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SDGsの取り組み

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機械が体の異常に本人よりも素早く気付けるように



情報変革科学部 認知情報科学科
多胡 輝一 准教授

取り組み事例

COVID-19のパンデミックにより、我々の生活は大きく変化しました。これほどまでに健康を意識した生活は、今まで考えられなかったことです。

人の健康を守るためには、身体の異常を素早く検知することが欠かせません。幸いなことに、現在はウェアラブルデバイスの発展によって、心拍数や血中酸素濃度などいろいろなデータを日常的に取得できます。しかし、データを見て自分で異常に気づくことは難しかったり、周囲から見ても見落としたりしてしまうことがあります。さらに、正常値は人それぞれであり、その時の体調などによっても正常値は変化しうるものです。そんなときに、機械がさっと異常を検知してくれて、さらにその時の体の状態まで考慮してくれたら嬉しいですよね。

そこで我々の研究室では、人がもつ潜在的な病気リスクなどを考慮した異常検知手法について取り組んでいます。ここで紹介するのは、ウェアラブルデバイスなどから取得できるデータを用いて、その人が持つ病気リスクを推定する手法についてです。病気リスクの推定では、構造方程式モデリング(SEM)という統計的な手法を用いて、健康に影響を与える可能性がある因子を数値で表現できるようにします。例えば、病気リスクが高いことによってバイタルサインが変動することを考えれば、大きく変化したときはそのリスクが高くなっている可能性が高いと言えそうです。そのように、取得している血圧や心拍数の後ろには病気リスク因子や疲労度といった健康に影響を与える要因が潜んでいると考えて、毎時間の因子の数値を計算します。
この手法を用いることによって、人に潜むさまざまな要因を時間ごとに数字で表現できるようになります。その後、数値が連続して高い状態、低い状態といった体の状態を自動的に判別できるように、隠れマルコフモデル(HMM)という手法を適用します。最後に、体の状態ごとに異常検知の基準を設定することによって、よりきめ細やかに正常の範囲を切り替えてその時の状態にあった異常検知が行えるという仕組みです。

以上のように、人間の中に潜んでいる病気リスク要因などを機械が判別し、より一人ひとりに合わせたサービスや健康支援が行なえるよう、我々は日々研究に取り組んでいます。