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SDGsの取り組み

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竹炭の建築への活用について



創造工学部 建築学科
石原 沙織 教授

取り組み事例

我が国では、竹林の拡大が全国的な問題となっています。※1
その対策として、竹の伐採と竹林の整備が前提となりますが、伐採した竹を有効に活用する事も望まれています。その活用方法の一つとして、古来より竹炭が製造されてきました。竹炭はカリウムやリン等が多く含まれていることから土壌改良効果が期待できますし、多孔質であるため調湿や消臭性能などに優れています。そこで私達の研究室では、竹炭を建築に活用できないかということを、2種類の活用方法で検討を行いました。

1つ目は、屋上緑化の土壌に竹炭を混合させるという方法です。屋上緑化の土壌は、軽いことと、土壌の厚さが薄いため、良好な保水・排水特性があることが要求されます。そこで竹炭の粒形や混合割合を変えて、竹炭を混合させた土壌の含水率の変化や、人工降雨実験により保水・排水特性を調べました。その結果、屋上緑化でよく使用されている人工軽量土壌と同じぐらいの軽さを有しつつ、人工軽量土壌より体積含水率が高く、保水性が良いことから、植物の生育や潅水頻度の観点からも有用であることが分かりました。また、繰り返しの降雨に対しても良好な排水特性を示していることが分かりました。

2つ目は、漆喰に混合させるという方法です。漆喰には元々吸放湿性能や消臭効果があります。これは漆喰の中に非常に小さい穴(細孔)が沢山あり、その穴に水分子などが吸脱着するためです。ただ、竹炭の中にも細孔が沢山あります。そこで竹炭を粉状に粉砕したものを漆喰に混ぜた場合、更にそれらの性能が向上するかについて研究を行いました。その結果、竹炭を混合することで漆喰の吸放湿性能が向上し、蓄湿性能に優れることが分かりました。ちなみに金閣寺や銀閣寺の床下には、竹炭が敷かれているそうです。これにより木材をカビや虫害から守っているということです。

建築は造るものが大きいので、環境に与える負荷が大きくなりがちです。一方で、自然災害のリスクは年々高まっています。人にも地球にも優しい建築を実現・維持するための研究や技術革新は、これから先も建築産業全体で継続して取り組むべき課題の一つです。
※1「林野庁:竹の利活用推進の向けて 2018」をご覧ください。

写真1 簡単且つ短時間な方法で製造中の竹炭

写真2 屋上緑化の土壌に混合した粒状の異なる竹炭

写真3 竹炭を混合させた漆喰の試験体