「グリーンカード」は興味深い心理実験です
プロジェクトマネジメントという言葉を聞いたことはありますか。プロジェクトとは、ある目的を達成するために、期間を区切って人が集まり、チームで目的の遂行にあたる仕事のことです。そして、プロジェクトを分析し、的確に管理することをプロジェクトマネジメントと言います。みなさんの身近な例で言えば、体育祭や学園祭はプロジェクトで、その実行委員はプロジェクトをマネジメントするリーダーです。ここで取り上げたエピソードに登場する「グリーンカード」は“人間同士の相性や個人の能力などは、すでにあるのだから仕方ない”とやりすごすのではなく、それを変えようとする試みだと理解しました。人のパーソナリティには、自分も他人も知っている「1.開放領域」、自分は知らないが他人は知っている「2.盲点領域」、自分は知っているが他人は知らない「3.隠ぺい領域」、自分も他人も知らない「4.未知領域」という4つの領域があり、2や3を積極的に開拓する実験としても、
大変興味深いものがあります。
プロジェクトマネジメントはビジネスを
成功させる科学
宇宙開発は、まさにプロジェクト型の典型ですが、現実のビジネスでもプロジェクト型の仕事が多くなり、企画を成功へと導くプロジェクトマネジメントの考え方も注目を浴びています。私の研究室では、プロジェクトにおける「ひと」に着目し、社会心理学や人間工学、認知科学などの知識をもとに、より良いチームをつくって生産性を高める研究を行っています。研究室で開発した、メンバーの潜在的な能力を伸ばす評価の指標は、すでに一部の企業で人事に活用され、成果を上げています。しかし、プロジェクトのチームをどう育てていくかは、理論なしでは難しく、ビジネスの現場ではほぼ手つかずであったことも事実です。それだけに、この学科でプロジェクトマネジメントを学んだ学生は、卒業後、数年でプロジェクトリーダーを任される例も多く、理論を背景にしたリーダーシップの有用性を実証してくれています。これからのビジネスの成功のカギは、プロジェクトマネジメントの考え方と技術を身につけた人材が握っている、と確信しています。