2005.4.15

2面

平成17年度入学式
 
 
本岡誠一学長式辞
創造的に考える知識と思考力を養おう
 

 新入生諸君、入学おめでとうございます。
 長く、寒かった冬もようやく去り、芽吹きの春がやってまいりました。桜の花も今年は若干遅れ気味のようですが、間もなく満開となり、春本番を迎えることでしょう。
 新入生諸君、諸君は大学入試を目指して日夜勉学に励み、季節の移り変わりも気づかない毎日だったかも知れません。しかし、今、諸君は、合格を勝ち取って、こうして千葉工業大学の入学式に臨んでおります。今年の春の陽射しは、格別のことと思います。改めて、入学おめでとう。
 また、会場にご臨席のご父母の皆様、ご子女のご入学おめでとうございます。心よりお喜び申し上げます。
 
 
 本日、入学式に臨んでいる新入生は、学部が工学部5学科計1556名、情報科学部2学科計332名、社会システム科学部2学科計328名、合計2216名でございます。また、大学院は、工学研究科博士前期課程199名、博士後期課程8名、情報科学研究科博士前期課程31名、博士後期課程1名、社会システム科学研究科博士前期課程23名、合計262名でございます。
 私ども、千葉工業大学の教職員一同、諸君たち新入生を迎えて入学式を挙行できますことを大変うれしく思っております。
 ところで、新入生諸君、諸君が大学や、大学院に進学した目的を思い起こしていただきたいと思います。おそらく、目的がはっきり見えている人、あまりはっきりしない人、また、今後やっていけるかどうか、少なからず心配している人など様々ではないかと推察いたします。
 そこで私は、大学で学ぶということの意義について、少し述べてみたいと思います。
 諸君がいま生活しているこの21世紀初頭の特徴を、一言で表現するのは、難しい事ですが、敢えて言うとすれば、一つは“グローバル化”すなわち“国際化現象”ではないかと思います。言い換えると、あらゆることが自分の国一国だけでは解決しにくい状況にあり、多くの国との相互依存関係が強くなってきているということだと考えます。
 経済的には、EUのようにヨーロッパの20数カ国がユーロを採用し、圏内を大幅に自由化したり、アメリカ、カナダ、メキシコの自由貿易協定などのように、新しい経済圏が次々と誕生しております。また、地球全体が一つの市場となり、いわゆるグローバル・ブランドが出現しています。例えば、コカ・コーラ、エルメス、メルセデス・ベンツ、わが国のソニーなどがそれに当たります。これらの物に限らず、アニメ、カラオケ、アメリカ映画やポップスミュージックなどが世界中に出回っております。そして、多くの国々の企業が他の国に、例えば中国に工場を作っておりますし、近年、インドやブラジルが注目されております。これにITいわゆる情報技術、輸送技術などの進歩が相まって今までとは全く違う地球規模での同時進行型大規模市場経済社会の出現となっているわけです。
 

▲大勢の父母が見守る中、学長の式辞を聴く新入生
 
   そして、もう一つ、他の面から言えば、21世紀は、“知識基盤社会”といわれております。IT革命、バイオテクノロジーや、ナノテクノロジーなどの先端技術にみられるように、科学技術は、この100年の間に飛躍的に進歩、変化し、益々その変化の速度を速めております。このような社会では、自らの頭で創造的に物事が考えられる、しっかりとした知識基盤と思考力が求められるということです。
 大学で学ぶ、とりわけ千葉工業大学で学ぶということは、このような劇的に変化する世の中で、自分がどのように生きていくのか、自分の進路を見つけだし、生きぬく力を身につけ、社会に貢献できる技術者となる知識と思考力を修得することであります。
 千葉工業大学は、昭和17年の創立以来、工業大学として、わが国の発展に役立つ数多くの技術者を育てて参りました。すでに、卒業生は、6万余名を数え、文字どおり世界のあらゆる所の、あらゆる分野で活躍しております。 
 千葉工業大学の建学の精神、すなわち、教育・研究を行なうにあたっての、基本的な考え方は、「自学自律」と「師弟同行」ということです。
 「自学自律」ということは、わかり易く言うと「自ら学び、自ら問題解決できる、創造性の豊かな人材を育てること」であり、「師弟同行」というのは、「きめ細かな指導」ということであり、先生と学生が「共に考え、共に学ぶ」ということです。その目指すところは、本学の教育目標である、“科学技術の厳しい変化に対応できる、しっかりした基礎学力を持つ人材の育成”です。
 諸君もご存じかと思いますが、千葉工業大学は国内の大学では一番早く、人工衛星「観太くん」を打ち上げました。また、「未来ロボット技術研究センター」を設立し、ロボットに関する先進的な研究を行なっております。本学には、この他にも大勢の先生方が、先端的な研究を行なっております。諸君もこれらの研究・開発には、おおいに興味を覚えることでしょう。
 ところで、このような先進的な研究に携わり、成果を挙げて行くためには、諸君が高等学校までに学んだことと、大学の1、2年生で学ぶ、数学や物理、化学などは勿論、語学などの教養基礎科目がとても大切なのです。この教養基礎学力に加えて、しっかりした専門基礎学力を身に付けてはじめて、学部4年次の卒業研究、大学院博士前期課程、博士後期課程での研究やさらに先端的な研究が可能になるのです。
 
 千葉工業大学では、これらの教養基礎科目について、諸君が十分理解して、次に進めるように、カリキュラムを用意しております。それらの詳細については、ガイダンスや、オリエンテーションを通じて、クラス担任や、担当者から説明があります。
 ここで、私は、学生生活のみならず誰にでも必要で、ごく当たり前のことですが、諸君に是非実行してもらいたい事を3つ挙げておきたいと思います。
 まず第一は、心身の健康管理を行なうことです。諸君がいかなる素晴らしい人生を夢見ても、健康なくしては、絵に描いた餅となってしまいます。健全な精神は健全な肉体に宿ると言うように、健康はすべての基本です。
 
 
▲希望を胸に入学式会場に向かう新入生たち
 
 第二は、人と会ったら挨拶をすることです。我々人間は、社会的動物です。一人では生きていけません。社会という大勢の人の中で、生きていくためには、他人とのコミュニケーションが不可欠です。教室や研究室、また、サークル活動で自分の意志や考え方を相手に正確に伝え、相手からの情報を正確に理解することは重要な事です。そのための基本は挨拶です。諸君は、教室や研究室で、先生や友人に挨拶することを忘れないで下さい。コミュニケーション能力は挨拶から始まります。
 第三は、明確かつ具体的な目標を持つことです。“光陰矢の如し”という諺がありますが、一年は、長いようでいて、ボンヤリしているとあっという間に過ぎ去ります。時間管理を大切にしていただきたいと思います。そして、身近なことから具体的な目標を定め、実行することです。
 以上述べた3点を諸君が実行すれば、諸君の大学生活はスムーズなスタートができるものと確信いたしております。
 人生には、ここぞという頑張り所がいくつかあるものです。諸君にとって、これからの数年間はまさにその一つです。若きエネルギーを前面に押し出し、学問の修得に、人間修業に力一杯取り組んで、学部、大学院それぞれの課程において実り多い素晴らしい学生生活を過ごされるよう願っております。
 さて、ご父母の皆様、私ども千葉工業大学の教職員一同、皆様の大切なご子女をお預かりし、一緒に教育・研究が出来ることを大変うれしく思うと同時に、責任を感じております。皆様のご期待に応えられるよう、誠心誠意努力を惜しまないつもりでございます。今後ともご協力をよろしくお願い申し上げます。
 それでは、新入生諸君、明日から諸君の笑顔がキャンパスに溢れることを期待し、式辞といたします。
 
 
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