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SDGsの取り組み

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音楽は人や国を平等にする



教育センター 言語文化教室
仲町 知帆 助教

取り組み事例

ある音楽を聴いて、そのメロディーやリズムに聞き覚えがなくとも、歌詞が理解できなくとも伝わってくる何かがあります。その何かをくみ取る試みを「国際社会論」の授業初回で行っています。心を無にして聴き、何を感じ、どう思ったかを受講者にたずねます。目を閉じて心の雑音を取り払って聴く音楽は、日頃何気なく耳にする音楽とは違って聞こえるはずです。各々が各々の印象を語ってくれますが、選曲の良し悪しは別として見事に曲のテーマを言い当てます。同じものを再び聴き、今度は何が歌われているかを想像してもらいます。受講者の挙げる言葉がそのまま歌詞の一部であったり全体の要約になっていたりするので、たずね歩く私の興味は尽きません。言語を理解しているかのような錯覚に陥ります。この後、受講者の想像力を引き出しつつ直訳し詩的な言い回しには意訳を添えて、全文解釈に挑みます。こうして気づくのは、心して聴けば歌い手の意図は聞き手に伝わるということです。これが自信となって外国語の壁が低くなり、感動とともに世界が開けてくることでしょう。世界的流行を博した音楽を扱うので、ノリも受けもよく満たされ癒しにもなります。自然と湧いてくるその国と人々への関心を頼りに、音楽の背景を探っていくことになります。

人や国の不平等は貧富の差のせいだと考えられがちですが、どうやら精神的豊かさも関わってきそうです。貧しくても幸せに、豊かでも不幸せに感じられるように、心の持ち方次第の面もあります。授業で扱う音楽は主にカリブ海地域が中心ですが、そこには発展途上国でありながら先進国以上の精神的豊かさや人と人とのつながりがあります。そこで生まれる音楽は、人々の生き様や心の内を映し出す鏡の役割を担い、世界中の聞き手の心を震わせます。音楽を通して心の交流が行われるのです。心がつながれば、不平等といった感覚は瞬時に消え去ります。物質的な不平等を超越する精神的な豊かさを、発展途上国の国際社会に生きる彼らに学ぶのです。先住民と支配者そして他の地からの奴隷に新たな支配者等からなる独自の歴史や現状をたどりつつ、人々の心に焦点を当てます。人や国の不平等をなくすには、国家間よりもまず個人レベルでの心の交流が欠かせないと考えます。人の痛みや喜びを知ることで差別や偏見は消え、平等な世界に近づけると信じて前進し続けたいと思います。