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数理工学研究センター・酒見上席研究員ら神経修飾機構を模した自己制御機能の導入によるレザバーコンピューティングの高性能化に成功


酒見悠介 (千葉工業大学 数理工学研究センター 上席研究員/東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN) 連携研究者)、信川創 (千葉工業大学 情報科学部 教授)、松木俊貴(防衛大学校 情報工学科 助教)、森江隆 (九州工業大学 大学院生命体工学研究科 特任教授・名誉教授)、合原一幸 (東京大学 特別教授・名誉教授/東京大学国際高等研究所ニューロインテリジェンス国際研究機構(WPI-IRCN) 副機構長・主任研究者/千葉工業大学 数理工学研究センター 主席研究員)は、次世代型人工知能であるレザバーコンピューティング(RC)※1に、脳の神経修飾機構を模した自己制御機能を付与する拡張を行いました。この新しい人工知能モデルは自己制御型レザバーコンピューティング(Self-modulated RC: SM-RC)と名付けられました。数値シミュレーションにより、SM-RCは、従来のRCでは不可能であった、注意機構やカオスダイナミクスの活用が実現できることを示しました。さらに、SM-RCは、従来のRCと比べて、極めて高い時系列予測性能を持つことを明らかにしました。SM-RCは高い学習性能と、電力効率の鍵となる物理実装性※2とを両立しているため、エッジAIへの応用が期待されます。この成果は、2024年1月12日に査読付き国際学術雑誌「Communications Physics」で公開されました。

※1) レザバーコンピューティング (RC)
入力層、レザバー層、出力層で構成される再帰型ニューラルネットワーク(RNN)の一種。典型的にはレザバー層はランダム結合のRNNで実装されるが、様々な力学系を用いることが可能です。この性質により、様々な形態での物理実装が進められています。また、レザバー層と出力層の間の結合のみを学習するため高速な学習が可能です。

※2) 物理実装
物理実装は、半導体、フォトニクス、スピントロニクスなどを用いることで計算機システムを構築することであり、デジタルシステムとは異なり、物理法則を直接的に演算の基礎とする特徴があります。物理実装は、非常に高速かつ高いエネルギー効率を示しますが、その複雑性のため大規模システムの構築が困難です。RCは様々な力学系を用いることが可能なため、物理実装に適していると考えられています。