流れをつなぐことを狙っており、軒高を10メートルに抑え、屋上を緑化するなどのアイデアが盛り込まれている。さらに市民が参加するワークショップで具体的な設計や管理運営の仕組みを練り上げていく。
 参加した学生は修士2年磯部陽さん、同2年田川遼史さん、同江畑朋仁さん、同1年石橋亜紀さん、同樋口景一さんの各大学院生と学部4年生12人で、プレゼンテーションの中心となる模型作りに携わった。学生たちは今後もワークショップに参加し、実際の公共建築建設のリアルな場を経験できることになりそうだ。

出版

開発の歴史、応用例に言及
『機能性アルマイト』
『機能性アルマイト』
著者=高谷 松文
発行=カロス出版
定価=2000円

 本書は、アルミニウム総合雑誌『アルトピア』(カロス出版)に、2006年10月〜07年10月まで12回にわたり連載された「機能性アルマイト」に関する研究論文集(共同研究)をまとめたものである。
 アルマイトは、その誕生目的の電気絶縁性をはじめ、耐食性、耐摩耗性、染色性などの基本的機能性を活用してきたが、近年、科学技術の発展で、アルマイトの微細孔や皮膜自体の新しい機能の発現が強く求められ、機能性アルマイトの出現に発展している。陽極酸化によるアルマイトのナノサイズの微細孔は、他の金属のそれらに比べ精密にして精彩性に勝っている。アルマイトの特徴は、ミクロン単位で皮膜厚さを制御でき、塗装や溶射などに比較し、非常に寸法精度に優れ、精密部品加工に適している。
 本書は、アルマイトに関する歴史的背景を知るうえで貴重な理研彙報、理化学研究所報告、宮田論文などを引用し、電気絶縁性についても記載している。
 また本書は、アルミニウム合金材料とアルマイトの関係、アルマイト皮膜の機械的特性、有害なクラックの発生抑制、耐摩耗性や機能性を求めたアルマイトの開発応用例、筆者らが開発した日本の誇る地下資源であるヨウ素化合物を含浸した潤滑アルマイト、抗菌アルマイトについても言及している。

高谷教授
高谷教授