2007.1.15
3面

馬場さんらがJB論文賞受賞 エイズ治療法に光明与える論文

日本生化学会 英文誌上で発表

 本学の構造生物学研究室(生命環境科学科・河合剛太教授)が研究発表した論文が、日本生化学会(長田重一会長)の「日本生化学会JB論文賞」を受賞した。その受賞の中心になったのが、同研究室の馬場清喜さん(一昨年3月、本学大学院博士後期課程修了、博士号取得の後、理化学研究所播磨研究所勤務)。

賞状を持って喜びを語る馬場さん
賞状を持って喜びを語る馬場さん

馬場さん“河合研で研究”の集大成

 JB論文賞は、同学会英文誌「Journal of Biochemistry」で発表された研究論文から選ばれる。馬場さんらの論文題目は、「HIV―1二量体化開始部位RNAのkissing−loopおよびextended−duplex 二量体の溶液構造」。論文内容は次の通り。
 エイズの原因ウイルスであるHIV―1は、一つのウイルス粒子中にゲノムRNAを2つ含んでいる。この2つのRNAが二量体構造を形成する仕組を調べるために、そのRNAの二量化開始部位(DIS)が形成する二種類の二量体構造を核磁気共鳴(NMR)法によってそれぞれ決定した。この際、まずDISの部分構造を決定し、次にDIS RNAの全体構造を構築する手法を開発した。二種類の二量体の立体構造を比較することによって、エイズの治療法のヒントが得られる可能性があるというもの。
 授賞式は10月27日に文京区本郷の学士会分館で開かれた同学会総会の席上で行われた。受賞した馬場さんは「この論文は、研究室へ配属されてから大学院博士後期課程を修了するまでに行っていた研究の成果です。
受賞という形で評価され、非常に嬉しく思います」と喜びを語っていた。

ロボット体験演習で25人表彰

未来ロボティクス学科「レベルの高い作品できた」と講評
「ロボット体験演習ロボットチャレンジ」受賞者と作品
部 門 受賞者(敬省略) 作 品 名

 

 

 
チャレンジ部門 小泉 英憲 光の射す方へ
木村 俊彦 未定(2足歩行)
アイディア部門 工藤 一樹 すりこみ君1号
ソフト部門 原田 雄二 クラッシャーくん
メカ部門 岩田 陸海 よたよた君
アルゴリズム部門 荒牧 昇司 sasaki01
パフォーマンス部門 釘宮 賢也 探る君


議員賞 堀内 和仁 掃除ロボ流人馬
所長賞 鈴木 雄二 HARINSEN

 未来ロボティクス学科は、ロボット創造教育を推進するため理論と実践の融合を図っており、fuRo(未来ロボット技術研究センター)と連携して1年生前期に体験演習を行っている。その集大成として、fuRo主催で「ロボット体験演習ロボットチャレンジ」が開かれた。
 11月21日に芝園校舎で成績優秀者表彰式が行われ、25人が表彰された。古田貴之所長は「他大学なら3、4年生が作る作品だ」と講評した。
 最優秀賞と特別賞は上表のとおり。

副賞の賞品を掲げて喜ぶ受賞者 受賞者に拍手を送る未来ロボティクス学科の学生たち
副賞の賞品を掲げて喜ぶ受賞者 受賞者に拍手を送る未来ロボティクス学科の学生たち
技術士制度解説シリーズ-No.10-

千葉工業大学 技術士会
APEC Engineer(Civil,Structural)
技術士(建設部門)
久多羅木 吉治

 企業活動の国際化と共に、技術士も日本国内のみならず広く海外で活躍する機会が増えてきています。
 今回は国際的な技術者資格であるAPEC(アジア太平洋経済機構)エンジニア制度について述べます。

1.制度の背景
 技術者の国際的流動化の推進が求められており、そのひとつの成果として、APECにおいて技術者資格の国際相互承認の検討が進められ、APECエンジニア制度として具体化されました。
 技術士は一級建築士と共に、APECエンジニアとしての登録の対象となっております。今後、二国間や多国間の協定が締結された後、海外の技術者資格として認められることとなる見込みです。
 優秀な技術者が国境を越えて自由に活動できるための制度です。


2.APECエンジニア相互承認プロジェクト
 2000年11月1日、APECエンジニアの要件が取りまとめられ、APECエンジニア調整委員会により「APECエンジニア・マニュアル」として公表されました。
 これを受け、承認済みの7エコノミー(日本、オーストラリア、カナダ、香港、韓国、マレーシア、ニュージーランド)は、APECエンジニアの登録を開始しました。
 その後インドネシア、フィリピン、米国、タイ、シンガポールおよび台湾が正式加盟し、現在は合計で13エコノミーとなっています。


3.APECエンジニアの登録分野と対象資格
 APECエンジニア調整委員会で定められたAPECエンジニアとして登録できる分野のうち、日本では、「Civil」と「Structural」の分野について2000年11月から受付を開始しました。
 「Civil」分野は技術士が、「Structural」分野は一級建築士と技術士が対象となりました。
 2003年11月からは、技術士の「船舶・海洋」「航空・宇宙」「化学」「繊維」「金属」「農業」および「情報工学」の各技術部門において、全部あるいは一部の選択科目を対象として登録申請の受付を、APECエンジニアの登録分野「Mechanical」「Electrical」「Chemical」で開始しました。
 2006年3月に開催された日本APECエンジニア・モニタリング委員会において、APECエンジニアの11の分野を対象に登録することとし、すべての技術部門(選択科目)についてAPECエンジニアの登録申請を受け付けることが確認されました。


4.APECエンジニア要件と審査・登録
 APECエンジニアとして登録するためには、「APECエンジニア・マニュアル」に記載してある5つの要件(および2つの付則)について登録申請書に必要事項を記入の上提出し、審査を受ける必要があります。審査の結果要件を満たしていると認められれば、登録申請手続きを行い、登録手続き完了後に登録証が交付されます。
 また、APECエンジニアは5年毎の更新制としており、更新時にはCPD記録の提出が求められます。
 APECエンジニアになるための5つの要件と2つの付則
  • (1) 認定または承認されたエンジニアリング課程を修了していること、またはそれと同等のものと認められていること。
  • (2) 自己の判断で業務を遂行する能力があると当該エコノミーの機関に認められていること。
  • (3) エンジニアリング課程修了後、7年間以上の実務経験を有していること。
  • (4) 少なくとも2年間の重要なエンジニアリング業務の責任ある立場での経験を有していること。
  • (5) 継続的な専門能力開発を満足すべきレベルで維持していること。
前記の他、
  1. 自国および業務を行う相手エコノミーの行動規範を遵守すること。
  2. 相手エコノミーの免許または登録機関の要求事項および法規制により、自己の行動について責任を負うこと。
の2項目についても満足する必要があります。


5.APECエンジニア相互承認の枠組み
 APECエンジニア・プロジェクトの相互承認の枠組みは、実質的同等性を認める枠組み(技術者の技術水準を同等と評価する枠組み)と、相互免除協定の2段階からなっています。
 実質的同等性を認める枠組みについては、APECエンジニア・マニュアルの要件に基づいて各エコノミーで審査、登録が行われます。
 APECエンジニアとして登録されるとAPECエンジニア相互認証プロジェクト加盟の各エコノミー内では技術者としての能力が同等であるとされます。
 2006年3月31日現在、延べ2547名のAPECエンジニア(技術士)が登録されています。
 相互免除協定としては、2003年10月に日本とオーストラリアとの間で二国間協定が署名され、Mechanical, Electrical,Chemicalの分野に対応する技術士の技術部門の全部または一部の選択科目により登録した日本のAPECエンジニアがオーストラリアにおけるプロフェッショナルエンジニアとして登録の申請ができるようになりました。


6.APECエンジニアの事務局
 我が国は技術者資格の国際的な相互承認の意義およびその影響の重大性に鑑み、当初より本プロジェクトに参加しています。
 各エコノミーはそれぞれモニタリング委員会を設立して、それぞれAPECエンジニア登録のための審査証明書を作成しています。
 日本では日本APECエンジニア・モニタリング委員会が関係9省(当時は関係12省庁)の申し合わせに基づき設置され、その事務局は(社)日本技術士会に置かれています。
 なお、APECエンジニアのStructuralのうち、建築構造分野以外のStructural分野とその他の分野は(社)日本技術士会が日本APECエンジニア・モニタリング委員会からの付託を受けて、審査の一部を実施しています。
【土木工学科 昭和46年卒業】


問い合わせ先:千葉工業大学 技術士会事務局長:南澤 守
(携帯)090-8815-2504 e-mail:pe39962minami@d3.dion.ne.jp


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