2006.08.20

3面

活躍する校友

“なにごとにも謙虚であれ”
「縁の下の力持ち」を実践したい

東洋熱工業(株)専務取締役
千葉工業大学 同窓会会長

一瀬 英貴氏(62)
(昭和42年 機械工学科卒業)

“同窓会会長指名”にも意欲的な一瀬氏

 今年6月に開催の同窓会通常総会で、13年間会長職をやって来られた奥田實会長の後を引き継いで、7代目の会長に就任した。
 現在、東洋熱工業(株)専務取締役。同社はオフィスや学校、病院、博物館のほかに半導体関係の工場、スタジオなど空調関係の設計施工の仕事が専門。このほかに、木材チップを原料とした硬質チップを製造している子会社の東北ホモボード工業(株)社長も兼任していている。

“付き添い試験”で合格

 「私は昭和42年入社です。当時、建築学科の友人が“この会社に入りたい”と言うので、付き添いがてら試験を受けたら、私が合格してしまいました」と語る。3年時に体をこわし、4年生で教諭になろうと教職課程を取ったほどだった。
 入社当時は、社員は100人、年商70億円の会社だった。今年で創業70年を迎えるが、旧海軍や旧陸軍の技術将校たちが創業した会社で、現在はNASAの技術を取り入れ、病院のクリーンルームなどのシェア率は約8割を誇る。「どんな会社かも知らずに入ったんです。人の運なんてわかりませんね」。入社後は、工事の工程とお金、工期施工図作成から図面のチェックなどの建築現場の施工管理を受け持った。

米国で国際入札を経験

 昭和56年からは、グアム島の子会社の責任者として赴任。その後、米軍施設の施工の仕事を13年続けた。「当社はゼネコンとして登録していて、米国の国際入札を経験しました。当時は手探りのスタートで裁判問題が多くありました」。例えば、品物が仕様書と『合っている』『合っていない』といった日米の見解の相違が裁判になった。「それでも米軍管轄の裁判は第三者の考えで公平だった」と当時の印象を語る。その後、グアム島から東京本社副本店長兼海外担当責任者に戻った。いまは経営統括本部長の職にあり、経験から「最近は裁判により、第三者の判断を仰ぐように指導しているくらいです」と語る。

大きい『少子化問題』

 同窓会に関わるようになったのは、「東京に戻った時、大学の芹川兵衛大学事務局長からお誘いを受けてからお手伝いするようになりました。まさかと思いましたが、奥田会長から指名されて引き受けました」とそのいきさつを話す。いま同窓会としても、やはり少子化問題と大学の存続が大きな問題。「大学とPPA、同窓会が一緒になって地域を盛り上げることも大切ですが、40代のOBを中心に“縁の下の力持ち”として、各支部事務局に力を入れることが必要だと思います」と意欲的だ。
 「面白い会社で、入社3日目で男子は3日間の自衛隊体験入隊をさせられました。この体験は、団体意識を持たせることを体で会得し、一番の成果は声を出すことですね。いまもわが社では続けています」と言う。
 これまでで一番驚いたのは、完成間近の霞ヶ関ビルで仕事中に大きな地震に遭ったことだ。「部屋の机がぐら〜ぐら〜とゆっくり揺れ、鉄骨の擦り合う音はなんとも不気味でした」と当時の模様を話す。また、「当時東京の山谷から労働作業員を雇ったのですが、彼らは昼休みに英語やフランス語の原書を読んでいたのには驚かされました。仕事だから、皆言うことを聞いてくれるんだなと思い、いろいろ勉強になりました」と語る。

よく聞いて、意見を述べよ

 一瀬さんは、山梨県の甲府一高出身。入学後は一人で下宿生活を経験。同時にワンダーフォーゲル部に所属し、2年生までに丹沢をはじめ奥秩父、浅間山、北アルプス縦走を経験した。
 後輩には「自分の存在をどのように認めてもらうのかを考えてほしい。“人の話しをよく聞き、自分の意見を話す”ことを養ってもらいたい。それに、多くの本を読んでもらいたい」と、アドバイスしている。
 生活信条は『なにごとにも謙虚であれ』。「自分が偉ぶっても、周りが認めてくれなければ駄目ですから」。趣味はゴルフ。「以前はよくやりましたが、いまは楽しい仲間と月に1〜2回程度です」と笑った。


技術士制度解説シリーズ-No.5-

千葉工業大学 技術士会
町田 文男 (広報委員)
技術士二次試験の概要

 今回は技術士二次試験の受験資格・試験方法をご紹介いたします。


<1> 技術士二次試験の受験資格
(1)

技術士二次試験は、第一次試験に合格し、必要な実務経験を満たした後、受験資格が取得できます。技術士となるのに必要な技術部門についての専門的学識及び高等の専門的応用能力を有するかどうかを判定する試験です。20の技術部門を受験する場合と総合技術監理部門を受験する場合ではその経験習得年数が変わります。

20の技術部門の場合
(1)技術士補として登録、技術士を補助し実務経験習得4年
(2)優れた指導者の監督の下での実務経験習得4年
(3)独自で実務経験習得7年
総合技術監理部門の場合
(1)技術士補として登録、技術士を補助し実務経験習得7年
(2)優れた指導者の監督の下での実務経験習得7年
(3)独自で実務経験習得10年
(4)既に技術士となる資格を有する者の実務経験7年

<2>試験の方法・科目
 試験は、筆記及び口頭試験により行われ、口頭試験は筆記試験に合格したものについて行われます。

【1】 筆記試験
 筆記試験は21技術部門の中から受験者があらかじめ選択した一技術部門に対応する「必須科目」と、その技術部門ごとに設定されたいくつかの「選択科目」の中から受験者があらかじめ選択した「選択科目」について記述式の試験(一部多肢択一式)が行われます。

(A)機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門を受験する場合
(1)選択科目1‐1
(試験時間は3時間)
 選択科目の内容から受験者があらかじめ選んだ「専門とする事項」に関する専門知識の深さ、技術的体験及び応用能力を問う問題(記述式)
(2)選択科目1‐2 受験しようとする選択科目に関する一般的専門知識を問題(記述式)
(3)必須科目2 受験しようとする技術部門全般にわたる一般的専門知識を問う問題(多肢択一式及び記述式)
(2)(3)の試験時間は合わせて4時間
(B)総合技術監理部門を受験する場合
(1)選択科目1‐1
(試験時間は3時間)
 機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門の中から、受験しようとする技術部門の選択科目に対応する「専門とする事項」に関する専門知識の深さ、技術的体験及び応用能力を問う問題
(2)選択科目1‐2 機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門の中から、受験しようとする技術部門に対応する「選択科目」に関する一般的専門知識を問う問(記述式)
(3)選択科目1‐3 機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門の中から、受験しようとする技術部門に対応する「技術部門」に関する一般的専門知識を問う問(多肢択一式及び記述式)
(2)(3)の試験時間は合わせて4時間
(4)必須科目2
(試験時間は3時間30分)
 機械部門から原子力・放射線部門までの20技術部門の中から、受験しようとする技術部門の選択科目に対応する「専門とする事項」に関する専門知識の深さ、技術的体験及び応用能力を問う問題
 その内容は
[1]安全管理
[2]社会環境との調和
[3]経済性(品質、コスト及び生産性)
[4]情報管理
[5]人的資源管理に関する事項

【2】 口頭試験
 技術士としての適格性を判定することを主眼とし、技術的体験、経歴、専門知識の幅及び深さ、応用能力、総合技術監理能力などについて試問されます
 なお、詳細については、日本技術士会のホームページをご覧下さい。
http://www.engineer.or.jp/


問い合わせ先:千葉工業大学 技術士会事務局長:南澤 守
(携帯)090-8815-2504 e-mail:pe39962minami@d3.dion.ne.jp


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