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HIV-1ゲノムRNAの運命を決めているRNA構造の解明


研究成果のポイント

  • HIV-1の5ʼ末端におけるGの残基数がゲノムRNA構造に与える影響を解明
  • 翻訳や逆転写反応に与える影響を解析するための基礎を提供
  • HIV-1に対する新しい創薬のターゲットを提供

概要

 千葉工業大学大学院先進工学研究科の河合剛太教授と東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科の増田貴夫准教授は、これまでの研究で、HIV-1のゲノムRNAが感染細胞内で転写合成される際に、その5ʹ末端の構造が3種類あること、およびそれらの細胞内およびウイルス粒子内局在が異なり、また、逆転写反応の効率なども異なっていることを世界で初めて見出していました(Masuda et al., Sci. Rep. 5, 17680, 2015)。その後、米国のグループがこの現象に興味を持ち、5ʹ-UTRの立体構造解析を行い、2020年にその成果を報告していますが(Brown et al., Science 368, 413-417, 2020)、今回、河合教授と千葉工業大学大学院生の大林カミーユ美智子さんおよび篠原陽子さん(当時)は、増田准教授との共同研究として、機能の違いに重要な部位に絞り込んだモデルRNAを設計し、それを用いて構造の安定性および立体構造を解析することによって、5ʹ末端のわずかな違いがRNAの構造と機能にどのように影響するのかを明らかにしました。本研究で得られた成果によって、今後のHIV-1の生活環に関する研究が加速するだけでなく、エイズに対する新しい創薬のための材料を提供することが可能となります。

 本研究成果は、英国科学雑誌「Scientific Reports」に5月25日18時(日本時間)に公開されます。